「国民健康保険料が高すぎる」「母子家庭なのにこんなに負担が重いなんて…」。そんな悩みを抱えていませんか?実は、知るだけで負担を大きく減らせる制度があります。この記事では、2025年現在の最新情報にもとづき、母子家庭向けの国民健康保険料軽減制度とその申請方法を、わかりやすくまとめました。ぜひ最後までご覧ください。
なぜこんなに高い?国民健康保険料の仕組み

国民健康保険料がなぜこんなに高く感じるのか――。負担の理由を知れば、対策も立てやすくなります。まずは基本的な仕組みを理解していきましょう。
国民健康保険(国保)は、会社の健康保険に加入していない方が利用する公的医療保険制度です。母子家庭のお母さんが自営業やパート・アルバイトで働いている場合、多くはこの国保に加入しています。
国保の保険料計算方法
国民健康保険料は、主に以下の3つの要素から計算されます:
- 所得割:前年の所得に応じた金額
- 均等割:加入者1人あたりの定額
- 平等割:1世帯あたりの定額
これらを合計したものが年間の保険料となりますが、具体的な金額や計算式は自治体ごとに異なります。
母子家庭と国保の関係
母子家庭が国保の負担を重く感じやすいのには、次のような理由があります。
- 世帯収入が一人分のため、相対的な負担感が大きい
- パート・アルバイトなど非正規雇用だと、社会保険に加入できないことが多い
- 子どもの医療費も並行して考える必要がある
ですが安心してください。母子家庭には保険料を軽減するための各種制度がしっかり用意されています。
【知らないと損】国民健康保険料が減額される条件

実は、国民健康保険料には所得や家族構成に応じて大幅に軽減される仕組みがあります。ここでは、母子家庭が知っておくべき軽減条件を詳しく解説します。
国民健康保険法に基づき、所得が少ない世帯には法定軽減制度が適用されます。この制度は全国共通で、自動的に保険料が減額される仕組みになっています。
▶ 住民税非課税世帯に該当するかどうかの基準は、非課税世帯の基準と支援制度一覧も参考にしてください。
均等割・平等割の軽減制度
所得に応じて、次のように均等割と平等割が軽減されます。
軽減区分 | 軽減割合 | 世帯の総所得金額等の基準(2025年度) |
---|---|---|
第1段階 | 7割軽減 | 43万円+(給与所得者等の数-1)×10万円以下 |
第2段階 | 5割軽減 | 43万円+(給与所得者等の数-1)×10万円+(世帯主を除く被保険者数×52万円)以下 |
第3段階 | 2割軽減 | 43万円+(給与所得者等の数-1)×10万円+(世帯主を除く被保険者数×95万円)以下 |
この軽減は原則自動適用のため、申請は不要です。
未就学児の均等割軽減
さらに、2022年度から未就学児(6歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子ども)の均等割が5割軽減される制度も導入されました。
例えば、7割軽減の世帯に未就学児がいる場合、未就学児分の均等割がさらに半額になるため、実質的に8.5割軽減となります。
年収別に見る!母子家庭の保険料軽減シミュレーション

「私の収入だとどのくらい減るの?」という疑問を解消するために、年収別の軽減目安を紹介します。
母子家庭の場合、所得が比較的低い傾向にあるため、軽減制度の恩恵を受けやすいです。ここでは、母親と子ども1人の2人世帯を例にシミュレーションしていきます。
以下の表を参考に、自分の年収に応じた軽減幅をイメージしてみてください。
母親の年収(給与収入) | 軽減割合の目安 | 実際の軽減効果(例) |
---|---|---|
100万円以下 | 7割軽減 | 年間保険料 約2万円~3万円 |
150万円程度 | 5割軽減 | 年間保険料 約4万円~6万円 |
200万円程度 | 2割軽減 | 年間保険料 約7万円~9万円 |
200万円超 | 軽減なし | 年間保険料 約10万円~15万円 |
※実際の保険料額は自治体や世帯構成によって異なるため、あくまで目安です。未就学児がいる場合はさらに軽減されます。
実際の計算例(東京都23区の場合)
具体例として、母親の給与収入が150万円(所得換算で約98万円)のケースを見てみましょう。
- 所得割:98万円×10.52%≒10.3万円
- 均等割:4.4万円×2人=8.8万円
- 平等割:3.4万円
年間合計:22.5万円 → 5割軽減適用後:16.4万円(約27%負担減)
さらに、自治体独自の減免制度を利用できれば、もっと保険料を抑えられる可能性もあります。
スムーズに減免を受けるための申請準備

国民健康保険料の減免申請をスムーズに進めるため、必要書類の準備や申請タイミングをしっかり押さえることが大切です。ここでは、基本的な流れと注意点をまとめました。
必要書類
軽減免申請を行う際に、あらかじめ次の書類を準備しておきましょう。
- 国民健康保険税(料)減免申請書(自治体のホームページからダウンロードできることが多い)
- 世帯の収入状況を証明する書類(源泉徴収票、確定申告書など)
- 母子家庭であることを証明する書類(児童扶養手当証書、戸籍謄本など)
- 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)
- 印鑑(認印可)
▶ 児童扶養手当を受給している方は、申請時に提出できる証明書類についても確認しておきましょう。詳しくは児童扶養手当の月収条件を参照してください。
申請窓口と時期
- 申請窓口:お住まいの市区町村役場 国民健康保険担当課
- 申請時期:毎年6~7月頃に保険料決定通知が届いたら、できるだけ早めに申請
申請時の注意点
- 自治体独自の減免制度は「毎年申請」が必要な場合が多いので、忘れず更新する
- 収入状況が変わったときは、速やかに自治体へ届け出る
- 申請が遅れると、さかのぼって軽減が適用されないケースもある
申請書記入例
多くの自治体では、申請書の記入例やサンプルを公式ホームページに掲載しています。「国民健康保険 減免申請 記入例」などで検索し、事前にチェックしておくとスムーズです。不明な点は窓口で相談しましょう。
母子家庭が知っておきたい他の支援制度との関係

国民健康保険料の軽減に加えて、母子家庭向けには医療費助成など、利用できる支援制度が複数あります。あわせて賢く活用しましょう。
▶ 詳しい制度一覧は、ひとり親家庭向け支援まとめもご参照ください。
児童扶養手当との関係
児童扶養手当の受給証書は、母子家庭であることの証明としても利用できます。なお、手当の受給状況は国保の保険料算定に直接影響しませんが、所得申告には注意が必要です。
ひとり親家庭等医療費助成制度
ひとり親家庭の医療費自己負担分を助成する制度が各自治体で整備されています。国保に加入していることが条件ですが、活用すれば医療費負担がぐっと軽くなります。
福祉医療費助成制度との併用
子どもの医療費助成も広く実施されています。地域によっては高校生年代まで無料となる場合もあるため、国保と併せて必ず申請しましょう。
よくある質問(FAQ)
制度の利用にあたって、母子家庭の方から特に多く寄せられる疑問についてお答えします。疑問点をクリアにして、安心して申請を進めましょう。
Q1: 離婚したばかりですが、いつから母子家庭向けの軽減が受けられますか?
▶ 離婚成立時点から対象になります
A1: 離婚が成立した日から母子家庭としての扱いとなり、軽減の対象になります。離婚届を提出後、速やかに市区町村役場で国保担当窓口に報告と手続きを行いましょう。年度途中からでも軽減が適用される場合があります。
Q2: 保険料を滞納してしまいましたが、減免は受けられますか?
▶ 滞納があっても現在分の減免申請は可能です
A2: 過去の滞納があっても、現在の保険料については減免申請ができます。ただし、滞納分に遡って軽減されることはありません。分割納付などの相談もあわせて行うことをおすすめします。
Q3: 収入が増えて軽減が受けられなくなった場合、通知はありますか?
▶ 保険料決定通知で確認できます
A3: 毎年6〜7月ごろに届く保険料決定通知に、軽減の適用状況が記載されています。収入が増えた場合もこの通知で確認できるので、忘れずに目を通しましょう。心配な場合は事前に窓口で相談するのもおすすめです。
Q4: 未成年の子どもだけで国保に加入することはできますか?
▶ 原則不可ですが、特別な事情があれば可能性あり
A4: 基本的には未成年者のみでの国保加入はできません。ただし、保護者不在など特別な事情が認められる場合には、例外的に加入できる可能性があります。自治体の国保窓口に相談してください。
Q5: パート先で社会保険に加入できるか迷っています。どちらがお得ですか?
▶ 社会保険に加入できるなら基本的に有利
A5: 一般的に、勤務先の社会保険に加入したほうが国保よりも負担が軽くなる傾向があります。特に、子どもが被扶養者として無償でカバーされるため、母子家庭には大きなメリットです。ただし、収入や勤務条件により判断が分かれるため、保険料シミュレーションをしてから決めましょう。
Q6: 引っ越したら軽減措置はどうなりますか?
▶ 転居先でも再申請が必要な場合あり
A6: 転居後の自治体で国民健康保険の資格を取得し直すことになります。法定軽減(7割・5割・2割)は引き続き適用されますが、自治体独自の減免制度は変わる可能性があります。新しい自治体の窓口で必ず確認・手続きを行いましょう。
Q7: 収入が急減した場合、年度途中でも申請できますか?
▶ 特別な事情があれば途中申請可能です
A7: 災害や失業、病気などにより収入が大幅に減少した場合は、年度途中でも減免申請が可能です。通常、前年収入に比べて3割以上減少している場合が目安になります。発生から3ヶ月以内に申請する必要がある自治体も多いため、すぐに相談しましょう。
Q8: 会社員からフリーランスになった場合、どのタイミングで手続きすればいい?
▶ 退職後14日以内に国保加入手続きを
A8: 会社を退職して社会保険を喪失したら、14日以内にお住まいの市区町村役場で国民健康保険への加入手続きを行いましょう。必要書類として「健康保険資格喪失証明書」などが必要になります。フリーランス転身後は、前年の所得に基づいて保険料が決定されるため、支払い計画も立てておくと安心です。
まとめ:正しい知識で負担を減らし、未来に備えましょう
母子家庭の国民健康保険料は、正しい情報を知り、制度を上手に活用すれば、大きく負担を減らせます。
- 所得に応じた法定軽減制度(7割・5割・2割)を確認する
- 未就学児がいる場合は、均等割軽減も適用する
- 自治体独自の減免制度にも積極的に申請する
- 医療費助成制度も忘れずに利用する
一歩踏み出して申請すれば、思った以上に支援が得られるはずです。この記事をブックマークして、必要なときに見返せるようにしておきましょう。
「知っているかどうか」で、家計は大きく変わります。