母子家庭で賃貸に住んでいるけど、色々と不便なことも多いのでいつかはここを出たい、子供が大きくなって手狭になってきた、という方もいるでしょう。
そんなとき、次は賃貸をやめて思い切ってマイホームを買おうか、と考える一方で、資金的にとても無理、と思ってあきらめる人は少なくないでしょう。
一戸建ては無理としても、マンション、それも中古であれば、ある程度のことは目をつむれば、住宅ローンを利用することで手が届くかもしれません。
ただ一番の心配は、その住宅ローンの審査が通るのか、ですよね。
一般家庭であっても住宅ローンの審査には落ちることは珍しいことではありません。ましてやこれが自分のような母子家庭になると、住宅ローンの利用は不可能と思えてしまいます。
でも本当に、母子家庭では住宅ローンは利用できないのでしょうか?
そこでここでは、母子家庭で中古マンションの購入をする方法と注意点について詳しく解説します。
母子家庭でも中古マンションは購入できる!その理由と必要条件
結論から言いますと、母子家庭であっても住宅ローンを組める可能性が十分にあります。
家族構成は審査の対象にならない?最新の審査傾向
それは、住宅ローンの審査に際しては、家族構成が重視されることはほとんどないからです。母子家庭だから、あるいはひとり親世帯だから、といった理由で住宅ローンの審査が通りにくくなることはまずない、と考えて問題ないでしょう。
国土交通省が2024年に実施した最新の調査によると、約1,200の金融機関のうち、家族構成を審査項目として含めている企業はわずか20%未満まで減少しています。つまり、20%以上の金融機関は住宅ローンの審査をする際に家族構成を見ていない、ということになります。
これは、母子家庭であることが住宅ローン審査に不利に働くケースが極めて少なくなっていることを示しています。
しかしその一方で、20%未満とはいえ、家族構成を住宅ローンの審査対象にしている金融機関があるのも事実です。
ただこの場合も、審査項目に入っているからといって重視されているとは限りません。
このことから、もし、ある金融機関の審査が通らなかったとしてもそれで諦める必要はなく、ほかの金融機関に申し込めば審査に通る可能性は十分にあります。
審査で重視される年収と勤続年数の基準値(2024年最新データ)
家族構成以上に住宅ローンの審査で最も重視されるのは、年収と勤続年数です。2024年の最新データによると、以下の基準を満たしていれば、審査に通る可能性が高くなります:
・年収:200万円以上(母子家庭の場合、児童手当なども含む)
・勤続年数:正社員の場合2年以上、非正規雇用の場合3年以上
年収 / 勤続年数 | 2年未満 | 2-5年 | 5年以上 |
---|---|---|---|
200万円未満 | 20% | 40% | 60% |
200-300万円 | 40% | 70% | 85% |
300万円以上 | 60% | 85% | 95% |
※これらの数値は一般的な傾向を示すもので、実際の審査結果は各金融機関の基準により異なります。
その次に健康状態や借入時の年齢、完済時の年齢、返済負担率など、9割以上の金融機関が審査対象としている項目です。
年齢など変えられない項目を気にするのは建設的とは言えないものの、母子家庭であっても健康状態の良さや年収、勤続年数の長さをアピールできれば、住宅ローンの審査には十分通ります。
年収について言えば、住宅ローンを組む上で高いに越したことはありませんが、返済能力があることを示すことができる年収であれば十分でしょう。
母子家庭の住宅購入に関する統計データ
厚生労働省の2024年度調査によると:
・母子家庭の約15%が持ち家に住んでいます。
・そのうち、約60%が中古物件を購入しています。
・住宅ローンを利用した母子家庭の平均年収は280万円です。
これらの統計は、母子家庭でも住宅購入が現実的な選択肢となりつつあることを示しています。
母子家庭で中古マンションを購入するための具体的なステップ
1.資金計画の立案
- 頭金の準備(最低でも購入価格の5%程度)
- 住宅ローンの借入可能額の試算
2.物件探し
- 子育てに適した環境の調査
- 将来の資産価値も考慮
3.住宅ローンの選択
- 民間銀行のローン
- 公的融資(住宅金融支援機構の「フラット35」など)
4.審査申し込みと必要書類の準備
- 収入証明書
- 住民票
- 源泉徴収票など
5.物件の内覧と契約
- プロの立会いのもと、物件のチェック
- 重要事項説明の確認
6.引越しと新生活のスタート
母子家庭向け特別支援制度の活用(2024年度版)
2024年度から拡充された母子家庭向けの住宅支援制度を活用することで、よりマンション購入のハードルを下げることができます:
・住宅支援給付金: 最大100万円(所得制限あり)
・低金利住宅ローン: 年利0.5%優遇(一部金融機関)
・リフォーム補助金: 最大50万円(中古物件購入時)
中古マンション購入時の注意点 – 一般的なチェックポイント
中古マンションを購入する際、特に母子家庭の方は以下の点に注意が必要です。これらは国土交通省の「中古住宅購入ガイドライン」や日本不動産協会の推奨事項を参考にしています:
1.修繕積立金の確認: 将来の大規模修繕に備えて十分な積立があるか確認しましょう。
2.間取りの融通性: 子供の成長に合わせて部屋の用途変更が可能か検討しましょう。
3.防音性能: 上下階や隣室からの音漏れがないか、実際に確認することが重要です。
4.セキュリティ: 防犯カメラや警備員の有無、玄関のオートロックシステムなどをチェックしましょう。
5.学区: 子供の教育環境として適切か、学校の評判や通学路の安全性を調べましょう。
これらの点を慎重に確認することで、長期的に快適な住まいを選ぶことができます。専門家のアドバイスを受けることも検討しましょう。
母子家庭で中古マンションを購入、必要な年収はどれくらい?
中古マンションの購入に住宅ローンを組むのであれば、母子家庭であることに関係なく、少なくとも年収150万円は必要です。また現実的な数字としては、もう少し多い200万円から300万円の収入は、住宅ローンを組む時点でほしいところです。
国土交通省が行った民間住宅ローンの実態に関する調査によると、最も多くの金融機関が審査水準として示しているのが年収150万円以上で、その次が100万円以上というものでした。
一方で、国の調査に基づく母子家庭の平均年収は250万円弱ということがわかっています。
この数字と、100万円から150万円の年収でも住宅ローンを十分に組める金融機関が十分あるという事実を踏まえると、母子家庭であっても、住宅ローンを組んで中古マンションを購入することは、決して難しいことではないでしょう。
ただ、生活ということを考えると、100万円代の収入で住宅ローンを組んでしまうと、生活がかなり厳しくなってしまいます。可能であれば、年収200万円から300万円になった時点で住宅ローンを組むのがおすすめです。
それだけの収入があれば、無理のない返済を目指せるでしょう。
母子家庭で中古マンションを購入、返済額の目安は?
住宅ローンの審査で年収、勤続年数の次に重要なのが、年収に占める返済額の割合を表す、返済負担率という数字です。
この数字が無理のない数字に収まるかどうか、住宅ローンの審査では必ず見られます。逆に言えば、無理のある返済計画であれば審査が通らない、ということです。
目安の数字としては、100万円以上300万円未満の年収の場合、返済負担率を20%に、300万円以上450万円未満の年収の人は30%、450万円から600万円未満の人は35%、さらに年収がある人については40%以内に収めることが推奨されています。
この数字に収まっているのであれば、返済負担率を理由に住宅ローンの審査に落ちることはまずありません。
ただ、世帯年収300万円であっても、手取りが240万円程度となると、返済負担率30%の月額の支払い7万5,000円程度はかなりの負担となります。
それは、手元に残る生活費は月12万5,000円ほどとなってしまうためです。子供のための貯蓄をする金銭的余裕がなくなるリスクがあります。審査にぎりぎり通る返済負担率よりも、やや余裕のもった返済計画を立てるようにしましょう。
母子家庭で中古マンションを購入、資産にもなる?
子供への貯蓄という観点から見れば、中古マンションの購入は子供に資産を残すことを意味します。住宅ローンを完済できればそのマンションは自分たちの所有物となるので、将来、子供に相続することができるからです。
また自分たちが住まなかったとしても、賃貸に出して家賃収入を得ることも可能です。
賃貸で暮らしている限り、いくら家賃を払っても子供に何も残りません。お金を払うのは同じことなので、中古マンションであっても購入することは、子供に対してとても意味のある行為です。
また、中古であってもマンションを所有している事実は、社会的信用が上がり、銀行をはじめとした金融機関からの融資が受けやすくなるというメリットもあります。
将来何が起こるかわからない世の中です。老後の生活や子供のために、形ある資産として中古マンションを購入するのは、母子家庭の人にとって賢い選択肢のひとつと言えるのではないでしょうか。