離婚が原因で母子家庭になった時は、もう結婚はコリゴリ、と考える方は多いと思います。
そして新しい生活を始めるのですが、やはり、子供と母親と言う家庭では何かと不便なことが多く、経済的な面でも苦労は沢山出てきます。
また、子供の成長や学習のことを考えると自分ひとりでは限界があり、特に男の子の場合は、やっぱり男親である父親がいて、考え方や精神面などを一緒に育てていける方がいい、と感じることは少なくないのではないでしょうか。
もちろん、中には母子家庭で頑張って育てあげる人もいて、テレビなどで話題になることもありますが、それはごく少数で、現実は苦労している方がほとんどです。
離婚してすぐは生活することで精いっぱいでほかの事はとても考えられませんが、しばらくして落ち着いてくると色々な悩みも出てきて、安心して相談できる人、パートナーがいれば、そして再婚を、と思うこともあるでしょう。
実際に良きパートナーに巡り合うことができれば、再婚するのはもちろん問題ないですよね。一度結婚、そして離婚しているという大きな経験があるので、再婚してもきっとうまくいくでしょう。
子供とふたり、母子家庭でがんばってきたけれど、現在おつきあいをしている方と子供の関係も良く、再婚できれば、と考えている。子供も歓迎してくれているみたいだけど…、なにか特別な手続きは必要になる?
結婚は婚姻届を出せば良いことはわかりますが、再婚となると、その手順はあまり一般的に知られていないので、不安になることもあると思います。
初婚の時と違って、母子家庭の人が再婚をすると、ひとり親であるために受けられていた助成金を失うことになります。そのため、権利喪失のための手続きをする必要があるのです。
そこでここでは、新しい生活に向かって前を向いているあなたのために、母子家庭の再婚の際の、法的な手続きをチェックリストでご紹介します。
母子家庭で再婚、手続きチェックリストを確認
再婚をするときは、初婚のときより色々な手続きが増えることになります。それは、母子家庭になると様々な支援を受けることができ、再婚するときはその支援をやめる必要があるからです。
主な手続き、支援は次の通りです。
- 婚姻届
- 児童扶養手当
- ひとり親家庭医療助成制度
- 住宅手当
- 児童育成手当
婚姻届
これはもちろんご存じかと思いますが、再婚をする際にも提出をします。
提出する用紙は初婚の時と同じ書類です。左面に「初婚・再婚の別」という項目がありますので、そこを「再婚」と選択し、離婚をした年月日も記入します。
もし、離婚をした日にちがわからなければ、書かなくても役所側で調べて処理をしてくれるので、問題はないでしょう。
児童扶養手当
児童扶養手当は、母子家庭などのひとり親家庭に対して月額42,910円(最大、収入条件あり)を受給できるという制度です。
再婚をすればもちろんひとり親ではなくなりますので、この資格を失います。その場合、自分で「失います。」という手続きをする必要があるのです。
市区町村の窓口へ行き「児童扶養手当受給資格喪失届」を提出します。
この手続きが遅れると不正受給となってしまうことがあるので、婚姻届を提出したらすぐに手続きをするのがおすすめです。
ひとり親家庭医療助成制度
こちらも児童扶養手当と同じように、ひとり親家庭を対象として、医療費を一部負担してくれるという制度です。もちろん再婚をすれば資格がなくなりますので、喪失手続きをします。
先ほどの「児童扶養手当資格喪失届」と一緒に、自分で保管している「ひとり親医療証」を返却しましょう。
住宅手当
こちらは自治体によりますが、ひとり親家庭に家賃の援助をしてくれる制度です。こちらを受けている場合も資格喪失となりますので、手続きが必要です。
児童育成手当
こちらは東京都が行っている、東京都在住の子供を援助する制度です。
こちらも同じように資格を失いますので、東京都で受給をしている人は手続きをしましょう。「児童育成手当受給自由消滅届」を提出することで、完了します。
このほかにも
- こども医療費助成
- 生活保護
- 寡婦控除
- 国民健康保険料の免除
- 国民年金の免除
- 公共交通機関の割引制度
- 粗大ごみの手数料減免
- 上下水道料金の割引
- 保育料の免除、減免
- 自立支援給付金
など、母子家庭を対象にしている制度だけでなく、経済的に困窮している世帯を対象にした支援制度もあり、もし制度を利用している場合は、その条件からはずれるのであれば、申請して辞退する必要があります。
助成制度の手続きが終わったら、子供の戸籍に関する手続きへ進みましょう。
母子家庭で再婚の手続きチェックリスト、養子縁組はどうする?
お子さんのいる再婚では、養子縁組をするかどうかで、その後の生活や権利が変わりますので、慎重に考えましょう。
養子縁組をするとき
養子縁組には「特別養子縁組」と「普通養子縁組」の2種類がありますが、再婚の場合は「養子縁組届」を役所に提出するだけで終了する、「普通養子縁組」を選ぶことが多いです。
養子縁組をすると、子供は配偶者と同じ苗字に変わり、配偶者には子供を養育する義務が発生します。再婚後に万が一、離婚となった場合は、配偶者に養育費の支払い義務があるということになります。
手続きは、養親・養子どちらかの本籍地の役所で行います。
養子縁組をしないとき
養子縁組をしない場合は、子供は今までと同じ苗字のままとなります。配偶者には子供を養育する義務は発生しません。
そのため養育義務は前配偶者のままとなり、今までもらっていた養育費をもらい続けることができるという条件の違いがあります。
母子家庭の方の再婚の手続きチェックリスト、項目は多いですが….
母子家庭の方の再婚の手続きチェックリスト、いかがでしたでしょうか?
チェックリストを見ると、喪失する権利が多く、「この先、生活は大丈夫かな?」と少し不安になってしまう方もいるかもしれませんね。
ですが、これからの苦労を2人で助け合って背負っていけることや、子供に新しいお父さんができることなどを考えれば、前に踏み出せるのではないかと思います。ひとつひとつ落ち着いて手続きをして、スムーズに済ませましょう。