母子家庭が横浜市で家賃補助を受けるには?制度の内容と申請方法【2025年版】

この記事でわかること

  • 横浜市の家賃補助制度の内容
  • 対象となる母子家庭の条件
  • 補助金額・申請のタイミング
  • 他制度との違いと併用可否
  • 申請時の注意点とよくある誤解

「家賃の支払いが不安」「子どもと安心して暮らせる住まいを確保したい」――横浜市でそんな悩みを抱える母子家庭の方へ、この記事では家賃補助に関する制度とその利用方法を詳しく解説します。

目次

横浜市の母子家庭向け家賃補助とは?

横浜市には、家賃を直接補助する制度は存在しませんが、代わりに住居費を軽減する仕組みが複数用意されています。

代表的な制度として、「ひとり親家庭住宅支援資金貸付制度」があります。これは条件を満たすことで返済免除になる可能性もある貸付制度です。また、市営住宅の優先入居や、子育て世帯向けの賃貸支援制度「子育てりぶいん」なども利用できます。

① ひとり親家庭住宅支援資金貸付制度

月額上限4万円、最長12か月間の貸付が可能です。就職・転職条件を満たせば返済免除になります。

ひとり親家庭住宅支援資金貸付制度の流れ図解
貸付から返済免除までの流れ(ひとり親家庭住宅支援資金貸付制度)

貸付利用には、横浜市母子家庭等就業・自立支援センター「ひとり親サポートよこはま」での就労支援計画の作成が必須です。単なる経済支援ではなく、自立支援として位置づけられています。

② 市営住宅・特定優良賃貸住宅の優先入居

市営住宅の家賃は、民間賃貸より大幅に安価で、母子家庭などの裁量世帯は入居優先枠があります。年2回の定期募集や常時募集枠もあり、継続的に申し込み可能です。

18歳未満の子どもがいる場合、「子育てりぶいん」制度も利用できます。これは家賃補助付きの民間賃貸住宅で、月2~3万円の補助が受けられるケースもあります。

対象となる母子家庭の条件

制度によって条件は異なりますが、主に以下の要件を満たす必要があります。

  • 児童扶養手当を受給している、またはそれと同等の所得水準にある
  • 自立に向けて就労の意欲がある
  • 現在の家賃を自己負担している
  • 市内在住または市内に通勤しており、6か月以上の居住歴がある
  • 住民税に滞納がない

家賃補助の内容と金額

ここでは各制度の金額と内容を簡潔に整理します。

制度名支援内容金額目安返済義務
ひとり親家庭住宅支援資金貸付制度月額家賃を一部貸付(上限4万円)最大12か月×4万円条件により免除
市営住宅(優先入居)家賃が安価(収入に応じて算出)月2〜4万円台が中心なし
子育てりぶいん家賃の一部を補助月2〜3万円補助(最大6年間)なし

制度を活用した母子家庭の事例

1. 離職中 → 就職して返済免除:佐藤真奈美さん(仮名)

横浜市戸塚区にお住まいの佐藤真奈美さん(35歳)は、小学3年生の娘さんと2人で暮らす母子家庭。離婚後はパート勤務を辞め、求職中の状態が続いていました。月7万円を超える家賃の支払いが家計を圧迫し、今後の生活に強い不安を抱えていたといいます。

そんなとき、「ひとり親家庭住宅支援資金貸付制度」の存在を知り、「ひとり親サポートよこはま」に相談。就労支援計画を作成し、家賃4万円の貸付を受けながら就職活動を行いました。その結果、半年後に事務職として再就職が決まり、1年間の継続勤務を経て返済が全額免除に。

「焦って条件の悪い仕事に就かなくてすんだのが大きかったです。娘との時間を取りつつ、安定した仕事が見つかって、ようやく先が見えてきました」と話す佐藤さん。現在は少しずつ貯蓄を増やし、将来に向けた準備を始めているそうです。

2. パート勤務 → 転職して返済免除:山口綾子さん(仮名)

保土ケ谷区に住む山口綾子さん(38歳)は、中学1年生の息子と2人暮らし。離婚後、スーパーのレジスタッフとしてパート勤務をしていましたが、時給制で収入が安定せず、生活は常に綱渡りの状態だったといいます。

「ひとり親家庭住宅支援資金貸付制度」を知った山口さんは、就労支援計画の作成後、家賃貸付を受けながら正社員の求人を探すことに。希望していた医療事務職に転職が決まり、現在も勤務を継続中。貸付から1年後に返済免除の通知を受けたときは「やっと報われた」と涙が出たそうです。

「生活が落ち着いたことで、息子にも笑顔が戻りました。補助を受けられたのはもちろん、あのとき転職する決断を後押ししてもらえたことが何より大きかったです」と語ってくれました。

申請の流れと必要書類

申請は制度ごとに異なりますが、事前相談と提出書類の準備が重要です。

  • ひとり親サポートよこはまでの相談予約と支援計画作成
  • 横浜市社会福祉協議会での正式申請
  • 必要書類:住民票、所得証明、賃貸借契約書など

他の家賃補助制度との違いと併用可否

貸付型の支援という点で、横浜市の制度は他自治体とは異なります。他制度との併用は、自己負担額の範囲内であれば可能です。

ただし、複数の貸付を同時に利用することはできません。児童扶養手当などの現金給付とは併用可能です。

注意すべき点とよくある誤解

以下のような誤解や注意点があります。

  • 貸付=返済が必要。ただし条件を満たせば免除
  • 申請が必要。自動適用ではない
  • 申請は段階的で、就労支援計画からスタート
  • 収入が増えると対象外になることもある
Q. 自動で家賃補助はもらえますか?

A. いいえ。すべての制度は申請が必要です。

Q. 借りたお金は本当に返さなくていい?

A. 就職・転職条件を満たした場合に限り、返済免除されます。

Q. 他の支援と併用できますか?

A. 現金給付(児童扶養手当など)は併用可能ですが、家賃補助系制度との併用は一部制限があります。

まとめ|家賃補助をうまく活用して生活を安定させよう

横浜市には、家賃を直接支給する制度はありませんが、「貸付→条件付き免除」や「家賃の低い公営住宅への優先入居」という形で、住まいの安定を支える支援が整っています。

不安がある方は、「ひとり親サポートよこはま」にまず相談してください。将来の生活設計と合わせて、自分に合った制度を選ぶことが生活再建の第一歩になります。

この記事の監修者

吉田 美咲(よしだ みさき)
社会福祉士/母子家庭支援アドバイザー
子育てと福祉の相談室「ミモザ」代表

神奈川県の福祉行政に10年以上従事した後、母子家庭の生活・教育・住まい支援に特化した相談業務を行う。自身も母子家庭として子育てを経験しており、制度の実情と現場のリアルの両面に精通。

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