母子家庭の生活費シミュレーション|厚生労働省データと実例から計算

生活費をシミュレーションする母子家庭の母親

「この収入で子どもと2人の生活がやっていけるのかな…」「将来の教育費もちゃんと準備できるのかな…」母子家庭での生活をスタートするとき、誰もが不安を感じますよね。

この記事では、厚生労働省の「全国ひとり親世帯等調査」のデータと、各自治体が公開している支援制度の情報をもとに、具体的な生活費シミュレーションをご紹介します。収入に応じた家計の立て方や、利用できる支援制度など、実践的な情報を詳しくお伝えしていきますね。

目次

母子家庭のスタート時期の生活費を計算しよう

母子家庭としての新生活で初めのうちかかる生活費を計算

母子家庭としての新生活。最初の1~2ヶ月は様々な費用が必要になります。引越しから新生活スタートまでの初期費用と、暮らしを軌道に乗せるためのポイントをお伝えしていきます。国土交通省の「住宅市場動向調査」や各自治体の公開データをもとに、地域や住居タイプによって異なる費用についても、具体的な金額を解説していきますね。

具体的な費用例や支援制度を紹介しているので、メモを取りながら読んでいくとプランが立てやすいですよ。ご不明な点があれば、記事の最後にあるQ&Aもご確認ください。

✔引越し時の初期費用シミュレーション(23区別データ)

まずは、引越し時に必要な初期費用を地域別に見ていきましょう。東京23区の公開データと不動産仲介会社の相場情報をもとに、必要な費用をシミュレーションしていきます。家賃相場や初期費用は地域によって大きく異なるため、区ごとのデータを参考に、ご自身の希望エリアに必要な金額を計算してみましょう。

区分家賃相場(2DK)初期費用目安各区の住宅支援制度
城東地区8.5-11万円35-45万円区により異なる
城西地区11-14万円45-55万円区により異なる
城南地区12-15万円48-60万円区により異なる
城北地区9-12万円38-48万円区により異なる
都心地区15-20万円60-80万円区により異なる
初期費用に含まれる項目
  • 敷金(家賃の1-2ヶ月分)
  • 礼金(家賃の1-2ヶ月分)
  • 仲介手数料(家賃の1ヶ月分)
  • 火災保険料(2年で1.5-2万円)
  • 引越し業者費用(3-5万円)

初期費用を抑えるポイント

各区の住宅課で利用可能な支援制度を確認できます。物件探しを始める前に、まずは制度の確認をしましょう。

初期費用を抑えるために活用できる主な支援制度をご紹介します。住居確保給付金制度では、一定の条件を満たす場合、最長12ヶ月間の家賃相当額(地域により上限額は異なります)が支給されます。また、東京都母子及び父子福祉資金の住宅資金や、各区独自の住宅支援制度も設けられています。制度の詳細や利用条件は、お住まいの区の住宅課にご確認ください。

STEP
支援制度の確認

お住まいの区の住宅課で利用可能な支援制度を確認。制度によって申請時期が異なるため、早めの確認が重要です。

STEP
物件情報の収集

複数の不動産会社で物件情報を収集。家賃や初期費用の条件を比較しましょう。

STEP
物件検索と内見

収集した情報をもとに物件を内見。通勤・通学の便や周辺環境もチェックしましょう。

✔生活立ち上げ時の必要経費(東京都福祉保健局データ)

新生活のスタートには、引越し費用以外にも様々な費用が必要になります。東京都福祉保健局の「ひとり親世帯生活実態調査」と各区の公的支援制度の情報をもとに、必要な費用と利用可能な支援制度をご紹介します。

費用項目必要額目安利用可能な支援制度申請窓口
冷蔵庫・洗濯機8-12万円母子福祉資金貸付区福祉事務所
電子レンジ・照明2-3万円母子福祉資金貸付区福祉事務所
子供の転校準備3-5万円就学援助制度区教育委員会
光熱費等の契約金2-3万円生活福祉資金貸付区社会福祉協議会

支援制度は複数組み合わせて利用できます。まずは区の福祉事務所で相談してみましょう。

利用可能な支援制度の詳細

母子福祉資金貸付制度は、生活に必要な物品の購入に利用できます。無利子または年1.0%の低金利で、返済期間は最長7年です。生活資金の貸付限度額は50万円となっています。また、各区の社会福祉協議会では、光熱費等の初期費用向けに生活福祉資金の貸付を行っています。

母子福祉資金貸付の申請に必要な書類は何ですか?

必要書類は、①住民票 ②所得証明書 ③戸籍謄本 ④見積書(購入予定の物品)です。詳細は区の福祉事務所にご確認ください。

就学援助制度はいつ申請できますか?

転校先の学校が決まり次第、区の教育委員会に申請できます。認定後、学用品費・給食費等の援助を受けられます。

社会福祉協議会の生活福祉資金貸付は、すぐに借りられますか?

原則として、来所相談から審査まで1週間程度かかります。緊急の場合は、その旨を相談時にお伝えください。

✔緊急時の貯蓄目安(厚生労働省データ)

厚生労働省の「全国ひとり親世帯等調査」によると、予期せぬ支出に備えた貯蓄の必要性が報告されています。ここでは、公的統計データをもとに、世帯年収別の貯蓄の目安と利用できる制度をご紹介します。

世帯年収平均貯蓄額利用可能な制度
200-250万円30万円生活福祉資金貸付制度
250-300万円50万円生活福祉資金貸付制度
300-350万円70万円生活福祉資金貸付制度
350-400万円90万円生活福祉資金貸付制度

お住まいの地域の社会福祉協議会では、世帯の状況に応じた支援制度を案内しています。まずは相談してみましょう。

利用できる貯蓄制度

勤労者財産形成促進制度(財形制度)は、給与からの天引きによる貯蓄制度です。財形貯蓄には、一般財形貯蓄財形年金貯蓄財形住宅貯蓄の3種類があり、それぞれ非課税などの優遇措置が設けられています。

財形貯蓄の種類
  • 一般財形:目的を問わない貯蓄
  • 財形年金:老後の生活資金づくり
  • 財形住宅:住宅取得・改修資金づくり
財形貯蓄は、どのような条件で利用できますか?

勤務先が財形制度を導入している必要があります。利用条件や積立額については、勤務先の担当部署にご確認ください。

生活福祉資金貸付制度とは何ですか?

社会福祉協議会が実施する低所得世帯向けの貸付制度です。用途に応じて、教育支援資金や福祉資金などの貸付を受けることができます。

毎月の生活費を細かく計算しよう

母子家庭の生活費を、家賃や光熱費、食費など細かく計算してみる

月々の生活費を適切に管理することは、安定した生活を送るための重要なポイントです。厚生労働省の「全国ひとり親世帯等調査」と総務省の「家計調査報告(2024年1月)」の母子世帯の家計収支データをもとに、具体的な生活費をシミュレーションしてみましょう。

✔実際の家計収支データから見る生活費の内訳

総務省の家計調査データから、母子世帯の平均的な支出額をまとめました。地域や世帯構成によって実際の金額は異なりますが、家計を考える際の参考値としてご覧ください。

費目全国平均額(月額)大都市圏平均(月額)
住居費家賃・管理費等:47,394円家賃・管理費等:58,251円
光熱・水道電気・ガス・水道:21,534円電気・ガス・水道:23,156円
食費食料費:58,754円食料費:62,897円
教育費教育関連:23,856円教育関連:27,123円
被服費衣類・履物:9,856円衣類・履物:11,234円

これらは総務省の家計調査に基づく平均値です。実際の支出は、お住まいの地域や子どもの年齢などによって変動します。

✔子どもの年齢別の必要経費

文部科学省「子供の学習費調査」のデータをもとに、子どもの年齢別に必要となる教育費と関連経費をまとめました。

教育段階学校教育費(年額)学校給食費(年額)学校外活動費(年額)
小学校(公立)58,943円47,674円156,991円
中学校(公立)136,439円46,634円272,253円
高校(公立)304,583円211,306円

教育費は就学援助制度や高等学校等就学支援金制度の利用で軽減できます。お住まいの自治体の教育委員会に相談してみましょう。

教育費の負担軽減制度

制度名支援内容申請窓口
就学援助制度学用品費・給食費等の援助(自治体により金額は異なる)在学校/教育委員会
高等学校等就学支援金授業料の実質無償化(年収910万円未満の世帯)在学校
高校生等奨学給付金教科書費・学用品費等(住民税非課税世帯が対象)都道府県教育委員会

生活費を抑えるための支援制度

生活費を抑えるための支援制度を受ける

生活費の負担を軽減するため、様々な公的支援制度が用意されています。収入と支出の状況に応じて、適切な支援制度を組み合わせることで、より安定した生活設計が可能になります。

✔児童手当・児童扶養手当の詳細(2024年度)

子育て世帯の基本的な支援制度として、児童手当児童扶養手当があります。以下が2024年度の支給内容です。

手当の種類支給額(月額)所得制限限度額支給時期
児童手当3歳未満:15,000円 3歳以上小学生:10,000円 (第3子以降15,000円) 中学生:10,000円扶養親族1人の場合: 622万円6月、10月、2月に 4カ月分ずつ支給
児童扶養手当第1子:43,070円~10,160円 第2子:10,170円~5,090円加算 第3子以降:6,100円~3,050円加算全部支給:160万円 一部支給:365万円奇数月に 2カ月分ずつ支給

✔住居費に関する支援制度

制度名支援内容申請窓口
住居確保給付金家賃相当額を支給(地域により上限額は異なる) 支給期間:原則3ヶ月(最長12ヶ月)自立相談支援機関
公営住宅優先入居母子世帯は優先入居の対象 (所得制限あり)各自治体の住宅管理窓口
各自治体の住宅支援制度家賃補助や転居費用の補助など (自治体により制度内容は異なる)区市町村の住宅課

✔光熱費・医療費の支援制度

支援分野制度の概要申請窓口
電気・ガス料金各事業者が実施する料金減免制度 (事業者により制度内容は異なる)各事業者窓口
水道料金自治体が実施する料金減免制度 (自治体により制度内容は異なる)水道局
医療費ひとり親家庭医療費助成制度 (自治体により助成内容は異なる)区市町村窓口

✔申請時期と手続きの流れ

支援制度を確実に利用するために、年間の申請スケジュールを把握しておきましょう。多くの制度は年度ごとの更新が必要です。

時期主な手続き申請窓口
1-3月確定申告(2/16-3/15) 住民税申告税務署 区市町村窓口
4-6月児童手当現況届 住宅支援制度の更新区市町村窓口
7-9月児童扶養手当現況届(8月) 就学援助の申請区市町村窓口 教育委員会
10-12月次年度の各種支援制度の確認 医療費助成の更新各窓口

将来の収入アップにつながる支援制度

厚生労働省の「母子家庭等就業・自立支援センター事業」では、就業支援資格取得の支援を行っています。

支援制度名支援内容支給額申請窓口
自立支援教育訓練給付金教育訓練講座の受講料の一部を支給受講料の60%(上限20万円)区市町村
高等職業訓練促進給付金看護師等の資格取得期間中の生活費を支給月額10万円(住民税非課税世帯) 月額7.5万円(課税世帯)区市町村
高等職業訓練促進資金貸付金養成機関への入学準備金・就職準備金入学時50万円 就職時20万円都道府県社会福祉協議会

これらの支援制度の詳細や、その他の支援については、お住まいの地域の母子家庭等就業・自立支援センターにご相談ください。

まとめ:支援制度を活用した生活設計

これまでご紹介した支援制度は、世帯の状況や地域によって利用できる内容が異なります。まずは、お住まいの自治体の窓口で相談することをお勧めします。

相談窓口一覧
  • 区市町村の児童福祉担当窓口
  • 母子家庭等就業・自立支援センター
  • ひとり親家庭支援センター
  • 社会福祉協議会

各種支援制度の内容は変更される場合があります。必ず各窓口で最新の情報をご確認ください。

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