母子家庭の中で生活保護を受けている方は少なくありませんが、生活保護を受けていると色々と制約があり、何と言っても生活自体が大変です。
生活保護をやめるには収入を増やす必要があり、そのためには働かなくてはなりません。パートやアルバイトをしながら就活されている母子家庭の方は多いでしょう。
そして無事就職が決まり新しく会社で働くことになったとき、色々と物入りが必要なことに気が付きますが、すぐには用意できない、というケースはままあります。
スーツや靴、カバンなどを新しく買わないといけない、通勤定期を買わないといけないなど、意外と準備に費用がかかりますよね。そんな時、生活保護を受けている人は、就職祝い金という制度を利用することができます。
就職祝い金というのは、会社に行くための準備のために設けられた制度で、生活保護を受けている人であれば、母子家庭に限らず利用することができます。
ここでは、その就職祝い金について、どのようにすれば貰えるのか解説していきます。
生活保護の受給者が利用できる就職祝い金とは?
就職祝い金は正しくは「就職支度金」と呼ばれ、国による生業扶助のひとつで、生活保護を受けている方の自立支援を目的としています。母子家庭の方で生活保護を受けているのであれば、利用することができます。
祝い金と呼ばれるのは、新しく就職したときにもらえるからですね。
新しく就職するとき、スーツなどの衣服やカバン、靴を買う費用が必要になったり、電車やバスといった公共交通機関を通勤に使うのであれば、通勤定期も必要になってきます。
生活保護を受けている世帯では、こうした費用を工面するのは大変で、それが働くことの障害になってしまうのを防ぐ目的で、就職祝い金という制度が設けられているのです。
ただ、生活保護を受けている母子家庭世帯なら無条件で利用できるわけではありません。決められた条件があり、その条件に当てはまる必要があります。また、支給された祝い金は何にでも使えるということはなく、用途も限定されています。
そこで次に、就職祝い金の支給を受けるための条件、就職祝い金が使える対象について、見ていきます。
生活保護受給者で就職祝い金を受けるための条件とは?
生活保護受給者が就職祝い金の支給を受けるための条件は、社会保険への加入です。母子家庭世帯も例外ではありません。
働いていないときは国民健康保険に加入していると思いますが、就職すると、その会社の健康保険、社会保険に加入するのが一般的です。
そのため、就職するイコール社会保険に加入となりますが、雇用形態によっては加入できないことがあります。それは、正社員や派遣社員は社会保険に加入しますが、パート、アルバイトでは加入しない会社があるからです。
母子家庭の方で、もしパートかアルバイトとして働くのであれば、目指す会社で社会保険に加入できるかどうか、事前の確認が必要不可欠でしょう。
就職祝い金はいくらもらえる?
生活保護受給者の就職祝い金は母子家庭かどうかにかかわらず、29,000円~32,000円となっています。幅があるのは福祉事務所によって違うためで、問い合わせれば確認することができます。
またこの金額は支給の上限で、この金額より安くすんだ場合は、実際にかかった実費が支給されることになります。
そして支給の方法は基本的に現金です。場合によっては「現物給付」が適当であると認められた場合は「現物給付」になる可能性もあります。
例として、スーツや靴が福祉事務所にサイズがあった場合、「現物給付」になる可能性があります。
就職祝い金は何に使うことができる?
就職祝い金は使う用途が限定されています。仕事をするために必要なスーツなどの衣類、靴、カバンなどが主な用途です。
これらとは別に、仕事をするために会社が指定した作業服や作業靴、持ち物等の購入費用も認められます。
また、通勤に公共交通機関を使う場合、会社で支給されるまでの間(一般的には初任給まで)、その交通費も就職祝い金とは別に実費で支給されることになっています。
就職祝い金支給の手続き、絶対に必要な物とは?
就職祝い金は、居住地の福祉事務所に申請します。申請書に所定の事項を記入して提出しますが、その際に必要なのが「領収書」です。
申請書と一緒に、スーツや靴、カバンを購入したときの領収書も一緒に提出しなくてはなりません。それは、実際にいくらかかったのか、福祉事務所の確認が必要だからです。
領収書がないと福祉事務所も金額を確認できず、就職祝い金を支給することができません。そのため、購入時にもらった領収書は絶対になくさないようにしましょう。
また、買うお金がないというときは、いくらかかるかわかれば見積書を提出することで、事前に就職祝い金の支給を受けることもできます。
生活保護を受けている母子家庭世帯が利用できる就職祝い金 まとめ
以上をまとめると、次のようになります。
- 就職祝い金が必要な場合は、必ず社会保険の加入がある職場、雇用形態を選ぶ
- 就職祝い金の限度額は福祉事務所に確認すること
- 就職祝い金は、業務上必要でないものには利用出来ない
- 就職祝い金を利用する場合は、必ず「領収書」をもらうこと
- 就職祝い金の中には、通勤で利用するお金も別途含まれる(これはスーツなどの購入費用とは別で支給されます。)
以上5点が、就職祝い金を利用する際に知っておかなくてはいけないことです。
生活保護を受けている方の自立を支援する制度は様々で、今回紹介しました就職祝い金もそのひとつです。母子家庭で、これから頑張って働きたい、という方にぴったりの制度ではないでしょうか。