これから小学生になるお子さんを持つ母子家庭では、子どもの成長が嬉しい一方で、これからかかる支出についての不安を抱えている人も多くいらっしゃるでしょう。
特に、毎月必要となる給食費は母子家庭にとっては大きな負担となります。
栄養バランスの取れたおいしい給食を食べさせてもらえるのはありがたいですが、毎月かかる給食費の支払いは正直なところ厳しい、という母子家庭のお母さんも多いのではないでしょうか?
特に最近は、食材高騰の影響を受け給食費の値上げをする動きが各地で広まっています。
2021年の文部科学省の調査によると、小学校の給食費の全国平均は4,477円で、3年前の調査時に比べ3%上がっているというデータがあり、母子家庭にとっては厳しい状況が続きそうです。
しかし国や自治体では、母子家庭でも安心して子どもが就学できるよう様々な援助を行っており、その中には給食費の免除や減額が受けられる制度も用意されています。これは給食費の支払いに不安がある母子家庭にとって心強い味方になるでしょう。
今回は、母子家庭の給食費について免除や減額が受けられる就学援助制度について紹介します。
母子家庭の給食費を支援、就学援助制度とは
文部科学省は学校教育法第19条で、経済的理由により就学困難な子どもの保護者に対して、市町村が必要な援助を与える義務があることを定めています。
つまり、母子家庭で給食費の支払いに不安を抱えているお母さまに対しても、各自治体は必要な援助をしなければならない、ということです。そしてこの援助を実現させる手段として、「就学援助制度」が定められています。
母子家庭の子供、経済的に困窮している家庭に対して、安心して学校生活が送れるよう国と自治体がバックアップしてくれている、というわけです。
援助が受けられる項目も幅広く、給食費だけでなく学校生活において必要な支出のうち、かなりの部分をカバーしてくれます。
補助の内容は、申請区分や自治体によって異なりますが、具体的に項目を示してくれている場合が多いので、これからの支出に不安を抱えがちな母子家庭のお母さんも安心できますね。
具体的には、学用品日、体育実技用具費、学校給食費、移動教室費、クラブ活動費、卒業アルバム代、PTA会費などがあります。
移動教室費や給食費、卒業アルバム代など、一律で金額が決まっているものはかかった費用分が支給され、ランドセル、鉛筆、体育着など個人で用意するものについては、定められた金額が項目ごとに支給されることになっています。
中学生や高校生になると、部活動でかかる費用や電車やバスの通学費用なども必要になってきますが、これらについても補助の対象になっているので、母子家庭にはとても助かります。
こういったことから就学援助制度というのは、給食費を援助してくれるだけでなく、子どもの選択肢や将来の可能性の幅を狭めることなく、思う存分学業に励めるようバックアップしてくれる制度であると言えるでしょう。
母子家庭の給食費、就学援助制度が利用できる必要条件とは?
就学援助制度は条件を満たしている人なら誰でも援助が受けられる制度なので、母子家庭に限定された制度ではありません。
条件に「母子家庭である」という項目はなく、以下に当てはまっていれば条件を満たしたことになり、就学援助制度を受けることができるようになります。
文部科学省は、就学援助制度の対象者を以下のように定めています。
a)要保護者
生活保護を受けている人
b)準要保護者
要保護者ではないが、各自治体の判断で保護が必要と認めた人
ただし、これは「各自治体の判断」なので、就学援助制度の対象となるかどうかは地域によって異なります。自治体が定めている条件も「母子家庭である」という項目はないので、以下の条件に当てはまっていれば援助の対象になってきます。
ここでは、参考までに一般的な準要保護者の条件を紹介します。
- 住民税が非課税である、または認定基準未満である
- 児童扶養手当を受給している
- 国民健康保険税が減免、あるいは徴収猶予されている
- 国民年金の保険料の支払いを免除されている
- 生活保護が廃止になる、あるいは廃止になった
- 生活福祉資金の貸しつけを受けている
- 災害により資産税が免除になった
地域によっては条件がそれほど厳しくない場合もあるので、一度お住いの自治体に問い合わせてみることをおすすめします。
母子家庭の給食費、就学援助制度の申請方法は?
就学援助制度の申請書に必要事項を記入し、お住いの自治体に提出します。
申請書は学校からの配布物として子どもに配られることになっているので、新学年の新学期が始まったら子どもが持ち帰るのを待ちましょう。新一年生は入学式の後に配られることが多いです。
子どもが持ち帰らないときや紛失してしまったときは、市役所や地域センターなど、自治体の施設に置いてあることも多いので、問い合わせてみてください。
最近は自治体のウェブサイトからダウンロードできるところも増えていますので、お住いの自治体のウェブサイトを調べてみると良いでしょう。また、申請書の他にも提出が必要な書類があります。漏れがないように準備しましょう。
具体的には、国民健康保険税の減免通知書や源泉徴収票、生活保護の廃止通知書など、上記の条件の証明となる書類の提出を求められることが多いです。
新学期になる4月は、子どもの健康カードや個人記録票など、学校に提出する書類が多いので、母子家庭のお母さんにとっては特に大変な時期ですよね。就学援助制度の申請も、申請書の作成や必要書類の準備があり負担が増してしまいますが、給食費の援助を受けるためなので、忘れずに準備しましょう。
申請書と必要書類を提出すると審査があり、援助の必要があると認められた場合に就学援助を受けることができるようになります。
援助方法については、いったんは自分で給食費を支払って後から返金される、はじめから給食費の納入の必要がないなど、自治体によって様々です。いったん納入する必要がある場合は、給食費相当額を手元に残しておかなといけないので、注意が必要です。
就学援助制度の申請回数についても自治体によって異なります。
一度申請すれば数年間は援助を受けられる地域もあれば、毎年申請が必要な地域もあるので、お住いの自治体で確認しましょう。