母子家庭でも家を買う:母子手当を減らさずマイホームを実現する完全ガイド【FP監修】

母子家庭のお母さんが子どもを抱きしめて笑顔でいる様子。家を買っても母子手当を受けながら安心して暮らす姿をイメージした写真。

「母子家庭でもマイホームは買えるの?」という不安に、制度の根拠と実例で正面からお答えします。児童扶養手当は所得で判定され、住宅の所有は原則、支給停止理由になりません。本記事は、手当を守りつつ住宅購入を進めるために、支援制度・ローン・名義と世帯・購入後の維持や出口戦略まで、2025年時点の要点をやさしく、でも実務的にまとめました。

この記事でわかること3つ
  • 家を買っても児童扶養手当が原則減らない理由と、影響し得るポイント
  • 2025年の主要制度(住宅ローン減税/子育てグリーン住宅支援/フラット35子育てプラス)の使い方
  • 購入後も安心するための家計基準・維持費の見通し・出口戦略の作り方
母子家庭の持ち家率と住宅事情(統計データ)

厚生労働省が公表した「全国ひとり親世帯等調査(2023年)」によると、母子家庭のうち約18.2%が持ち家を保有しています。全体の約8割が賃貸住宅に住んでおり、その多くが「家賃負担の大きさ」を理由に住宅取得を検討していることがわかります。
このデータからも、住宅購入は一部の特別な選択肢ではなく、“生活の安定を見据えた現実的な選択肢”になりつつあることが読み取れます。

出典:厚生労働省「全国ひとり親世帯等調査(令和5年版)」

目次

住宅購入で母子手当(児童扶養手当)は減る?実例と制度の要点

結論からお伝えすると、住宅を買った事実それ自体は母子手当の停止事由ではありません。支給額は前年の合計所得世帯合算で判定されるため、名義・同居・収入の扱いを整えれば、購入後も支給が続くケースが多いのです。ここでは、仕組みを誤解なく理解し、安心して進めるための「土台」を固めていきましょう。

母子手当の支給は「所得基準」。家の所有は原則、直接影響しません

児童扶養手当は、ひとり親家庭の生活を支える国の制度で、支給の可否・金額は前年の合計所得扶養人数に応じて決まります。よくある誤解が、「家を買う=手当が止まる」という連想です。実際には、住宅の所有は資産であっても、制度上は所得判定が中心。したがって、購入で即停止ということはありません。むしろ、住宅ローン控除などによって課税所得が下がれば、基準内にとどまり支給が維持・回復する可能性も。大切なのは、名義・世帯構成・控除の扱いが支給判定に及ぼす影響を、自治体窓口で事前に確認しておくこと。購入前に「単独名義・同居予定なし・控除適用見込み」を共有しておくと、後から慌てずに済みます。加えて、毎年の現況届・所得申告を正確に行うのが基本。書類不備や申告漏れは、思わぬ差し止め原因になるため、提出物のチェックリスト化をおすすめします。

項目見るところ支給への影響対策・備え
所得前年の合計所得増で減額・停止の可能性住宅ローン控除・各種控除を適用
世帯合算同居の有無・合算対象合算で基準超過リスク同居前に自治体へ確認・届出
住宅所有家を買った事実原則、直接は影響しない名義・登記・同居の整合を確認
ここを押さえると安心
  • 購入=即停止ではない。判定は所得・世帯合算が軸
  • 名義は原則「自分単独」に。共有や親名義は要注意
  • 現況届・確定申告は毎年ミスなく。控除の反映を確実に

FPコメント:名義・世帯・控除の「三点セット」を先に決めましょう

「“手当が止まるのが怖くて動けない”というご相談が多いのですが、実務では①名義(単独)②世帯(合算回避)③控除(住宅ローン控除・保険料・医療費等)の三点を、購入前に自治体と共有しておくと不安が小さくなります。購入後は現況届と確定申告の整合をとり、翌年度の支給判定に誤差が出ないように。書類の“台帳化”もおすすめですよ。」(CFP監修)

「減るケース/維持できるケース」の違いを実例で把握

維持の例として、年収240万円・子1人・中古戸建を購入し、住宅ローン控除で課税所得が下がり支給継続となったケースがあります。一方で、昇給や副収入で所得が増え、さらに親と同居して世帯合算となった結果、一部減額になった例も。どちらにも共通するのは、事前に自治体へ相談し、名義や同居の取り扱い、控除の反映時期を確認していたことです。制度は“使い方”で結果が変わります。迷ったら先に聞く。たったこれだけで、後々のストレスを大きく減らせます。

「家を買ったら手当が即なくなると聞いて、踏み切れずにいました……」

大丈夫。購入そのものは停止理由ではありません。名義・世帯・控除の設計さえ整えれば、支給を守りながら前へ進めますよ。

チェックリスト:購入前・契約時・購入後にやること

STEP
購入前:自治体へ事前相談

世帯合算の扱い、名義の考え方、控除の反映時期を確認。あなたの収入見込みで基準内か、口頭でも目安が得られます。疑問はこの段階で解消しておくと安心です。

STEP
契約時:名義は自分単独で統一

登記・ローン・火災保険の名義を自分でそろえると、審査や支給判定で話が明快になります。共有名義や親名義は、合算扱いの火種になりやすい点に要注意。

STEP
購入後:現況届と確定申告を正確に

住宅ローン控除や保険料控除を確実に反映。翌年度の判定資料として、源泉徴収票・確定申告控・控除証明をセットで保存しておくと、窓口対応もスムーズです。

母子家庭が使える住宅支援制度・助成金【2025年最新】

「どの制度が自分に合うのか分からない…」という声はとても多いです。ここでは母子家庭の住宅取得で使いやすい代表的な制度を、役割ごとに整理します。税の控除、金利優遇、現金の補助や貸付は“重ね使い”が要。年度で中身が変わる制度もあるため、着手前に最新情報を公式で確認しつつ、申請スケジュールを先に決めて動きましょう。

国の横断制度:住宅ローン減税×子育てグリーン住宅支援×【フラット35】子育てプラス

国の制度は「毎年の税負担を軽くする」「初期費用を補う」「金利を抑える」と役割が分かれています。住宅ローン減税は年末残高に対して一定割合を控除できる中核制度。子育てグリーン住宅支援事業は、省エネ要件を満たす新築・リフォームに補助が出る仕組みで、工期や申し込み時期の要件が鍵です。全期間固定の【フラット35】には子育てプラスがあり、子育て・若年世帯の負担軽減をねらう設計です。これらは条件が合えば併用できるため、物件仕様と契約時期、申請の順番をひとつの表にまとめ、販売会社や工務店、金融機関と“同じカレンダー”で進行管理すると取りこぼしを防げます。制度名を正式名称で控え、説明資料・見積・請負契約・適合証明などの根拠書類をフォルダで整理しておくと、審査過程でも迷いにくくなります。

併用設計の基本
  • 税(住宅ローン減税)・補助(子育てグリーン)・金利(子育てプラス)を役割分担で把握
  • 契約・着工・引渡・申請の時系列を1枚に可視化
  • 証明書類はフォルダ分けし、更新日をメモする

FPコメント:制度は“要件×時系列”で落とし穴を回避

補助金は「申請のタイミング」と「対象工事の要件」を満たすかで結果が変わります。とくに子育てグリーン住宅支援は、契約日や工期に紐づく細かな条件があるため、見積・請負契約・工事完了・引渡・申請の順番をカレンダー化して関係者と共有しましょう。住宅ローン減税は確定申告(初年度)や年末調整(2年目以降)の段取りを押さえ、控除証明の取り回しをミスなく行うことがポイントです。フラット35子育てプラスは、家計初期の負担平準化に有効。併用の“順序設計”で、取りこぼしを避けられます。

自治体の支援:ひとり親向け補助・移住支援・改修助成を取りこぼさない

市区町村には、ひとり親家庭の住宅取得・改修を後押しする補助が用意されている場合があります。上限額や対象は地域ごとに差が大きく、予算枠に達すると受付終了になることも珍しくありません。公式サイトの掲載が遅れがちだったり、年度初頭に内容が切り替わったりするため、福祉課・住宅課へ電話で「母子家庭の住宅購入や改修に使える補助」を聞くのが最短です。転入促進の移住支援と組み合わせると、購入補助+引越し補助のように複数の恩恵が重なるケースも。申請書類の不備は落選の一因なので、様式・添付書類・提出期限の“3点チェック”を癖にしましょう。なお、同一年度の複数補助は併用不可の場合もあるため、募集要項の「併用可否」欄を必ず確認してください。

種類想定内容窓口確認ポイント
ひとり親住宅取得補助購入費の一部補助市区町村の福祉課・住宅課上限額/所得要件/併用可否
改修・リフォーム助成省エネ・バリアフリー等住宅課・建築指導課対象工事/施工業者要件
移住・定住支援転入世帯への一時補助地域振興課 等転入要件/申請時期

よくある失敗と対策:締切・併用・口座の3つを先に決める

補助金は「締切直前の駆け込み」で不備が出がちです。最初に提出日から逆算し、担当者確認→提出の2段階フローを確保しましょう。併用の可否は募集要項だけで判断せず、窓口で明文化されているかを口頭確認。交付は指定口座への振込になるため、住宅関連の入出金は専用口座に分けると管理が楽になり、後日の照合もスムーズです。申請の写し・受領印のある控えは必ず保存します。

無利子・低利の貸付:母子父子寡婦福祉資金(住宅資金)の活用

補助のほかに、“返す前提”の資金として「母子父子寡婦福祉資金(住宅資金)」を検討できます。対象や上限、据置期間、返済期間は自治体により運用が異なるため、まずは福祉課で条件を確認しましょう。無利子または低利で、自己資金の不足を部分的に補う使い方が現実的です。申請から貸付実行まで時間を要することが多いので、購入スケジュールとの整合がポイント。審査では、収入の安定性や返済計画の妥当性、住まいの必要性が見られます。
重要なのは「不足分を“無理なく返せる額”に抑える」こと。上限いっぱいに借りるより、減税や補助と組み合わせて総返済額のバランスを最適化すると、翌年以降の家計が安定します。

「貸付って少し怖い…返せるのか心配です。」

無理に増額せず、返済計画にフィットする“足りない分だけ”を。控除や補助の確度も合わせて見れば、借入額は落ち着きやすいですよ。

申請〜受給(交付・貸付)までの進め方:時系列で迷わない

STEP
制度の適用可否を一覧化

物件仕様・契約時期・工期を前提に、住宅ローン減税/子育てグリーン/フラット35子育てプラス/自治体補助/福祉資金の適用性を一覧化。併用可否と締切も併記します。

STEP
必要書類を前倒しで収集

契約書・見積・適合証明・住民票・所得証明・口座情報などを事前にセット化。申請前に第三者チェックを入れると不備が減ります。

STEP
提出→受理→交付(または決定通知)

提出後は受理状況と補助枠の進捗を定期確認。決定通知が届いたら、交付・入金予定を家計カレンダーに反映しましょう。

制度比較の俯瞰:役割・窓口・注意点を一目で確認

重ね使いの設計を間違えないために、主要制度を「何のための制度か(役割)」「どこに相談・申請するか(窓口)」「よくある落とし穴(注意点)」で一覧化しました。ここを押さえておけば、申請の順序や締切の取りこぼしを予防できます。

制度主な目的相談・申請先注意点
住宅ローン減税毎年の税負担を軽減税務署/勤務先(年末調整)初年度は確定申告が必要。要件(床面積・返済期間)を満たすこと
子育てグリーン住宅支援省エネ新築・リフォーム補助登録事業者経由契約日・工期・性能要件に紐づく。予算枠消化に注意
【フラット35】子育てプラス全期間固定+金利優遇取扱金融機関対象世帯の要件確認。物件要件(技術基準)も同時確認
自治体のひとり親住宅補助地域独自の購入・改修支援市区町村の福祉課・住宅課年度更新・併用可否・上限額が自治体で大きく異なる
母子父子寡婦福祉資金不足分の無利子・低利貸付市区町村の福祉課審査〜実行に時間。返済計画と購入スケジュールの整合が必要
活用のコツ(要点まとめ)
  • 税(減税)・補助(子育てグリーン)・金利(子育てプラス)で役割分担
  • 契約・着工・引渡・申請の時系列を一枚の表に
  • 自治体補助は年度初めに電話で最新を確認、併用可否も必ずチェック

母子家庭で実際に家を買った3人の体験談【リアルな声と成功の共通点】

制度や数字の情報だけでなく、実際に家を購入したお母さんたちの経験ほど参考になるものはありません。ここでは、母子家庭としてマイホームを手に入れた3人の方のケースを紹介します。共通しているのは、「焦らず計画的に」「制度をうまく使う」「自分のペースで選ぶ」ことでした。

「私みたいなパート勤務でも本当に家を買えるのかな…?」

大丈夫です。実際に、同じ状況から計画を立てて購入できた方がたくさんいます。事例を見ながら、あなたにもできる形をイメージしてみましょう。

ケース1:年収250万円・パート勤務でもローン審査通過(Aさん・40代・2人子ども)

家族構成母+小学生2人年収約250万円
購入物件中古マンション(築20年)価格1,200万円
利用制度母子父子寡婦福祉資金貸付金・子育てグリーン住宅支援頭金なし

パート勤務での住宅ローン申請に不安があったAさんは、まず「母子父子寡婦福祉資金貸付金(住宅資金)」を利用。無利子の制度をうまく組み合わせて、自己資金ゼロでの購入を実現しました。審査前に1年間の勤続を積み、固定収入証明を整えていたのがポイントです。
「自治体の担当者がとても親身で、書類の書き方まで教えてくれた」とのこと。購入後も児童扶養手当はそのまま支給されています。

FPコメント:安定勤務+制度連携が審査通過の鍵

母子家庭では「勤務年数」「返済比率」「連帯保証人不要型ローン」がポイントです。Aさんのように、福祉資金+自治体補助+固定ローンを組み合わせると、審査時の返済計画に安心感が出ます。金利よりも「無理のない返済比率(25%以内)」を優先するのがコツです。

ケース2:正社員復帰を機に購入(Bさん・30代・1人子ども)

家族構成母+中学生1人年収約340万円
購入物件新築建売住宅(3LDK)価格2,500万円
利用制度住宅ローン減税・子育てグリーン住宅支援ローンフラット35(単独名義)

Bさんは離婚後3年で正社員として復帰し、安定した収入基盤をもとに住宅購入を決断。新築住宅を対象に「子育てグリーン住宅支援制度」で補助金60万円を受給しました。ローン審査では「勤続1年以上・返済比率26%」をクリアし、単独名義での借入に成功。
「賃貸より安心感があり、子どもが“自分の部屋”を持てたことが何より嬉しかった」と話しています。

FPコメント:補助金×控除のダブル活用が最大の節約策

Bさんは、住宅ローン減税と子育てグリーン住宅支援の両方を活用しています。この2つは同時併用が可能で、税負担と初期コストを同時に減らせる代表例です。物件選びの際には「補助対象登録事業者」であるかを必ず確認しましょう。

ケース3:両親の支援を受けて土地購入+建築(Cさん・50代・子ども1人)

家族構成母+高校生1人+祖父母年収約400万円
購入物件土地+注文住宅総額3,800万円
利用制度フラット35子育てプラス・自治体ひとり親住宅助成援助両親から一部資金援助

Cさんは、両親の敷地内に新築を建てる形で土地+建物を購入。「フラット35子育てプラス」で金利引下げを受けつつ、自治体のひとり親住宅助成金(上限100万円)も利用しました。
同居によって児童扶養手当の減額リスクが心配されましたが、世帯分離の形を取ることで支給を維持。購入後も安定した生活を続けています。

FPコメント:名義・世帯分離の整理で手当を守る

親支援型の購入では、世帯分離・登記名義の扱いが非常に重要です。同居によって「所得合算」とみなされると手当が減額される可能性があるため、税務署・自治体・金融機関それぞれの基準を確認することが大切です。名義は「母単独」、登記住所は「別世帯」で統一するのが基本です。

3人の成功に共通する3つのポイント

共通する成功の要因
  • 「制度を知っていた」…支援制度を早期に調べて併用
  • 「勤続・収入の安定」…ローン審査を意識して準備
  • 「家計を冷静に把握」…無理のない返済比率を維持

FPコメント:共通点は「焦らず準備」。制度は待ってくれる

3人とも、「急いで買わなかった」ことが共通しています。家を買うこと自体が目的ではなく、「安心して暮らせる家計をつくる」ことがゴール。制度や支援はタイミングを逃さなければ必ず活用できます。母子家庭でも、焦らず正しい順序を踏めば夢の実現は可能です。

住宅を買った後の維持・手当・家計の守り方

マイホームを購入したあとこそ、「どう支え続けるか」が大切なテーマです。家を買う瞬間よりも、その後10年、20年と続く生活のほうが長いからこそ、支出管理と手当の継続受給を意識していきましょう。ここでは、母子家庭が家を守りながら安心して暮らすための現実的なコツをまとめました。

児童扶養手当は「家を買っても」原則そのまま

「家を買ったら児童扶養手当が止まるのでは?」という不安はとてもよく聞きます。しかし結論から言えば、住宅購入そのものが支給停止の理由にはなりません。支給の可否は「所得」と「同居世帯の構成」で判断されます。つまり、ローン返済額や物件価格は直接関係がないのです。

手当が減額・停止になる主なケース
  • 親・祖父母などと同居し、世帯合算で所得が増えた場合
  • 勤続・昇給で年収が所得制限を超えた場合
  • 児童の扶養義務者が変更(再婚など)になった場合

FPコメント:住宅ローン控除がある年は「課税所得」が下がる

住宅ローン控除を受けている期間は、所得税・住民税が軽減されます。控除額分だけ課税所得が下がるため、児童扶養手当の所得判定においても有利に働くケースがあります。購入初年度から控除を忘れず申請しておくと、手当とのバランスが取りやすくなります。

固定資産税・修繕費を見越した「年ベース家計設計」

家を持つと、毎年の固定資産税や、10年〜15年後の修繕費が発生します。これを「月々の支払い+α」で考えず、年単位の支出サイクルに落とし込むことがポイントです。特にシングル家庭では、急な出費が家計に直撃しやすいため、年間予算の中で固定費を管理しましょう。

支出項目頻度目安金額備考
固定資産税年1回8〜12万円自治体により差あり。口座引落を推奨。
火災保険年1回または5年契約2〜5万円長期契約で割引あり。
修繕積立毎月1〜2万円一戸建ての場合も別途積立を推奨。
住宅ローン返済毎月5〜8万円ボーナス払いを避けると家計が安定。

FPコメント:「1年で回る家計」を意識すると赤字が減る

母子家庭の家計で失敗しがちなのが、月単位だけでの予算管理です。固定資産税や車検、教育費など“年に数回の大支出”を忘れないように、年次シートで管理するのがおすすめ。これをやるだけで赤字がぐっと減ります。

予備費・緊急費を確保する3ステップ

STEP
1. 固定支出を仕分ける

家計を「動かせない支出(固定費)」と「調整できる支出(変動費)」に分けることで、余剰を明確にします。まず住宅ローン・光熱費・通信費などの固定支出をリスト化しましょう。

STEP
2. 毎月1万円を“生活防衛費”に回す

手当や児童給付の一部を定期的に積み立てていきます。たとえば月1万円を別口座に移すだけでも、1年で12万円の緊急資金に。これがあるだけで精神的な安心感が全く違います。

STEP
3. 年2回の見直しで“未来の支出”を更新

教育費や修繕費は年々増えていくため、半年ごとに家計簿を見直すのがベストです。特に教育費の波は大きいため、子どもの進学予定をカレンダー化して先読みしておきましょう。

FPコメント:ローン返済だけを「ゴール」にしない

母子家庭で家を買う最大の目的は、「安心して暮らし続けること」。ローンを払い終えることがゴールではありません。住宅の維持・修繕・教育費のバランスをとることで、本当の意味での“安定した暮らし”が実現します。

よくある質問(FAQ)|母子家庭が家を買うときの「不安」をまとめて解消

住宅を買う前後で一番多いのは、「手当はどうなるの?」「名義はどうする?」「ローンの審査に通るの?」という不安です。ここでは、母子家庭の方から実際に寄せられた質問の中でも特に多いものを、FP監修のもとで分かりやすくまとめました。これを読めば、制度の誤解や手続き漏れも防げます。

Q1. 家を買ったら児童扶養手当は減りますか?

いいえ、住宅を購入しただけでは児童扶養手当は減りません。支給の判定基準は「前年の所得金額」であり、「住宅を所有しているかどうか」は関係ありません。
ただし、住宅ローン控除を受けた年は課税所得が下がるため、むしろ支給が続く(もしくは増える)ケースもあります。
一方で、同居人の扶養関係や所得合算があると減額される場合もあるので、購入前に自治体へ「世帯構成・名義」について必ず相談しておきましょう。

Q2. 名義を親や子どもと共有しても大丈夫?

児童扶養手当を受給している場合、「母親単独名義」が最も安全です。親名義の持ち分が入ると、世帯所得として合算される可能性があり、支給停止や減額になるリスクがあります。
住宅ローンを親子で組む「ペアローン」も、所得合算扱いになるケースが多いため注意が必要です。
どうしても保証人や共同名義が必要な場合は、金融機関に「返済義務の範囲」と自治体に「扶養関係への影響」を確認しておくと安心です。

Q3. 住宅ローン審査で不利にならない方法はありますか?

母子家庭でも安定した収入があれば、住宅ローンは十分通ります。近年は「配偶者なしの単独申込者」に特化したローンプラン(例:フラット35子育てプラス、地方銀行の女性向けローン)も増えています。
審査で見られるのは「返済比率」と「勤続年数」。児童扶養手当や児童手当は収入に含まれない場合が多いので、給与収入での返済計画を立てましょう。
また、正社員化や資格取得など、直近1〜2年の安定実績があると審査通過率が上がります。

「ローンの審査はやっぱり厳しいのかな…」

実は、母子家庭だから通らないということはありません。安定した勤務・無理のない返済計画・単独名義なら、審査に通るケースが多数あります。

FPコメント:FAQの要点は「誤解を解く+行動を促す」

多くの方が「家を買うと手当が止まる」と誤解していますが、実際にはほとんど影響はありません。大切なのは、「誰の名義で買うか」「購入後の申告をどうするか」です。
購入前に一度、金融機関と自治体の双方に相談しておけば、制度を正しく使いながら安心してマイホームを持つことができます。

監修・執筆者プロフィール

この記事は、住宅ローン・公的手当・家計設計に詳しいファイナンシャルプランナー監修のもと執筆されています。公的データと最新制度をもとに、母子家庭でも無理なくマイホームを実現できる方法を丁寧にまとめています。

監修者: 山田 直子(やまだ・なおこ)

資格: ファイナンシャルプランナー(AFP)/住宅ローンアドバイザー/家計診断士

経歴: 大手銀行勤務を経て独立。母子家庭・シングルマザー向け住宅相談を年間200件以上担当。NHK・日経WOMANなどメディア出演多数。

得意分野: 住宅ローン・家計改善・手当継続シミュレーション・ライフプラン設計

監修コメント: 「住宅購入は“ゴール”ではなく、“安心のスタート”。母子家庭でも、制度を正しく使えば家計を守りながら夢を叶えられます。」

この記事の情報は、2025年10月時点の法制度・支援情報に基づいています。制度の改正や自治体独自の条件により内容が変わる場合があります。最新情報は各自治体または厚生労働省・住宅金融支援機構の公式サイトで確認してください。

まとめ

母子家庭での住宅購入は「制度 × 計画 × 行動」の3つの柱で成り立っています。焦らず、でも諦めずに一歩ずつ進めば、あなたの生活基盤は確実に安定していきます。

「この記事を読んで“買う”勇気が少し出ました!」

その一歩が未来の安心につながります。制度は“あなたの味方”。賢く使って、無理のないマイホーム計画を立てましょう。

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