母子家庭の生活保護の金額について|2人世帯の場合の支給額と計算例

生活保護を受ける母子家庭が受け取れる金額を計算例を使いながら解説

母子家庭で生活保護を受給されている方、あるいはこれから申請を検討されている方にとって、実際にいくらの支給があるのかは大きな関心事だと思います。特に、お子様の年齢や世帯の状況によって支給額が変わってくるため、具体的な金額を知りたいというご要望も多いのではないでしょうか。

このページでは、2024年4月現在の最新の基準に基づき、母子家庭の生活保護の支給額について、実際の計算例を交えながら詳しくご説明いたします。

目次

母子世帯の生活保護 基本支給額|実際の手取り金額をケース別に解説

生活保護を受ける母子家庭への基本支給額

生活保護の支給額は、世帯の人数やお子様の年齢、お住まいの地域などによって決まります。特に母子世帯の場合は、母子加算や教育扶助など、様々な加算や扶助が組み合わさって総支給額となります。まずは、典型的な2人世帯のケースに基づいて、基本的な支給額の計算方法をご説明していきましょう。

生活保護の支給額は地域によって違うのでしょうか?

生活保護の基準額は地域によって1級地-1から3級地-2までの6段階に分かれています。都市部ほど給付額が高く設定されており、例えば東京23区(1級地-1)と地方都市(3級地-2)では、同じ世帯構成でも月額で2~3万円程度の差が生じることがあります。

2人世帯(母親と3歳児)の場合:生活扶助15万円+住宅扶助の計算例

3歳のお子様がいらっしゃる母子世帯の場合、基本となる生活扶助費に、母子加算と児童養育加算が加わります。さらに、住宅扶助や教育扶助なども考慮した総支給額を見ていきましょう。

扶助の種類金額(1級地-1の場合)備考
生活扶助基準額82,860円2人世帯の基準生活費
母子加算23,260円母子世帯への加算
児童養育加算10,190円3歳未満の場合
住宅扶助(上限)69,800円東京都特別区の場合

上記の金額に加えて、実際の家賃額や光熱費、また医療費が必要な場合は医療扶助も支給対象となります。例えば、家賃が月額6万円のアパートにお住まいの場合、以下のような支給総額となります。

母子世帯(3歳児)の支給総額例
  • 生活扶助基準額:82,860円
  • 母子加算:23,260円
  • 児童養育加算:10,190円
  • 住宅扶助実費:60,000円
  • 総支給額:176,310円

お住まいの地域や実際の家賃額によって総支給額は変わってきます。生活保護の申請をお考えの場合は、お住まいの地域の福祉事務所に具体的な金額をご確認ください。

2人世帯(母親と小学生)の場合:教育扶助を含めた月額支給総額

小学生のお子様がいらっしゃる場合は、教育扶助が加わります。教育扶助には、学用品費、通学用品費、学校給食費などが含まれます。また、お子様の年齢が上がることで、生活扶助基準額も変更になります。

扶助の種類金額(1級地-1の場合)備考
生活扶助基準額87,430円2人世帯(小学生含む)
母子加算23,260円母子世帯への加算
教育扶助(基準額)2,600円学用品費等
学校給食費5,000円程度実費支給
住宅扶助(上限)69,800円東京都特別区の場合
STEP
教育扶助の申請

お子様の在学証明書や学校からの納付書類を福祉事務所に提出します。給食費は実費支給となるため、学校からの請求額がわかる書類が必要です。

STEP
学習支援制度の利用

多くの自治体で無料の学習支援事業を実施しています。福祉事務所に相談することで、学習支援や学習塾の費用補助を受けられる場合があります。

STEP
その他の教育関連費用の相談

修学旅行費や部活動費など、臨時的な教育費用については、その都度福祉事務所に相談することができます。

教育扶助以外にも、お子様の教育に関する支援制度があります。ケースワーカーの方に相談してみましょう。

2人世帯(母親と中学生)の場合:学習支援費を含む支給総額の例

中学生のお子様がいらっしゃる世帯では、教育扶助の金額が変わるとともに、学習支援費が加算されます。また、部活動に関する費用なども支給対象となる場合があります。

扶助の種類金額(1級地-1の場合)備考
生活扶助基準額89,720円2人世帯(中学生含む)
母子加算23,260円母子世帯への加算
教育扶助(基準額)5,100円学用品費等
学習支援費9,800円基準額
給食費5,500円程度実費支給
住宅扶助(上限)69,800円東京都特別区の場合
中学生の教育関連で支給対象となる費用
  • 教科書・学用品・通学用品費
  • 学校給食費
  • 部活動費(実費・上限あり)
  • 修学旅行費(実費)
  • 通学に要する交通費

具体的な支給額事例

地域区分母子2人世帯の支給総額例内訳
1級地-1(東京23区)176,310円生活扶助116,310円+住宅扶助60,000円
1級地-2(横浜市)171,510円生活扶助116,310円+住宅扶助55,200円
2級地-1(名古屋市)160,510円生活扶助111,510円+住宅扶助49,000円
2級地-2(地方都市)155,710円生活扶助111,510円+住宅扶助44,200円

地域によって生活扶助基準額と住宅扶助の上限額が異なります。上記の金額は3歳児のいる2人世帯の一例です。実際の支給額は、お住まいの地域の福祉事務所にご確認ください。

パート収入がある場合の実支給額|月8万円・12万円収入の場合の計算例

生活保護を受けている母子家庭でパート収入があるときの実支給額

生活保護を受給しながら働くことは可能です。収入認定の際には、一定額の控除があり、働くことで手取り収入を増やすことができます。実際の計算例を見ながら、収入がある場合の支給額について詳しく説明していきましょう。

月8万円の給与収入:基礎控除後の生活保護支給額

パートタイム勤務で月8万円の収入がある場合、実際の生活保護支給額はどのように計算されるのでしょうか。収入認定における控除の仕組みを具体的に見ていきましょう。

STEP
基礎控除の計算

収入が8万円の場合の基礎控除額: ・収入額の30%:24,000円 ・必要経費控除(通勤費等):実費 基礎控除額の合計は平均で30,000円程度となります。

STEP
収入認定額の確定

収入認定額の計算: 収入額80,000円 – 基礎控除額30,000円 = 収入認定額50,000円

STEP
実支給額の計算

最低生活費から収入認定額を差し引いた額が実際の支給額となります。

項目金額備考
最低生活費(2人世帯)182,180円生活扶助+住宅扶助等
収入認定額50,000円控除後の額
生活保護支給額132,180円最低生活費-収入認定額
実質手取り総額212,180円支給額+収入

働くことで基礎控除分の収入が手元に残り、実質的な手取り額を増やすことができます。

月12万円の給与収入:手取り総額の具体的な計算方法

月12万円の収入がある場合は、基礎控除額が異なってきます。また、収入が増えることで生活保護の支給額は減少しますが、基礎控除により手取り総額は増加します。

項目金額備考
給与収入120,000円月額収入
基礎控除額40,000円収入額の33%程度
収入認定額80,000円控除後の額
最低生活費182,180円2人世帯の場合
生活保護支給額102,180円最低生活費-収入認定額
実質手取り総額222,180円支給額+収入

生活保護と児童扶養手当の合計受給額

母子家庭で生活保護を受けていても児童扶養手当は一部支給

生活保護を受給している場合でも、児童扶養手当は一部支給されます。ただし、生活保護の収入認定の対象となるため、実際の手取り額の計算には注意が必要です。具体的な計算方法と実例を見ていきましょう。

児童扶養手当の支給額(2024年4月現在)
  • 全部支給:43,070円(月額)
  • 一部支給:43,060円~10,160円(所得に応じて変動)
  • 第2子加算額:10,170円~5,090円
  • 第3子以降加算額:6,100円~3,050円

児童扶養手当4万3,070円を含めた総支給額の計算例

児童扶養手当を受給している場合の生活保護支給額は、以下のように計算されます。児童扶養手当は収入認定の対象となりますが、一定額が控除されます。

項目金額備考
児童扶養手当43,070円全部支給の場合
手当からの控除額8,000円生活保護制度による控除
収入認定額35,070円手当額-控除額
最低生活費182,180円2人世帯の場合
生活保護支給額147,110円最低生活費-収入認定額
実質手取り総額190,180円支給額+手当

児童扶養手当の受給により、基本的な生活保護費に加えて、手当からの控除分が実質的な手取りとして加算されます。

非課税世帯の場合に利用できる追加の支援金額

生活保護受給世帯は非課税世帯となるため、以下のような追加支援を受けることができます。これらの支援金は、原則として収入認定の対象外となります。

非課税世帯向け支援制度
  • 就学援助制度(自治体により支給額が異なる)
  • 子育て世帯生活支援特別給付金(児童1人当たり年額5万円)
  • 高等学校等就学支援金(公立高校の場合、授業料相当額)

実費支給される扶助費|対象となる金額と計算例

医療費は生活保護の扶助費になり実費支給

生活保護では、基本的な生活扶助や住宅扶助に加えて、実際にかかった費用が支給される実費支給の制度があります。特に住宅や医療に関する費用は、実費支給の対象となることが多いです。

住宅扶助:都市部の上限額と家賃実費の支給例

地域区分2人世帯の上限額備考
1級地-169,800円東京23区等
1級地-265,000円東京都市部等
2級地-154,000円地方中核市等
2級地-249,000円地方都市

住宅扶助は、実際の家賃額が上限額以下であれば、その実費が支給されます。また、引越しが必要な場合は、以下の費用が対象となります。

引越し関連の支給対象費用
  • 引越し業者への支払い費用(見積書必要)
  • 敷金(地域の相場による)
  • 礼金(地域の相場による)
  • 仲介手数料(法定の範囲内)

医療費関連の実費支給

医療扶助は、医療機関での窓口負担が不要となる「現物支給」が基本です。通院に要する交通費は、以下の基準で実費支給されます。

交通費支給の条件支給額備考
片道1km以上実費最も経済的な経路
通院移送費実費医師の意見書必要
医療扶助は全ての医療機関で使えますか?

医療扶助は、生活保護指定医療機関でのみ使用できます。救急時などのやむを得ない場合を除き、事前に福祉事務所への相談が必要です。

通院交通費の支給を受けるには何が必要ですか?

通院日数の確認できる書類(診察券の記録など)と、交通機関の領収書または定期券の写しが必要です。また、事前に通院先の医療機関について福祉事務所の承認を得ておく必要があります。

お薬代は別途支払いが必要ですか?

医療扶助の対象となる医療機関・薬局では、お薬代の自己負担は発生しません。ただし、医療保険の適用外となる医薬品は対象外です。

医療扶助を利用する際は、必ず事前に福祉事務所に相談し、必要な手続きを確認しましょう。急な体調不良など緊急の場合は、受診後速やかに報告することで対応可能な場合があります。

生活保護基準の改定について|定期的な確認のお願い

生活保護の支給基準は、物価の変動や一般世帯の消費動向などを踏まえて定期的に見直されます。このページでは2024年4月時点の情報を掲載していますが、今後の改定により金額が変更される可能性があります。

定期的な確認が必要な項目

  • 生活扶助基準額(通常、毎年度見直し)
  • 住宅扶助の上限額(地域により改定時期が異なる)
  • 母子加算や教育扶助などの各種加算額
  • 児童扶養手当の支給額

最新の支給基準や金額については、お住まいの地域の福祉事務所にお問い合わせください。また、制度改定に関する情報は、厚生労働省のウェブサイトでも確認することができます。

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