母子家庭でも正社員になれる?子育てと両立しやすい仕事の選び方

スーツ姿で笑顔の母親が街中を歩く様子。子育てと仕事の両立をイメージ。

この記事でわかること

  • 母子家庭でも正社員になりやすい職種
  • 子育てと仕事の両立を実現する職場選びのポイント
  • あえて避けるべき仕事の特徴と理由
  • おすすめ職種の比較表と収入の目安
  • 制度や職業訓練の活用法
  • 体験談やよくある質問への回答

子育てをしながら安定した収入を得たい。そう思っても、母子家庭では正社員として働くハードルが高く感じられるかもしれません。
ですが、家庭と両立しやすく、母子家庭にも適した働き方は確かに存在します。

この記事では、母子家庭でも目指せる正社員の仕事や、子育てと両立しやすい職種について、実情をふまえてわかりやすく解説します。

目次

母子家庭にとって正社員という選択は現実的?

正社員は収入・福利厚生の面で安定している反面、「時間の拘束が長い」「急な呼び出しに対応できない」といった育児との両立の難しさが課題です。

しかし、以下のような条件を満たす仕事であれば、母子家庭でも正社員として働ける可能性は十分あります。

  • 残業が少ない・定時退勤できる
    子どものお迎えや夕食の準備に間に合うよう、定時で帰れるかどうかは重要です。
  • 子育てへの理解がある職場
    子どもの体調不良や学校行事に対して柔軟な対応をしてくれる職場は、精神的な安心にもつながります。
  • 急な休みにも柔軟に対応できる制度がある
    時短勤務やリモートワーク制度がある企業は、突発的な家庭の事情にも対応しやすい傾向があります。

「育児と仕事を天秤にかける」のではなく、育児を前提に仕事を選ぶという考え方がポイントです。

子育てと両立しやすい正社員の仕事とは?

母子家庭の方が現実的に目指しやすく、両立もしやすい正社員職には以下のようなものがあります。

特に人気なのは「事務職」で、時間が読みやすく家庭との両立がしやすいのが理由です。
また、未経験で資格なしの場合は「医療事務」や「介護職」が比較的入りやすい傾向にあります。

なお、地域によって求人の傾向が異なります。
東京・大阪などの都市部では、一般事務やIT系職種が多く、在宅勤務制度や時短勤務制度を取り入れている企業が多い傾向にあります。
一方で、地方では介護職や医療事務などの人材需要が高く、未経験からスタートしやすい環境が整っていることが多いのが特徴です。

近年では、子育て世代に向けた「在宅勤務」や「フレックスタイム制度」を導入する企業が増えてきました。
フルリモート勤務が可能なIT系企業や、時差出勤ができる事務職などは、家庭との両立を重視した働き方として注目されています。

子育てと両立しやすい正社員職の比較表(一般事務・医療事務・保育士・IT・介護)
主要な職種について「両立しやすさ・月収・資格・在宅可能性」を図で比較
職種両立しやすさ月収の目安必要資格在宅・柔軟勤務
一般事務★★★★★18〜25万円不要(PCスキルあれば有利)一部可能(企業により)
医療事務★★★★☆17〜23万円医療事務資格推奨原則出勤
保育士★★★☆☆20〜28万円保育士資格不可
IT・Web系★★★★☆25〜40万円スキル・実務経験重視フルリモート可多数
介護職★★★☆☆20〜26万円初任者研修など不可

あえて避けたい仕事・両立が難しい職種

子育てとの両立が難しく、母子家庭の方にはおすすめしづらい職種も存在します。
以下のような仕事は、勤務時間や労働環境の面で負担が大きくなりやすいため、慎重に検討しましょう。

  • 長時間勤務が前提の仕事
    営業職、飲食業の管理職などは残業や休日出勤が多く、保育施設の時間帯と合わず、生活リズムを崩しやすくなります。
  • 夜勤が多い仕事
    看護師の夜勤専門や警備職などは、深夜帯に子どもを預けられる環境が限られており、家庭と仕事の調整が困難です。
  • 土日勤務が必須の仕事
    接客業や販売職など、週末にシフトが集中しやすい職場は、保育園が開いていないなどの理由で家庭側の調整が大変になります。

もちろん、個別の職場によっては柔軟な働き方が可能な場合もありますが、勤務形態や育児制度の有無は必ず事前に確認するようにしましょう。

正社員を目指す前に確認しておきたい3つのポイント

  • 保育園の預け先は確保できているか?
    勤務時間と保育時間が合わないと継続が難しくなります。事前に延長保育や学童の利用も視野に入れて準備しましょう。
  • 残業や休日出勤に対応できるか?
    フルタイム勤務の場合は、家族やシッターなど協力体制の確保も検討が必要です。
  • 勤務先に育児への理解はあるか?
    時短勤務制度や在宅勤務の可否、突発的な休みへの対応姿勢を面接時に確認しておくと安心です。

【体験談】35歳で未経験から正社員に

「保育園に預けたのをきっかけに、一般事務の正社員に挑戦しました。最初は不安でしたが、子育て経験が活かせる場面もあり、職場の理解も大きかったです」
(千葉県・Aさん・35歳・母子家庭)

厚生労働省の「令和4年 就業構造基本調査」によると、30〜40代女性のうち、正社員を希望する割合は約60%を超えており、その多くが「育児との両立ができる職場」を重視しているという結果が出ています。

このデータからも、子育てと正社員勤務の両立を希望する人が多く、社会的なニーズが高まっていることがわかります。

正社員を目指す母子家庭に活用できる支援制度

母子家庭が安定した正社員雇用を目指すには、国や自治体が用意する支援制度を上手に活用することが重要です。以下では代表的な制度の概要と、活用の流れをわかりやすく紹介します。

高等職業訓練促進給付金

母子家庭の母親が、看護師や保育士、介護福祉士などの資格取得を目指して専門学校などで1年以上の職業訓練を受ける場合、在学中の生活支援として「高等職業訓練促進給付金」が支給されます。

  • 月額:10万円前後(市区町村によって異なる)
  • 支給期間:最大2年間
  • 支給対象:指定された資格取得を目的とする訓練

訓練終了時には、修了支援金が別途支給されることもあります。

自立支援教育訓練給付金

こちらは、より短期間で取得できる資格を対象とした支援です。通信教育や民間スクールなどで対象講座を受講し修了した場合、受講費用の60%(上限20万円)が支給されます。

  • 対象資格:医療事務、簿記、介護職員初任者研修など
  • 条件:事前に自治体の相談窓口で訓練の承認を得る必要あり

自立支援センターでの就業相談

各都道府県には「母子・父子自立支援センター」が設置されており、就職相談やハローワークとの連携、職業訓練講座の紹介などを無料で受けられます。

  • 履歴書・面接対策のアドバイス
  • 求人紹介や職場体験の機会
  • 子どもの預け先の相談も可能

制度活用に不安がある方は、まずはセンターに相談することで自分に合った支援策が見えてくるはずです。

よくある質問(FAQ)

Q. 未経験でも正社員を目指せますか?

A. はい、医療事務や介護職、一般事務では未経験者向け求人も多数あります。
特に介護業界は慢性的な人手不足により、未経験歓迎の求人が多く、職場で丁寧に指導を受けられる環境も整っています。
医療事務も短期講座などで学べば、十分に正社員を目指せる職種です。

Q. 何歳までなら正社員を目指せますか?

A. 40代でも職種によっては十分可能です。
特に介護職・医療事務・事務職など、年齢よりも人柄や意欲を重視する職場では、幅広い年齢層が採用対象となっています。
また、地方自治体の職員採用(会計年度任用職員など)では年齢制限がないケースもあります。

Q. 資格がないと正社員は難しいですか?

A. 職種によって異なります。
医療事務や保育士、介護職などは資格があると有利ですが、必須でない求人も存在します。
一般事務やコールセンターなどは「資格不要・未経験OK」と明記されているケースも多く、育児経験そのものが活かせる場面もあります。

Q. 子どもが小さいうちはパートの方が良いですか?

A. 子どもの年齢や支援体制によって異なりますが、パート勤務は時間調整がしやすい一方で、収入が不安定・雇用保障が弱いというデメリットもあります。
育児休暇や社会保険が整っている正社員の方が、長期的な安定を得やすいという面もあります。


まとめ:正社員=難しい ではなく、選び方がカギ

母子家庭だからといって、正社員をあきらめる必要はありません。
子育てと両立しやすい職種を選び、支援制度も活用することで、無理のない就労スタイルを実現することができます。

まずは「自分に合った職種はどれか?」を見極めるところから始めてみましょう。
家庭環境・預け先・支援制度など、自分の条件に合わせて最適な働き方を選ぶことで、正社員として安定した生活を手に入れることは可能です。

繰り返しになりますが、高等職業訓練給付金自立支援教育訓練給付金などの制度を活用すれば、資格取得のハードルも大きく下がります。
迷ったときは、お住まいの市区町村の自立支援相談窓口や、ハローワークのキャリアコンサルタントに相談してみるのも一つの方法です。

給付金制度から正社員への一歩を踏み出す

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