学費を自分では負担が難しいとき、奨学金を利用するという方法があります。
奨学金という制度は昔からあり、珍しいものではありません。ただ、誰でも利用できるというわけではなく、学費を払うのが困難な世帯、つまり収入が少ない世帯が対象になってきます。
奨学金には大きく分けて2種類あって、1つか貸与型奨学金、もう1つが給付型奨学金です。
貸与型というのは学費を貸してくれる奨学金で、のちに返済が必要です。一般的には学校卒業後から返済が始まり、利用時に決めた年数以内に完済する必要があります。
貸与型奨学金はいわゆるローンのようなものですが、返済に際しては、金利が低く抑えられていて、返済者の負担を軽減してくれる措置がとられています。
これに対して給付型は、純粋に学費を支給してくれる奨学金で、貸与型とは異なり、返済する必要がありません。学校卒業後も、もらったままです。
そうなると、当然、給付型奨学金を利用したい、ということになると思いますが、利用するには厳しい条件があり、そのひとつが、子供の成績です。
子供の成績があるレベル以上であることが条件になっているのです。
となると、子供の成績が足りないと給付型奨学金は無理ではないか、と思いますよね。収入の厳しい母子家庭でも、成績が良くないと給付型奨学金は利用できないのでしょうか。
また成績が足りないと、そもそも奨学金自体の利用ができないのでは、と思う方もいますが、実際はどうなのでしょうか。
そこでここでは、母子家庭で成績が足りないときでも給付型奨学金をもらえる可能性はあるのか、見ていきましょう。
給付型奨学金は母子家庭でも成績が足りないとどうなる?
大前提としては、給付型奨学金は成績が足りないと審査には通りにくいと言えます。一般的には5段階評価で3.5はなければ奨学金を受けられません。
では、なぜこのような学力基準が設けられているのでしょうか。その理由はいくつかあります。
社会に貢献する人材への給付を目的としているから
給付型奨学金という制度は、将来的に社会に大きな貢献できる人に学ぶ機会を与えるのが目的です。
そのため、学力が不足していて進学してもあまり優秀な人材になると期待できない場合には、給付型奨学金は適用されません。
もし社会に大きな貢献ができなかったとしても、奨学金として受け取ったお金を返してもらえるように貸与型奨学金を出すという判断になります。
厳しいですが、これは至極当然のことですよね。
進学実績につながらなければ損失になるから
大学の場合には、就職して社会に貢献することが重視されますが、高校の場合には進学実績が重要です。
高校が給付型奨学金を出している場合には、進学実績に貢献してくれる優秀な生徒を求めているのが本音です。そのため、成績が足りないときには給付型奨学金の対象外にします。
学校として費用をかけて生徒を迎え入れるので、学校の評価が上がるように貢献してくれる人でなければならないと考えるのはもっともなことでしょう。
給付型奨学金は母子家庭でも成績が足りないと認められない?
給付型奨学金は、母子家庭だから優遇するといった措置を取っていることはありません。収入基準や資産基準を満たすための材料の一つでしかないというのが実情です。
そのため、母子家庭で経済的に苦しい状況にあると、学力基準以外はクリアできることがよくあります。しかし、子供の成績が足りない場合には給付型奨学金は認められない場合がほとんどです。
給付型奨学金、母子家庭で成績が足りないときはどうすればいい?
では、子供の成績が足りないときは給付型奨学金をあきらめ、貸与型奨学金を選ばなければならないのでしょうか?
実は成績が足りないとしても、給付型奨学金を受けられる可能性があります。
企業の奨学金では成績が足りない状況でも可能性がある
企業が提供している奨学金では、子供の成績が足りない状況でも審査が通る可能性があります。
成績があまりにも低いと厳しいですが、平均程度であっても魅力的な人材だと認められれば給付型奨学金を受けられる場合があるので応募してみましょう。
ただし企業の奨学金では、卒業後にその企業に就職することを給付条件としているのが一般的です。子供が働きたいと思う企業かどうかを吟味した上で奨学金に申し込むかを判断しましょう。
自治体による奨学金では成績が低くても通る場合がある
自治体による奨学金では、一般的な奨学金とは違う基準を設けていることがあります。
他の市区町村の生徒に給付型奨学金が取られてしまっているときなどに、自治体でもう少し基準の低い給付型奨学金を住民限定で提供している場合があるので、確認してみましょう。
他の給付型奨学金で成績が足りない状況でも審査が通る可能性があります。
給付型奨学金は母子家庭でも成績が足らないと審査に通りにくい
給付型奨学金は、たとえ母子家庭でも、成績が足りないとなかなか審査が通らないのが一般的です。
ただ企業や自治体による奨学金では、学力基準が低くなっていて通る可能性があります。
奨学金を受けた後の進路について制限がかかることもある点には注意が必要ですが、貸与型では今後の生活が厳しいという場合には、前向きに検討してみてはいかがでしょうか。
給付型奨学金の紹介
参考として、給付型奨学金をいくつか紹介します。給付型ですからいずれも返済は不要ですが、決められた条件があり、申請して審査を受け、審査に通れば利用することが可能になります。
JASSO(日本学生機構)
独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)が運営する給付型奨学金です。
収入基準のはか、学力基準が次のように定められています。(JASSO HPより抜粋)
1.高等学校等における全履修科目の評定平均値が、5段階評価で3.5以上であること
2.将来、社会で自立し、及び活躍する目標をもって、進学しようとする大学等における学修意欲を有すること
また、給付型だけでなく、貸与型の奨学金も運営しています。
キーエンス財団
公益財団法人のキーエンス財団が運営する給付型奨学金です。奨学金の給付を事業内容とする財団で、HPでは、以下の目的を掲げています。
学業優秀かつ品行方正な学生に対し奨学金給付による経済的な支援を行い、もって社会に貢献する人材の育成に寄与することを目的とする。
応募資格は、募集要項には、「経済的な支援を必要とする者」としか書かれておらず、成績には触れられていませんが、二次選考では、「卒業高校の調査書」が必要となっており、ここで学力基準の判定がされると思われます。
朝日奨学会
朝日新聞の販売所で、新聞配達をしながら大学や専修・各種学校などに通う学生に、返済不要の奨学金を支給する奨学金制度です。
住まいなども無料で提供してくれるので、生活費も苦しいという学生にとっては、とてもありがたい制度です。
これらのほかにも、実は探せば沢山あります。
全国どこでも利用できる奨学金もあれば、その地域に住んでいる世帯が利用できる奨学金、母子家庭のようなひとり親世帯が利用できる奨学金、あるいは音楽や何かのスポーツ、芸術などに秀でている学生を対象にした奨学金などがあります。
利用できる条件も様々なので、成績はちょっと、と思っても、まずは詳しい条件を確認することから始めたいですね。