母子家庭として日々がんばっているお母さんたちは、子供との生活を支えるために働いている方がほとんどだと思います。母子家庭の仕事としては子供に時間を合わせやすいアルバイトやパートの方が多いと思いますが、「自分でビジネスを始めたい」と考えている方もいるでしょう。
ビジネスを始める理由としては、持っている資格を活かしたい、自分でやりたいことがある、お店を持ちたいなど、自分の夢をかなえるのと同時に、経済的にも少しでも楽になって、母子家庭だからといって子供に苦労させたくない、といったことがあるでしょう。
しかし母子家庭などのひとり親世帯にとって、一番の悩みは経済的な問題です。
事業を始めるには、業種にもよりますが多額の費用が必要です。母子家庭でそれまでギリギリの生活をしてきたのであれば、使える費用も多くはないでしょう。必要な費用を工面できず、残念ながら諦めてしまうことも少なくありません。
そんな時、利用を検討したいのが、母子父子寡婦福祉資金貸付金制度です。
母子父子寡婦福祉資金貸付金制度というのは、母子家庭をはじめとするひとり親家世帯が利用できる、国による公的融資制度です。
貸付金と聞くと消費者金融などを思い浮かべる人は多いと思いますが、この制度は国によって運営されており、母子家庭やひとり親世帯の経済状況に配慮した融資制度です。
ただし、貸付金は何にでも使えるというわけではなく、用途が指定されています。ここが一般の貸付金との一番の違いでしょう。
指定されている用途は全部で12種類あり、それぞれに貸付金の限度額や、利用者の条件、利息などが細かく決められています。そしてその用途のひとつに「事業開始資金」があり、その名前の通り、事業を始めるのにあたって必要になる費用を目的としています。
この事業開始資金を借りることができれば、母子家庭で手持ちの資金が少なくてもビジネスを始められる可能性が広がるでしょう。
ただ事業開始資金は母子家庭であれば誰でも利用できる、というわけではありません。条件があります。また貸付金の金額には上限があり、返済期間、利息など、様々な制約があり、事前にしっかりと理解しておく必要があります。
そこでここでは、母子家庭で事業開始資金が利用できる条件や制約、利用の手続きなどについて、解説しています。
母子家庭の起業を支援、事業開始資金とは?
先に述べましたように、事業開始資金は母子父子寡婦福祉資金貸付金制度のひとつです。そして母子父子寡婦福祉資金貸付金制度は、内閣府の男女共同参画局により策定されました。
男女共同参画局は、「男女共同参画社会を実現するための法律、基本計画、関係予算等のほか、男女共同参画に関する政策の制定・活動を行う」(出典:男女共同参画ホームページ)内閣府直下の組織で、男女共同参画社会の達成を目指しています。
男女共同参画社会とは、「男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会」(出典:男女共同参画ホームページ)と定義されています。
男女平等の社会を目指そう、そのためには母子家庭やひとり親家庭を支援しよう、ということですね。そういった社会を実現するための法令・制度のひとつに「母子父子寡婦福祉資金貸付金制度」がある、ということです。
事業開始資金とは
事業開始資金は、男女共同参画ホームページでは次のように定義されています。
「事業(例えば洋裁、軽飲食、文具販売、菓子小売業等、母子家庭・父子福祉団体については政令で定める事業)を開始するのに必要な設備、什器、機械等の購入資金 」
ここでは実際に店舗を持つことが前提になっているように見えますが、今はネットビジネスも多く、パソコンやネット環境の設備などの機材なども対象になります。
母子家庭で在宅ワークとしてパソコンでビジネスを始める、といったことにも利用が可能です。
事業開始資金が利用できる対象者
事業開始資金を利用できるのは、まず第一に、申請する自治体が管轄する地域に住んでいることです。地域外からは申請することはできません。その上で、次のいずれかに該当する方です。
- 20歳未満の児童を扶養している母子家庭の母
- 20歳未満の児童を扶養している父子家庭の父
- 寡婦(配偶者と死別または離縁した人)
母子家庭であっても扶養する子供の年齢が申請する時点で20歳以上の場合は、事業開始資金を利用することはできません。申請の時点で20歳未満であれば、返済の途中で20歳になるのは問題ありません。
ただし地域によっては、兵庫県のように、
- 兵庫県内(神戸市、姫路市、尼崎市、西宮市及び明石市を除く)にお住まいの母子家庭の母と父子家庭の父
と、母子家庭であっても地域を限定している県もあるので、必ず担当の窓口に確認するようにしましょう。
事業開始資金の対象となる費用
事業開始資金の対象となる費用は、母子家庭などの対象者が飲食業や洋裁、販売、小売りなどの事業を始めるのに必要な設備・道具・機械・材料などの購入費になります。飲食業なら、調理機や冷蔵庫などの購入費です。
後述しますが、申請時に提出する事業計画書で何を購入するのか明記することになっており、母子家庭なのでとりあえず借りておこう、というわけにはいきません。
事業開始資金の融資額
事業開始資金の融資額は、内閣府男女共同参画局のホームペ-ジでは、
- 限度額:3,140,000円
とありますが、こちらも地域によって限度額が違うことがあるので要確認です。実際の例として
- 神戸市の限度額:3,030,000円(神戸市ホームページ「KOBE」より)
- 熊本減の限度額:2,930,000円(熊本県ホームページより)
と、いずれも内閣府男女共同参画局のホームペ-ジにある金額より少なくなっています。また、母子家庭、父子家庭、寡婦で融資額に差はありません。
事業開始資金の返済
利子
事業開始資金は貸付金なので、返済にあたっては利子がかかります。この利子が高いと返済に大きく影響しますが、事業開始資金では、次のように、母子家庭にとって最大限の配慮がされています。
- 保証人あり:無利子
- 保証人なし:年1.0%
保証人をたてることができれば無利子、つまり返済は借りた金額のみで、母子家庭にとってはこれ以上の優遇はないですよね。保証人をたてられない場合でも年1.0%ですから、一般的な融資とくらべると超低金利な融資と言えるでしょう。
一般的な貸付は、民間企業が利益をあげるのが目的のため、2.0~14.0%といった高い金利が設定されています。そんな高金利では母子家庭ではとても利用できないですよね。それに対して事業開始資金は国による公的支援ですから、できる限り借りる側の負担を少なくしています。
また、保証人にも条件があります。この条件を満たさないと、母子家庭であったとしても保証人として認められません。大阪市では、次の条件があります。
- 申請時に自治体の管轄する地域かその近郊に6か月以上住んでいる
- 60歳未満の成人
- 申請者に対し独立の生計を営んでいる、あるいは相当の資産、信用を有している
横浜市ではこれに加え、
- 20歳以上
- 正社員はそれに準ずる勤務形態で仕事に従事
- この貸付を受けていない
という条件があります。
さらに熊本市の場合、保証人は3名以上必要(弁済能力があることが証明できれば3名以下でも可)とあり、1名では保証人として認められていない地域もあります。
三名以上としている理由はわかりませんが、母子家庭で保証人を三人見つけるのは実際にはかなり難しいでしょう。よほどの返済能力がある人に保証人になってもらうしか、今は方法がなさそうです。
このように地域によって違いがあるので、お住いの地域を管轄する自治体への確認は必ず必要です。
償還期間
事業開始資金の返済の期限です。母子家庭、父子家庭、寡婦で変わることはありません。
- 7年以内
一般的に事業資金は、返済期間によって「短期借入金」と「長期借入金」があります。
- 短期借入金:1年以内
- 長期借入金:1年を超える
それぞれ対象になるのは
- 短期借入金:運転資金(事業者が事業を行うための資金)
- 長期借入金:設備投資(設備投資のための資金)
返済期間は目安として
- 短期借入金:7年以内(据置期間2年含む)
- 長期借入金:20年以内(据置期間5年含む)
です。
事業開始資金は用途の対象は設備投資に近いですが、返済期間は運転資金並みということになります。企業の場合、設備は固定資産税の対象になるので返済期間は長く設定されているからでしょう。
事業開始資金の据置期間
据置期間というのは、返済が猶予(返済しなくてもよい)される期間です。こちらも母子家庭、父子家庭、寡婦で変わることはありません。
- 1年
事業を始めてすぐに収入があればいいですが、実際に収入を得るまで時間がかかります。そこで返済開始を最大で1年間猶予してくれるのです。これも利用者、母子家庭のことをとてもよく考えていますよね。
また事業開始資金の償還期間は7年ですが、これには据置期間の1年が含まれます。
事業開始資金の申請手順
母子家庭で事業開始資金を利用するには、まず申請から始めます。大まかな流れは次の様になります。
1.住んでいる地域の市福祉事務所、町役場福祉担当又は県健康福祉事務所などに相談する
母子家庭で事業開始資金をはじめとする母子父子寡婦福祉資金貸付金制度を利用するためには、まず最初に、生活に関する相談から始める必要があります。
母子家庭であること、今の生活状況や就労状況、子供の状態などを伝え、事業開始資金を利用する目的を説明します。子供の年齢や現在の収入、使いたい資金の内容のほか、現在どのように暮らしているのかなどを聞かれますので、事前に明確にしておくと良いでしょう。しっかりと準備をして訪れると好印象になります
このとき、就労しているのであれば収入の証明として、源泉徴収票、あるいは確定申告書の写しを持っていくようにします。児童扶養手当を受けているのであれば、受給証を持っていくことで母子家庭であることの証明も簡単にできます。
また相談に際しては予約が必要になっている地域もあるので、ホームページなどで確認しておくようにします。
相談の結果、事業開始資金利用の必要性ありと判断されると、次に申請を行います。
2.事業開始資金の申請書と他の必要書類を担当窓口に提出する
申請に際しては「貸付申請書」と「事業計画書」、事業によっては「店舗の契約関係書類等」を提出します。申請時に一緒に提出する書類は地域によって変わるので、指示に従うようにします。(母子家庭、父子家庭、寡婦で変わることはありません。)
例として横浜市では、以下の書類が必要です。(横浜市ホームページより抜粋)
- 申請者の源泉徴収票又は確定申告書の写し
- 申請書、借用書、請求書(用紙は区役所にあります)
- 戸籍謄本又は戸籍全部事項証明書
- 印鑑登録証明書
- 母子家庭であることの民生委員の証明(児童扶養手当証書の写しを添付する場合は省略可)
- 調査同意書
- 連帯保証人の源泉徴収票又は確定申告書の写し等、印鑑登録証明書、調査同意書(連帯保証人を立てない場合は不要)
注:申請書に申請者(借受人、母子家庭の場合は母親)のマイナンバーの記載が必要となります。
申請時には、申請者の【個人番号カード】又は【通知カード(マイナンバー確認用)と本人確認資料】を持参してください。
例としてあげた横浜市のようにマイナンバーが必要な地域も多いので、マイナンバーカード、もしくは通知カードを用意しておきましょう。本人確認書類は、写真付きなら、運転免許証、パスポートなど1通、写真なしなら、保険証、住民票など2通が必要です。
母子家庭になったとき苗字を旧制に戻したけど、運転免許証やパスポートは結婚時のまま、という時は、保険証、住民票が確認書類となります。
また、母子家庭であることの証明は戸籍謄本ではなく民生委員の証明となっているので、児童扶養手当証書など忘れないようにしましょう。
3.審査を受ける
提出した書類をもとに、母子家庭で経済的に困窮していて自立のための就業であるか、返済計画に無理がないかなどをしっかりと審査が行われますので、その結果を待ちます。審査期間は通常、一か月~一か月半くらいです。
相談時に母子家庭であることなどの状況を踏まえ、事業開始資金の必要性を確認されるので、審査で落ちることはそれほどないと考えられますが、それでも審査に通らないことはあります。
考えられるのは、保証人です。保証人は立てたけど返済能力がないと判断される、といったケースです。保証人を立てた時点では問題ないと思っていたはずですが、実際にこういうことも起こる可能性があります。
4.貸付決定の通知
事業開始資金の貸付が認められると、「貸付決定通知書」が郵送で届きます。通知書は、申請者のほか、保証人にも送付されます。
貸付決定通知書には、借入金の種類や金額、初回の返済日や期間などが書いてありますので、しっかりと確認しておきましょう。
間違いなどないことが確認できたら、同封されている「借用書」と「貸付金交付請求書」に必要事項を記入して、ふたたび窓口へ行って手続きをします。
5.事業開始資金が振り込まれる
提出した書類の確認後、指定の口座へ入金となります。振り込みは、早い地域で申請の翌月、地域によっては三か月というところもあります。
事業開始資金の返済
事業開始資金の返済は指定された方法で行いますが、多くの地域では金融機関の口座引き落としを採用しています。返済のタイミングは、多くは月賦、半年賦、年賦から選ぶようになっています。
母子家庭でよくあるのは、忙しくて口座にお金を入れるのを忘れていしまい、引き落としができない、というケースです。これは後述しますが、違約金が発生してしまうので、引き落としはいつか、しっかり把握しておくようにします。
母子家庭における事業開始資金の利用方法
母子家庭で事業を始める際には、資金調達が大きな課題となります。しかし、適切な知識と情報を持つことで、事業開始資金の調達は難しくありません。以下では、母子家庭が事業を始めるために必要な資金の利用方法について詳しく説明します。
母子家庭の事業開始資金の申請条件
母子家庭が事業開始資金を申請するためには、いくつかの条件を満たす必要があります。まず、申請者が母子家庭であることが必要です。これは、公的な支援が母子家庭の経済的自立を目指す目的を持っているためです。申請者が母子家庭であることを証明するためには、各種公的書類が必要となることがあります。これには、住民票や戸籍謄本などが含まれます。
事業を始める意志
事業を始める意志があり、そのための具体的な計画があることも重要です。事業を始める意志は、申請者が事業を継続して運営する能力と意欲を持っていることを示します。具体的な計画は、申請者が事業を成功させるための明確な戦略を持っていることを示します。
これらを証明するためには、事業計画書や収支予測表などの書類が必要となることがあります。事業計画書には、事業の目的、目標、市場分析、マーケティング戦略、運営体制、財務計画などを詳細に記述します。
事業開始資金の返済能力
申請者が事業開始資金の返済能力を持っていることも求められます。返済能力は、申請者が借り入れた資金を計画通りに返済できる能力を指します。返済能力を評価するためには、申請者の収入や負債、生活費などが考慮されます。
申請者が返済能力を持っていることを証明するための書類、例えば収入証明書や負債状況を示す書類などによって証明します。
事業計画書の提出
また、事業開始資金の申請には、事業計画書の提出が求められることが多いです。事業計画書は、自身の事業の目的や計画、予想される収支などを詳細に書いたものです。事業の目的は、自身が何を達成したいのか、どのような価値を提供したいのかを明確にします。計画は、その目的を達成するための具体的なステップを示します。
予想される収支は、事業が収益を上げることができるか、またその規模を評価するための重要な指標です。収支予測を作成する際には、可能な限り現実的な数字を用いることが重要です。過度に楽観的な予測は、後に計画が狂った際に大きな問題を引き起こす可能性があります。
事業計画書を作成する際には、自身の事業が成功するための戦略を明確にすることが重要です。戦略は、自身の事業がどのように市場に立ち位置を築くか、競合とどのように差別化を図るかを示します。これらを明確にすることで、事業開始資金の申請が承認される可能性が高まります。
申請条件は地域や制度によって異なる場合があります。例えば、都市部と地方部では、利用できる制度やその条件が異なることがあります。また、地方自治体によっては、独自の支援制度を設けている場合もあります。
そのため、具体的な申請条件を知るためには、自身が住む地域の公的機関に問い合わせることが最も確実です。問い合わせる際には、自身の状況を詳しく説明し、適切なアドバイスを求めることが重要です。
母子家庭が利用できる事業開始資金の具体的な用途
母子家庭が事業開始資金を利用できる具体的な用途は多岐にわたります。まず、事業を始めるための初期投資として利用することができます。これには、事業場所の設備投資や商品の仕入れ費用、広告費などが含まれます。
事業場所の設備投資
事業場所の設備投資は、事業を運営するための物理的な場所を整備するための費用です。これには、店舗やオフィスの賃料、内装費用、必要な機器や設備の購入費用などが含まれます。商品の仕入れ費用は、販売する商品を仕入れるための費用です。これには、商品の購入費用や運送費、保管費などが含まれます。
広告費
広告費は、事業の知名度を上げるための費用です。これには、新聞やテレビ、インターネットなどの広告媒体への広告掲載費用や、チラシやポスターの印刷費用などが含まれます。広告は、事業を知ってもらうための重要な手段であり、適切な広告戦略は事業の成功に大きく寄与します。
事業開始後の運転資金
また、事業開始後の運転資金としても利用することができます。運転資金は、日々の経営活動をスムーズに行うために必要な資金です。これには、従業員の給与、光熱費、通信費、原材料費、税金など、事業を継続するために必要な経費が含まれます。
事業開始資金は、事業の成功に向けて重要な役割を果たします。しかし、資金の使い道を明確にすることで、無駄な出費を避け、効率的な経営を行うことが可能になります。そのため、事業開始資金を申請する際には、具体的な資金の使い道を計画することが重要です。
母子家庭の事業開始資金の利用手続き
母子家庭が事業開始資金を利用するためには、一定の手続きを経る必要があります。まず、事業開始資金を提供している公的機関に申請を行います。この公的機関は、地方自治体や国の機関など、地域や制度によって異なります。申請の際には、事業開始資金の申請書を提出することが求められます。申請書には、申請者の個人情報や事業内容、資金の使途などを詳細に記入します。
申請には、事業計画書や収支予測表などの書類が必要となることが多いです。事業計画書は、申請者がどのような事業を計画しているのか、その事業がどのように収益を上げるのかを詳細に記述したものです。収支予測表は、事業が開始された後の収入と支出を予測したものです。これらの書類は、申請者が事業を運営する能力を評価するためのものです。
申請書と共にこれらの書類を提出した後、公的機関は申請者の事業計画や返済能力を審査します。審査の結果、申請者が事業開始資金の利用資格を有していると判断されれば、事業開始資金の支給が決定されます。
申請が承認されると、次に契約手続きが行われます。契約では、資金の提供条件や返済条件などが定められます。契約を結んだ後、指定された口座に資金が振り込まれ、事業開始資金の利用が始まります。
母子家庭の事業開始資金利用の注意点
母子家庭が事業開始資金を利用する際には、いくつかの注意点があります。
返済計画をしっかりと立てる
まず、事業開始資金は借り入れ資金であるため、返済計画をしっかりと立てることが重要です。返済計画は、借り入れた資金をどのようにして返済していくのかを具体的に示したものです。返済計画を立てる際には、自身の収入や支出、生活費などを考慮に入れることが重要です。
返済が滞ると、追加の利息が発生したり、最悪の場合には事業が立ち行かなくなる可能性もあります。返済が滞ると、借り入れた資金の総額が増え、返済負担が重くなる可能性があります。また、返済が滞ると信用情報に影響を及ぼし、将来的に資金を借り入れる際に不利になる可能性もあります。そのため、返済計画は実現可能なものであることが重要です。
私的な出費に使用しない
また、事業開始資金は事業運営のための資金であるため、私的な出費に使用することは避けるべきです。私的な出費に使用すると、事業運営に必要な資金が不足し、事業の継続が困難になる可能性があります。事業開始資金を適切に管理し、事業の成功につなげるためには、資金の使い道を明確にし、適切な経理管理を行うことが必要です。
資金の使い道を明確にするためには、事業計画書に記載した計画に基づいて資金を使用することが重要です。また、適切な経理管理を行うためには、収入と支出を正確に記録し、定期的に確認することが重要です。これにより、資金の流れを把握し、必要な場合には早期に対策を講じることが可能になります。
母子家庭の事業開始資金の返済計画
母子家庭が事業開始資金を利用する際には、返済計画をしっかりと立てることが重要です。返済計画とは、借り入れた資金をどのように返済していくのかを具体的に示したものです。返済計画を立てることで、返済が滞ることなく、事業を継続することが可能となります。
収入を把握する
返済計画を立てる際には、まず自身の収入を把握することが重要です。収入には、事業から得られる収入だけでなく、パートタイムの仕事から得られる収入や、公的な支援金なども含まれます。収入を把握することで、返済可能な金額を見積もることができます。
生活費を見積もる
次に生活費を見積もります。生活費には、食費や住居費、光熱費、教育費などが含まれます。これらの費用を把握することで、返済後にも生活を維持するための必要な金額を確保することができます。
事業の収支を見積もる
事業の収支を見積もります。事業の収支には、事業から得られる収入と、事業を運営するための支出が含まれます。事業の収支を把握することで、事業が利益を上げることができるか、またその規模を評価することができます。
これらの情報をもとに、返済計画を作成します。返済計画は、返済期間や返済額、返済頻度などを具体的に定めたものです。返済計画を立てることで、返済が滞ることなく、事業を継続することが可能となります。
返済計画を作成する際には、返済期間や返済額を適切に設定することが重要です。返済期間は長すぎると利息が増え、短すぎると返済負担が大きくなる可能性があります。また、返済額は自身の収入に見合ったものにすることで、返済が滞ることを防ぐことができます。
返済計画は、事業の成功だけでなく、母子家庭の経済的自立を支えるためにも重要です。事業開始資金を利用する際には、返済計画をしっかりと立て、自身の事業を成功に導くことを目指しましょう。
母子家庭で事業開始資金を利用する際の注意点とは?
母子家庭で事業開始資金の利用を考える場合、注意しておくべきことがいくつかあります。代表的なものを紹介します。
事業開始資金を扱っていない地域がある
母子父子寡婦福祉資金貸付金制度は国が定めた制度ですが、貸付の実施は各地域の判断にまかされています。貸付の上限金額や申請するときの書類などは地域で異なるのはそのためです。
各貸付の実施についても同じで、兵庫県では
- 事業開始資金、事業継続資金については、当面の間、新規貸付を行わないこととしています。
とホームページ(更新日:2022年6月2日)に記載されています。理由はわかりませんが、兵庫県にお住いの母子家庭の方は、残念ですが事業開始資金を利用することはできません。
延滞すると違約金が発生する
これはどんな貸付でも同じですが、決められた期日に返済がないと違約金が発生し、通常の返済にプラスして支払わなくてはなりません。
事業開始資金の場合、違約金は延滞利息となるのが一般的で、大阪市や熊本市では年利3.0%(当初納期限の翌日を起算日として)としています。これは母子家庭にとっては大きな負担でしょう。延滞は絶対さけなくてはいけない一番の理由です。
また保証人を立ている場合は、申請者だけでなく保証人にも請求が行われます。
延滞については貸付の一般的なルールなのでよく知られていますが、お住いの地域で事業開始資金を扱っているかどうか、これは確認してみないとわからないですよね。国の制度だからといって、どこでも使えるとは限らないので要注意です。
母子家庭で起業、事業開始資金を使って夢の実現を!
事業開始資金は一般の金融機関でお金を借りるよりも低金利、保証人があれば無利子なので、ビジネスを始めたい、でも資金がない、という母子家庭にとって、大変助かる制度です。
相談して貸付を認められる必要がある、結構手間がかかる申請、厳しい審査等、道は険しいですが、その先にある生活を思い、頑張るだけの価値がある制度ではないでしょうか。
母子家庭だからといってひるむことなく、夢に向かって頑張りましょう。