母子家庭になることを選び、シングルマザーとしてがんばって働いている方は多いと思います。
ですが子育てと両立となると正社員としての勤務は難しく、時間の融通の利く昼間のパートやアルバイトなどを選ばざるをえないという方もいるでしょう。
しかし問題は収入です。正社員は毎月の給料という形で安定して収入がありますが、パートの勤務は「時給○○○円」などと決まっており、働ける時間が少なければ収入も少なくなってしまいます。
そうなると「このままでは、子供の将来のことを考えても不安、安定した仕事に就くために、なにか手に職をつけられないだろうか?」と考えることもあるでしょう。
資格を取って収入の多い安定した仕事に就きたい、そうすれば生活も安定して将来にも備えられる、とよく言われますが、資格にはたくさんの種類があります。
また資格を取るには専門の学校に通ったり、あるいは通信教育を受けたりとそれなりの出費も必要で、当然ですが、勉学校に行く時間や自宅で勉強する時間も必要になってきます。
忙しくてなかなか時間が取れない母子家庭でも取れる資格には、何があるでしょうか?
実は母子家庭として頑張っているお母さんの中には、看護師を選ぶ方が多い傾向があると言われています。
こんな話を聞くと多くの母子家庭の方は、「看護師になるためには勉強が必要で看護学校にも行かないといけない、でも毎日の生活で精一杯で看護学校に行く時間も費用もないんです」と言いたくなりますよね。
では、なぜ看護師さんに母子家庭の方が多いのでしょうか?
看護師は国家資格ということもあり、収入は安定しています。また職場は病院となりますが、病院は全国にたくさんあるので就職先としては非常に多く、将来的にも失職する可能性がほとんどない安定した職業と言えるからです。
さらに、社会貢献もできるのでやりがいも十分です。
でも何と言っても一番の理由は、看護師を目指す母子家庭をはじめとするひとり親世帯を対象にした公的な給付金システムが確立しているからです。
一般的に看護師になるためには、高校を卒業した後に専門の看護学校へ通い、国家資格の受験資格を取得する必要があります。もちろん一度社会に出て違う仕事を経験してから看護学校に通うことも可能です。
どちらにしても看護学校は大学ならば4年、専門学校でも3年はかかりますので、看護学校にかかる学費やその間の生活費の負担は母子家庭の方にはとても厳しいと言えるでしょう。そしてその負担を支えてくれるのが給付金なのです。
ここでは、母子家庭の方が看護師資格の取得を目指して看護学校に通う場合、どのような給付金を受け取ることができるのか、詳しく解説していきます。
母子家庭が看護学校に通うのを支援してくれる給付金とは?
厚生労働省では母子家庭などのひとり親世帯の貧困をサポートする事業として、「母子家庭自立支援給付金及び、父子家庭自立支援給付金事業」という制度を立ち上げています。
この事業には、「自立支援教育訓練給付金」と「高等職業訓練促進給付金」という2種類の給付金があります。順番に見ていきます。
自立支援教育訓練給付金
これは、母子家庭や父子家庭の母や父が安定した収入を得るために資格を取得しようとする活動を、国が支援する給付金です。
対象となる資格が決まっており、その各養成機関を受講した際に、修学終了時に使った経費の60%を支払ってくれるという制度です。この給付金制度を利用する条件は、
- 母子家庭、父子家庭などの母、または父であること。
- 20歳未満の児童を扶養していること。
- 児童扶養手当を受けていること、または、同等の所得水準であること。
- 適職につくために、この資格が必要だと判断できること。
などです。
もちろん看護師になるための看護学校も対象内です。他にも医療社会福祉関係(介護福祉士、保育士、歯科衛生士、理学療法士など)、輸送関係(自動車免許、クレーンなど)、情報関係(PC技術など)、専門職(司書、行政書士、税理士など)、事務関係(語学検定、簿記など)と、幅広く対応してくれています。
高等職業訓練促進給付金、高等職業訓練終了支援給付金
自立支援教育訓練給付金はもちろんありがたい制度ですが、支払いは修業終了後です。看護学校など数年を必要とする資格をめざす母子家庭の方には、その間の生活がやはり心配でしょう。
そんな時に利用できるのが高等職業訓練促進給付金です。
こちらは、母子家庭などひとり親世帯の父や母が看護師や介護福祉士などの資格を取得するために、1年以上、看護学校などの養成機関で修業する際、生活のサポートを目的として毎月支給される給付金です。
この給付金制度を利用する条件は、
- 母子家庭、父子家庭などの、母または父であること。
- 20歳未満の児童を扶養していること。
- 児童扶養手当を受けている、または同等の所得水準であること。
- 希望の養成機関で6ヵ月以上修業し、資格を見込めること。
などです。
月々に支払われる給付金の金額は、
- 非課税世帯には、100,000円(最後の1年は140,000円)
- 課税世帯には、75,000円(最後の1年は110,500円)
となります。
この金額を、上限を4年間として修業する期間いっぱいもらえるという大変助かる給付金です。
看護師になるための看護学校はもちろん対象です。他にも、介護福祉士、保育士、歯科衛生士、理学療法士、保健師、助産師、シスコシステムズ認定資格(ネットワークスキルの資格)、LPI認定資格(PC技術の資格)など、さまざまです。
さらに看護学校での修業終了後には、高等職業訓練終了支援給付金も支給されます。こちらは非課税世帯ばらば50,000円、課税世帯ならば25,000円となります。
いずれも市区町村役場で手続きができますので、わからない時は相談に行ってみましょう。
母子家庭で看護学校に通う、給付金以外で利用できるのは?
母子家庭で看護学校に通うとき、これまで解説してきました給付金のほかに奨学金を利用するという方法もあります。
それは「日本学生機構支援奨学金」で、経済的に苦しく看護学校に通う学費が払うことが難しい人の支援を目的とし、国内の看護学校に進学する人が利用の対象となっています。もちろん母子家庭の方も利用は可能です。
母子家庭で看護学校に通う間の生活費の負担軽減のため、「高等技能訓練促進費」や「入学支援修了一時金」の支給を受けることができます。
先の給付金とは異なり、貸付なので返済は必要ですが、看護学校の学費をまかなう方法のひとつです。
母子家庭で看護学校に通うなら、是非給付金の利用を考えましょう
母子家庭として頑張っているシングルマザーの方の中には、「自立して、しっかりと子供を育てたい」と考えている方は多いでしょう。
もちろん養育費がもらえるならばそれに越したことはありませんが、自分が資格職についておけば、長く安定してお子さんを守ってあげられますよね。
中でも看護師は、収入、安定性という面で安心して取り組むことができ、看護学校にかかる費用、通っている間の生活費の支援を受けることができることから、人気の資格になっています。
近年の日本には、母子家庭の方を支える給付金制度がとても充実しています。知らない人も多いので、知識をしっかり入れてうまく活用してください。
お母さんが楽しく頑張っていれば、きっとお子さんの心にも良い影響があるのではないでしょうか。