「母子手当っていつまでもらえるんだろう?」「子どもが高校卒業したらすぐに終わっちゃうの?」そんな疑問をお持ちのひとり親のママさんも多いのではないでしょうか。生活を支える大切な収入源である児童扶養手当(いわゆる母子手当)は、いつまで受給できるのか、正確に知っておくことがとても重要です。
この記事では、令和6年度の最新情報をもとに、母子手当の終了時期や金額、そして終了後に活用できる支援制度までわかりやすくご紹介します。お子さんの年齢に合わせた対策も含めて、ぜひ参考にしてくださいね。
母子手当の基本的な支給期間と終了時期について

まずは母子手当(児童扶養手当)がいつからいつまで受給できるのか、基本的なルールを確認しておきましょう。「子どもが18歳になったらすぐに終わる」と思っている方も多いですが、実はそうではありません。終了時期には明確な決まりがあり、お子さんの生年月日と年度の区切りが関係してきます。また、特別なケースでは20歳まで延長されることもあるんですよ。さらに、支給のタイミングや金額の確認方法もチェックしておくと安心です。一緒に詳しく見ていきましょう。
児童扶養手当は「子どもが18歳になる年度末(3月31日)まで」が基本です
母子手当(正式名称:児童扶養手当)の支給期間は、「児童が18歳に達する日以後の最初の3月31日まで」と定められています。この表現、ちょっとわかりにくいですよね。簡単に言うと、「お子さんが18歳になる年度の終わり(3月31日)まで」ということです。
例えば、お子さんが2007年5月15日生まれだとすると、18歳の誕生日は2025年5月15日。この場合、18歳の誕生日がある2025年度の終わり、つまり2026年3月31日まで受給できることになります。
同様に、お子さんが2007年3月10日生まれなら、18歳の誕生日は2025年3月10日。この誕生日がある2024年度の終わり、つまり2025年3月31日まで受給できます。
- 子どもが18歳になる年度の途中で高校を辞めてしまった場合、母子手当はすぐに打ち切られますか?
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高校を中退しても、「児童が18歳に達する日以後の最初の3月31日まで」という基本ルールは変わりません。ただし、お子さんが就職して一定以上の収入を得るようになった場合は支給停止となる可能性があります。
- 子どもが誕生日を迎える前に所得証明書などの提出は必要ですか?
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所得証明書の提出は毎年8月頃に必要となります(自治体によって時期は異なります)。これは子どもの誕生日に関係なく、全受給者が対象です。18歳になる直前だからといって特別な手続きは必要ありませんが、終了時期が近づいているかどうかは自治体から通知が来ることが多いです。
障害のあるお子さんは20歳の誕生日前日まで特別延長されます
お子さんに障害がある場合は、母子手当(児童扶養手当)の受給期間が特別に延長されます。具体的には、「20歳の誕生日の前日まで」支給されることになっています。これは、障害のあるお子さんの養育にかかる経済的負担が大きいことを考慮した特例措置です。
ここでいう「障害」とは、具体的には以下のような状態を指します:
- 身体障害者手帳1級〜3級相当の障害
- 療育手帳A判定またはB判定相当の知的障害
- 精神障害者保健福祉手帳1級〜2級相当の精神障害
障害認定の申請方法と必要書類
障害を理由に20歳まで延長して受給するためには、通常18歳になる前に市区町村の窓口で特別な手続きが必要です。自動的に延長されるわけではないので注意しましょう。申請には以下の書類が必要となります。

特別児童扶養手当の認定を受けている場合も、別途この申請が必要なので忘れないようにしましょうね。私も焦って駆け込んだ経験があります。
必要書類 | 入手方法 | 備考 |
児童扶養手当障害認定請求書 | 各市区町村窓口 | 窓口で記入も可能 |
障害を証明する書類 | 各種手帳または診断書 | 手帳がない場合は診断書が必要 |
戸籍謄本 | 本籍地の市区町村 | 発行から3ヶ月以内のもの |
世帯全員の住民票 | 居住地の市区町村 | 発行から3ヶ月以内のもの |
マイナンバーがわかるもの | – | 親子両方のもの |
障害認定を受けるための申請は、お子さんが18歳になる誕生日の3ヶ月前くらいから行えることが多いです。余裕をもって手続きをすることをおすすめします。また、自治体によって必要書類や手続きの時期が若干異なる場合があるので、事前に居住地の福祉課などに確認しておくと安心です。
母子手当の支給月は奇数月の6回—令和6年度の振込日と所得に応じた支給額
母子手当(児童扶養手当)は、年6回、奇数月に支給されます。具体的には1月、3月、5月、7月、9月、11月の11日(金融機関が休みの場合は前営業日)に、それぞれ前々月と前月の2ヶ月分がまとめて振り込まれます。
例えば、5月11日には3月分と4月分の手当が支給されるというわけです。これは令和元年11月からの変更点で、それまでは4月、8月、12月の年3回の支給でした。支給回数が増えたことで、ひとり親家庭の家計管理がしやすくなりましたね。
3月分と4月分の手当が支給されます。
5月分と6月分の手当が支給されます。
7月分と8月分の手当が支給されます。
9月分と10月分の手当が支給されます。
11月分と12月分の手当が支給されます。
1月分と2月分の手当が支給されます。
令和6年度の児童扶養手当の支給額は、全部支給の場合、子ども1人の世帯で月額43,070円です。所得に応じて月額10,160円〜43,060円の間で決まる一部支給もあります。子どもが2人以上いる場合は、2人目は10,170円、3人目以降は1人につき6,100円が加算されます。
所得による支給額の違いは後ほど詳しくご説明しますね。
よくある勘違いと知っておくべき例外ケース


母子手当(児童扶養手当)について、「高校を卒業したらすぐに終わる」「子どもが就職したら受給できない」など、間違った情報を耳にすることもあるかもしれません。実際のルールは少し複雑で、様々な例外ケースがあります。
ここでは、よくある勘違いと、知っておくべき重要な例外ケースについて解説します。特に子どもの生年月日と終了時期の関係や、就職後も条件によっては継続して受給できる可能性があることなど、ぜひ正確に理解しておきましょう。これらの知識があれば、将来の家計計画をより確実に立てることができますよ。
「高校卒業したら終わり」は誤解—年度末(3月31日)までが基本です
「母子手当は子どもが高校卒業と同時に終わる」と思っている方は多いですが、これは必ずしも正確ではありません。前述のとおり、児童扶養手当の支給期間は「児童が18歳に達する日以後の最初の3月31日まで」と定められています。ほとんどの場合、高校3年生は18歳に達していますので、高校を卒業する年度の3月31日まで支給されることになります。
児童扶養手当の終了時期を生年月日別に確認してみましょう:
- 平成18年(2006年)4月1日〜平成19年(2007年)3月31日生まれ → 令和7年(2025年)3月31日まで
- 平成19年(2007年)4月1日〜平成20年(2008年)3月31日生まれ → 令和8年(2026年)3月31日まで
- 平成20年(2008年)4月1日〜平成21年(2009年)3月31日生まれ → 令和9年(2027年)3月31日まで
具体的な例でわかりやすく解説
具体的な例で考えてみましょう。お子さんが2007年5月15日生まれの場合、18歳の誕生日は2025年5月15日です。この場合、2025年度中に18歳になるので、その年度末である2026年3月31日まで児童扶養手当を受給できます。高校卒業も通常2026年3月ですから、高校卒業と同時期に手当も終了することになります。
同様に、お子さんが2007年3月10日生まれの場合、18歳の誕生日は2025年3月10日です。この場合も2024年度中に18歳になるので、その年度末である2025年3月31日まで受給できます。高校卒業も2025年3月となりますので、やはり高校卒業と同時期に手当が終了します。



私の長男は6月生まれでしたが、高校卒業と同時期に手当が終了しました。お子さんの生年月日をチェックして、いつまで手当がもらえるのか確認しておくといいですよ!
このように、多くの場合は高校卒業と同時期に児童扶養手当も終了することが多いのですが、高校を留年したり、早期に卒業したりした場合には、実際の卒業時期と手当の終了時期が一致しないこともあります。正確には「18歳になる年度の3月31日まで」という点を覚えておきましょう。
子どもが就職しても年収130万円未満なら継続して受給できます
「子どもが就職したら、母子手当はすぐに打ち切られる」と思っている方も多いのではないでしょうか?実はこれも完全には正しくありません。児童扶養手当は、お子さんが就職しても、一定の条件内であれば継続して受給できることがあるんです。
具体的には、お子さんの年収が130万円未満であれば、就職していても児童扶養手当を受給できます。ここでいう年収とは、給与所得控除後の金額ではなく、総支給額(税金や社会保険料を引く前の金額)を指します。
例えば、高校を卒業した18歳未満のお子さんがアルバイトやパートタイムで働き始めた場合、月収が約10.8万円(年間約130万円)未満であれば、まだ児童扶養手当の対象となります。ただし、正社員として就職し、健康保険や厚生年金に加入した場合は、年収に関わらず「生計を維持する能力がある」とみなされ、手当の対象外となる場合が多いので注意が必要です。
- 子どもが就職した場合、すぐに市役所に届け出る必要がありますか?
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はい、お子さんが就職した場合は、14日以内に「児童扶養手当受給資格喪失届」または「児童扶養手当額改定届」を提出する必要があります。お子さんの就労状況によって提出する書類が異なりますので、まずは自治体の窓口に相談することをおすすめします。
- 就職後の収入が130万円を超えた場合、過払い分は返還しなければなりませんか?
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はい、お子さんの収入が受給資格を超えていたにも関わらず手当を受け取っていた場合、過払い分は返還しなければなりません。そのため、お子さんの就労状況が変わったら、すぐに自治体に届け出ることが大切です。
児童が児童福祉施設に入所した場合の支給停止について
母子手当(児童扶養手当)を受給している間に、何らかの理由でお子さんが児童福祉施設に入所することになった場合、手当の支給はどうなるのでしょうか?このケースも正確に理解しておく必要があります。
基本的に、お子さんが児童福祉施設(児童養護施設、児童自立支援施設、障害児入所施設など)に入所した場合、その期間中は児童扶養手当の支給が停止されます。これは、施設入所中はお子さんの養育費が公費でまかなわれるためです。
ただし、次のようなケースでは支給が継続されることがあります:
- 入所期間が2ヶ月以内の短期間である場合
- 週末や長期休暇など定期的に家庭に戻っている場合(週末帰省型の施設など)
- 通所型の施設(放課後等デイサービスなど)を利用している場合
施設入所時の手続きと退所後の再開方法
お子さんが児童福祉施設に入所することになった場合は、14日以内に市区町村の窓口に「児童扶養手当支給停止届」を提出する必要があります。必要書類としては、施設入所証明書や入所決定通知書などが求められることが多いです。
そして、お子さんが施設を退所した場合も、14日以内に「児童扶養手当支給再開届」を提出することで、手当の支給を再開することができます。このとき、施設退所証明書などの書類も必要になります。
施設入所中は手当が支給されない期間があるため、家計への影響を事前に考慮しておくことが大切です。また、退所後の手続きも忘れずに行って、再び手当が受給できるようにしましょう。自治体によって必要書類や手続き方法が異なる場合があるので、具体的な手続きについては、お住まいの市区町村の窓口に確認することをおすすめします。
母子手当の所得制限と金額の変動について


母子手当(児童扶養手当)は、受給者の所得によって支給額が変わります。「全部支給」と「一部支給」の2つに分かれており、所得が多いほど支給額が少なくなる仕組みです。令和6年度の最新の所得基準と支給額を知っておくことで、自分がいくら受け取れるのか、また収入が増えた場合にどう変わるのかを予測できます。さらに、お子さんが複数いる場合の加算額や、最近の支給額の変更点も確認しておきましょう。所得の申告忘れによる支給停止というトラブルも意外と多いので、年間の手続きスケジュールも押さえておくことが大切です。
令和6年度の全部支給と一部支給の所得基準—収入に応じた支給額の計算方法
令和6年度の児童扶養手当では、所得によって「全部支給」と「一部支給」の2つに分かれています。ここでは、最新の所得基準と、それに基づく支給額の計算方法を詳しく解説します。
まず、児童扶養手当における所得とは、給与収入からいくつかの控除を差し引いた「所得」を基準としています。給与収入と所得は異なる概念なので注意が必要です。例えば、年間の給与収入が204万円の場合、所得は約120万円程度になります(給与所得控除後の金額)。
令和6年度の児童扶養手当の所得基準は次のとおりです:
区分 | 所得基準(扶養親族1人の場合) | 収入の目安(給与収入の場合) | 支給月額(子ども1人の場合) |
全部支給 | 所得が49万円未満 | 約200万円未満 | 43,070円 |
一部支給 | 所得が49万円以上192万円未満 | 約200万円〜365万円未満 | 43,060円〜10,160円(所得に応じて逓減) |
支給停止 | 所得が192万円以上 | 約365万円以上 | 0円(支給なし) |
一部支給の場合、所得が増えるほど支給額が段階的に減っていきます。具体的な計算式は以下のとおりです:
月額 = 43,070円 – (所得額 – 490,000円) × 0.0230169
この計算式は複雑なので、具体的な支給額については、お住まいの市区町村窓口で確認するのが確実です。また、多くの自治体では、所得に応じた支給額の早見表を用意していることもあります。
なお、上記の所得基準は扶養親族が1人(子ども1人)の場合です。扶養親族が増えると所得基準も上がります。例えば、扶養親族が2人の場合は、全部支給の所得基準が87万円、一部支給の所得基準の上限が230万円となります。
児童2人以上の加算額と令和5年度からの支給額変更ポイント
児童扶養手当は、養育している子どもの人数に応じて支給額が増えます。令和6年度の子ども2人以上の場合の加算額は以下のとおりです:
- 2人目:月額10,170円(一部支給の場合は5,090円〜10,160円)
- 3人目以降:1人につき月額6,100円(一部支給の場合は3,050円〜6,090円)
具体的な支給額の例(全部支給の場合)
子どもの人数に応じた児童扶養手当の月額支給額を具体的に見ていきましょう。これは所得が低く、全部支給に該当する場合の金額です。



私は子ども2人を育てているシングルマザーですが、全部支給だと月に5万円以上の手当があるので、本当に生活の支えになっています。ただ、少しでも収入が増えると支給額が減ることを覚えておくといいですよ。
子どもの人数 | 月額支給額 | 年間支給額 |
1人 | 43,070円 | 516,840円 |
2人 | 53,240円(43,070円+10,170円) | 638,880円 |
3人 | 59,340円(43,070円+10,170円+6,100円) | 712,080円 |
4人 | 65,440円(43,070円+10,170円+6,100円×2) | 785,280円 |
令和5年度からの変更点としては、物価上昇に対応するため、児童扶養手当の支給額が0.7%引き上げられました。例えば、全部支給の場合、子ども1人の月額は令和4年度の42,750円から、令和5年度には43,070円に増額されています。この傾向は令和6年度も継続しており、今後も物価の動向により定期的に見直される可能性があります。
なお、一部支給の場合は所得に応じて加算額も減額されます。具体的な金額については、お住まいの市区町村の窓口でご確認ください。
所得の申告忘れによる支給停止を防ぐための年間スケジュール
児童扶養手当を継続して受給するためには、毎年の所得状況の届出(現況届)が必要です。この手続きを忘れると、たとえ所得が基準内であっても手当の支給が停止されてしまいます。ここでは、所得の申告忘れによるトラブルを防ぐための年間スケジュールをご紹介します。
児童扶養手当の届出に関する年間スケジュールは次のとおりです:
市区町村から現況届の案内が送られてきます。内容をよく確認し、必要書類を準備しましょう。
現況届の提出期間です。この期間内に必ず提出しましょう。オンライン申請が可能な自治体もあります。
審査結果の通知が届きます。支給額や支給区分に変更がないか確認しましょう。
現況届の審査結果に基づく新しい支給額が反映された手当が振り込まれます。
変更があった日から14日以内に届出が必要です。特に増収時は報告を忘れると後で返還請求されることがあります。
現況届の提出に必要な書類は以下のとおりです:
- 児童扶養手当現況届(市区町村から送られてくる用紙)
- 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)
- マイナンバー関係書類(通知カードなど)
- 就労証明書または源泉徴収票(収入の証明)
- 養育費に関する申告書
- その他自治体が指定する書類
現況届の申請忘れを防ぐためのポイント
現況届の提出を忘れると、8月分の手当から支給が一時停止されてしまいます。後から提出しても遡って支給されますが、生活に支障をきたす可能性があります。以下のポイントに気をつけて、申請忘れを防ぎましょう。
まず、毎年6月頃から自治体からの通知に注意しましょう。通知が届かなくても8月は現況届の提出月だということを覚えておくことが大切です。スマートフォンのカレンダーに毎年のリマインダーを設定しておくとより確実です。
また、引っ越した場合は必ず転出・転入の手続きをしましょう。住所変更の届出を忘れると、案内が届かなくなります。住所変更があった場合は、14日以内に市区町村窓口に届け出ることが必要です。
さらに、就労状況や所得が変わった場合も速やかに届け出ることで、後々のトラブルを防げます。特に収入が増えた場合は、自己申告を忘れると後から返還を求められることがあるので注意が必要です。
母子手当の終了が近づいた時に確認したい支援制度


母子手当(児童扶養手当)の受給期間が終わりに近づいてきたとき、「これからの生活はどうなるんだろう」と不安を感じるひとり親のママさんも多いことでしょう。でも大丈夫です。児童扶養手当以外にも、ひとり親家庭を支援するさまざまな制度があります。特に子どもの進学に関する支援や、ママさん自身のキャリアアップを助ける制度、住居費の負担を軽減する支援などを知っておくと、将来の計画を立てやすくなります。
この章では、児童扶養手当の終了後も活用できる支援制度について詳しくご紹介します。状況に合わせて適切な支援を受けることで、経済的な不安を少しでも軽減しましょう。
子どもの進学で利用できる高等教育の修学支援新制度(年収380万円未満対象)
お子さんが高校卒業後に大学や専門学校などへの進学を希望している場合、「高等教育の修学支援新制度」を利用することができます。この制度は、2020年4月から始まった比較的新しい支援制度で、住民税非課税世帯(年収約270万円未満)やそれに準ずる世帯(年収約380万円未満)を対象としています。
この制度には以下の3つの支援が含まれています:
- 授業料・入学金の減免:国公立大学なら最大約70万円、私立大学なら最大約140万円が免除されます
- 給付型奨学金:返済不要の奨学金を毎月受け取れます(自宅生は最大約46万円/年、自宅外生は最大約91万円/年)
- 貸与型奨学金の拡充:無利子奨学金の成績基準が実質的に撤廃され、より多くの人が利用できるようになっています
申請方法と申請時期について
高等教育の修学支援新制度を利用するには、主に2つの方法があります。1つは進学前に申し込む「予約採用」、もう1つは進学後に申し込む「在学採用」です。特に「予約採用」は、入学前に支援が決まるため、入学金の減免も受けられるメリットがあります。
申請の流れは以下のとおりです:
高校を通じて申請書類を受け取り、必要事項を記入します。日本学生支援機構のウェブサイトから「スカラネット」に登録・入力も必要です。
記入済みの申請書類と必要な証明書(マイナンバー関係書類など)を高校に提出します。
申請が認められると「採用候補者決定通知」が届きます。この時点ではまだ正式決定ではありません。
進学先の大学等で「進学届」を提出します。これにより正式に支援の対象となります。
授業料等減免と給付型奨学金の支給が始まります。



私の娘は今大学1年生ですが、この制度のおかげで授業料がほぼ無料になり、毎月の奨学金も受けられています。児童扶養手当がなくなっても、この支援があって本当に助かっています。子どもが高校2年生になったら、ぜひ学校に相談してみてください!
注意点としては、すべての大学や専門学校がこの制度の対象になっているわけではないことです。支援対象となる学校かどうかは、文部科学省や日本学生支援機構のウェブサイトで確認できます。また、支援を受けるためには、学業成績などの要件もあります。詳しくは、お子さんの高校の進路指導の先生や、各自治体の教育支援窓口に相談してみることをおすすめします。
ひとり親家庭の自立支援教育訓練給付金—最大20万円の資格取得支援
児童扶養手当の終了が近づいてきたとき、ママさん自身のキャリアアップを考えることも大切です。収入アップのために資格を取得したいと考えている方には、「ひとり親家庭自立支援教育訓練給付金」という制度があります。この制度は、指定された講座の受講料の一部(最大6割、上限20万円)が支給されるものです。
対象となる講座は多岐にわたります:
- 介護職員初任者研修、介護福祉士実務者研修
- 保育士、幼稚園教諭の資格取得講座
- 医療事務、調剤薬局事務などの講座
- 簿記、ファイナンシャルプランナーなどの資格講座
- パソコン関連の資格講座(MOS資格など)
- 看護師、准看護師など医療系の資格(一部講座)
自立支援教育訓練給付金の申請方法
自立支援教育訓練給付金を利用するには、講座の受講前に必ず自治体への事前相談と申請が必要です。受講後の申請では支給されないので注意しましょう。申請の流れは次のとおりです:
まずは住んでいる自治体の母子福祉担当窓口(子育て支援課など)で相談します。自分が希望する講座が対象になるか確認しましょう。
必要書類(申請書、講座の案内や受講料がわかる資料など)を提出します。
申請が認められると、「自立支援教育訓練給付金対象講座指定通知書」が届きます。
指定された講座を受講し、修了します。途中で辞めると給付金は支給されないので注意しましょう。
講座修了後、速やかに支給申請書と修了証書のコピー、領収書などを提出します。
審査後、指定の口座に給付金が振り込まれます(申請から1〜2ヶ月程度かかることが多いです)。
この制度を利用するための主な条件は以下のとおりです:
- 児童扶養手当を受給しているか、同様の所得水準であること
- 講座を受けることが適職に就くために必要と認められること
- 過去に同じ給付金を受けていないこと(1回限りの利用)
- 雇用保険の教育訓練給付を受ける場合は、そちらが優先されること
資格取得後に仕事に就けるよう、ハローワークなどの就労支援と組み合わせて利用するのが効果的です。また、自治体によっては独自の上乗せ支援がある場合もあるので、窓口で詳しく確認してみるといいでしょう。
住居確保給付金など、家計の負担を軽減できる支援制度の申請条件
児童扶養手当の終了が近づくと、家計の見直しが必要になります。特に家賃などの固定費は大きな負担となりますが、そんなときに役立つのが「住居確保給付金」などの住居費支援制度です。ここでは、ひとり親家庭が利用できる住居関連の支援制度についてご紹介します。
まず、住居確保給付金について説明します。これは、離職などにより経済的に困窮し、住居を失った方や失うおそれのある方に対して、家賃相当額(上限あり)を一定期間支給する制度です。
項目 | 詳細 |
支給額 | 市区町村ごとに定められた家賃上限額(東京23区で単身世帯の場合は月約5.3万円程度) |
支給期間 | 原則3ヶ月(最長9ヶ月まで延長可能) |
主な条件 | ・離職等により経済的に困窮していること ・収入が市区町村で定める基準以下であること ・資産が一定基準以下であること ・求職活動を誠実に行うこと |
申請窓口 | 各市区町村の自立相談支援機関(生活困窮者自立支援制度の窓口) |
その他のひとり親向け住居支援制度
住居確保給付金以外にも、ひとり親家庭が利用できる住居関連の支援制度があります。児童扶養手当の終了に備えて、これらの制度も視野に入れてみましょう。



私は児童扶養手当が終わる1年前から、市営住宅への入居申し込みを始めました。倍率は高いですが、ひとり親家庭は優先枠があるので諦めずに応募し続けることが大切です。
- 公営住宅(市営・県営住宅)のひとり親優先枠:多くの自治体では、ひとり親家庭に対して入居選考で優遇措置があります
- ひとり親家庭等日常生活支援事業:引っ越しなどの際にヘルパーを派遣してもらえる制度です
- 母子・父子福祉資金貸付金(住宅資金):住宅の建設・購入・改修などに低利または無利子で融資を受けられます
- 家賃債務保証制度:保証人がいなくても民間賃貸住宅に入居できるよう、家賃債務を保証する制度です
これらの制度は自治体によって内容や条件が異なります。また、申請から利用までに時間がかかることも多いので、児童扶養手当の終了が見込まれる1〜2年前から情報収集を始めておくことをおすすめします。
住居費の負担を軽減することで、児童扶養手当が終了しても家計の安定を図ることができます。自治体の母子福祉担当窓口やひとり親支援窓口で相談してみましょう。また、社会福祉協議会でも住居に関する相談に応じてくれることがあります。
母子手当終了後の家計管理のポイント


児童扶養手当(母子手当)が終了した後も、安定した生活を送るためには、家計管理の見直しが欠かせません。毎月数万円の収入がなくなることは、家計に大きな影響を与えます。しかし、事前に準備をしておけば、その影響を最小限に抑えることができるでしょう。
この章では、収入源を増やす方法や、お子さんの年齢別に見た家計の見直しポイントについてご紹介します。少し先のことでも、今から少しずつ準備を始めることで、将来の不安を軽減することができますよ。
収入源の多様化—厚労省認定の在宅ワークと両立しやすい仕事
児童扶養手当の終了に備えて、収入源を多様化することは非常に効果的な対策です。特に育児と両立しやすい在宅ワークや副業は、ひとり親家庭のママさんにとって魅力的な選択肢となるでしょう。ここでは、厚生労働省が認定する在宅ワークや、育児と両立しやすい仕事についてご紹介します。
厚生労働省が「在宅就業支援事業」として認定している在宅ワークには、以下のようなものがあります:
- データ入力・テープ起こし
- Webサイト制作・更新
- デザイン・イラスト作成
- ライティング・校正・翻訳
- 事務代行・バーチャルアシスタント
在宅ワークを始める際の注意点
在宅ワークを検討する際は、安全に働くための注意点を押さえておくことが大切です。時々、収入や仕事内容に関して過大な宣伝をする悪質な業者も存在するため、以下のポイントに注意しましょう。
まず、厚生労働省が運営する「在宅ワーカーのためのハンドブック」や「ホームワーカーズウェブ」などの公的情報源で基礎知識を身につけることをおすすめします。また、契約内容をしっかり確認し、報酬や納期、著作権の帰属などについて明確にしておくことも重要です。
在宅ワークを始める際の流れは、一般的に次のようになります:
自分が得意なこと、経験があることを整理し、どのような在宅ワークが向いているか考えます。
不足しているスキルがあれば、前述の「自立支援教育訓練給付金」などを活用して習得します。
公的機関のあっせん、クラウドソーシングサイト、自治体の在宅ワーク支援事業などを通じて仕事を探します。
最初は小さな案件から始めて実績を積み、徐々に仕事の幅を広げていきます。
年間の収入が一定額(20万円)を超える場合は確定申告が必要になるため、収支の記録をつけておきます。



私は元々事務職だったので、子どもが中学生になったときにデータ入力の在宅ワークから始めました。最初は月1万円程度でしたが、スキルを磨いて今では月5万円ほどの安定した副収入になっています。子どもが高校卒業して母子手当が終わっても、この収入があるので助かっています。
在宅ワーク以外にも、育児と両立しやすい仕事としては、学校の時間に合わせた短時間パート、土日休みの事務職、資格を活かした専門職(保育士、介護士、医療事務など)などがあります。特に資格があると時給が高くなることが多いので、前述の「自立支援教育訓練給付金」を活用して資格取得を目指すのも良い選択肢です。
お子さんの年齢別に見る家計の見直しタイミングと方法
児童扶養手当の終了に備えるためには、お子さんの年齢に応じて計画的に家計の見直しを行うことが大切です。ここでは、お子さんの年齢別に見た家計見直しのタイミングと方法についてご紹介します。
まず、基本的な考え方として、児童扶養手当が終了するのは「子どもが18歳に達する日以後の最初の3月31日」であることを念頭に置いて、逆算して準備を進めていくことがポイントです。
- 小学生のお子さんがいる場合、今からできる準備はありますか?
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小学生の段階からでも、将来の教育費の準備やスキルアップのための計画を立てることができます。長期的な視点で月々の積立を始めたり、資格取得のための勉強を始めたりするのに適したタイミングです。
- 手当終了後も子どもが大学に通う予定です。どのような支援が受けられますか?
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前述の「高等教育の修学支援新制度」のほか、日本学生支援機構の奨学金、自治体や民間団体の奨学金制度があります。また、大学によっては独自の授業料減免制度がある場合もあるので、進学先の候補校に直接問い合わせることをおすすめします。
高校生のお子さんがいるママさんの準備すべきこと(終了1年前からの貯蓄計画)
お子さんが高校生になると、児童扶養手当の終了が現実的に見えてくる時期です。特に高校2年生から3年生にかけては、具体的な準備を始めるべきタイミングです。以下のような準備を考えましょう。
まず、収入面では、本業の収入アップを目指すか、副業を始めるなど、手当がなくなった後の収入確保を計画します。前述の「自立支援教育訓練給付金」を活用した資格取得もこの時期に検討したい選択肢です。
支出面では、固定費の見直しを行いましょう。特に家賃や光熱費、通信費などの削減可能な項目を洗い出します。また、お子さんの進路によっては、進学費用や就職準備費用なども考慮する必要があります。
貯蓄計画としては、児童扶養手当が終了する1年前からは、可能な限り手当の一部を貯蓄に回すことをおすすめします。例えば、月に1万円でも貯めておくと、1年で12万円の貯蓄ができます。これが終了後の数ヶ月間の家計をサポートする緩衝材となります。
項目 | 終了1年前 | 終了6ヶ月前 | 終了3ヶ月前 |
収入対策 | 副業を開始または本業の収入アップの計画 | 安定した収入源の確保 | 終了後の収入見込みの再確認 |
支出対策 | 固定費の見直し開始 | 不要なサブスクや保険の解約 | 新生活を想定した月々の支出計画 |
貯蓄計画 | 月1万円の積立開始 | 可能なら積立額を増やす | 終了後3ヶ月分の生活費確保 |
行政支援 | 利用可能な支援制度の情報収集 | 必要な申請手続きの準備 | 申請書類の提出 |
中学生のお子さんがいるママさんの今からできる対策(月5千円の積立効果)
お子さんが中学生の段階から、児童扶養手当の終了に向けた準備を始めることで、より余裕を持った対策が可能になります。まだ数年先のことですが、今から少しずつ準備することで、将来の不安を軽減できるでしょう。
収入面では、中長期的なキャリアアップを視野に入れた準備が有効です。例えば、働きながら資格を取得したり、スキルを磨いたりすることで、数年後の収入アップにつなげることができます。自治体のひとり親支援窓口やハローワークのひとり親向けの就労相談を利用して、キャリアプランを立てるのも良いでしょう。
貯蓄面では、「月5千円の積立」を習慣化することをおすすめします。これを5年間続けると、単純計算で30万円の貯蓄になります。さらに、児童手当(中学生までの子どもに支給される手当)の一部を積み立てることも検討してみてください。



私は子どもが中学生になったときから、児童手当の1万円を毎月積み立てていました。高校3年になるときには約36万円貯まり、大学進学時の入学金の一部に充てることができました。早めに計画すると、少額でも大きな助けになりますよ。
また、中学生の段階から、お子さんの進路についても考え始めると良いでしょう。高校卒業後に進学するのか、就職するのかによって、必要な準備や費用が大きく異なります。進学を希望する場合は、高等教育の修学支援新制度や奨学金制度について情報収集を始めておくと安心です。
家計管理の観点からは、家計簿をつける習慣をつけることも大切です。無料の家計簿アプリなどを活用して、収支を把握し、どこに無駄な支出があるかを分析しておくと、いざというときの節約にも役立ちます。
児童扶養手当の終了は、ひとり親家庭にとって大きな変化となりますが、今回ご紹介したような準備を計画的に進めることで、その影響を最小限に抑えることができるでしょう。また、お子さんの成長に合わせて、さまざまな支援制度も利用できます。困ったときは、一人で抱え込まず、自治体の相談窓口やひとり親支援団体、社会福祉協議会などに相談してみてください。きっと道が開けるはずです。