母子家庭の場合、子育てや日常の生活が優先して仕事は後回しになってしまい、そのために収入面で苦労している方は大勢います。
しかし、努力次第で母子家庭でも高収入を得られるチャンスがあります。それは、手に職をつけることや、特別な知識を身に着けることです。
その方法としては色々あると思いますが、一般的には職業訓練校に通って、ということになるでしょう。
職業訓練校では様々な講座が開催されていますので、これといった資格や特技がないという人は職業訓練校で学ぶことも考えてみてはいかがでしょうか。
職業訓練校では経理やパソコンなど仕事に役立つ講座がありますが、美容関連の講座が開催されていることもあります。美容師になるのは、簡単ではありませんが、比較的気軽に学べる講座にネイル講座があります。
ジェルネイルが普及したこともあり、おしゃれなネイルアートを楽しむ人が増えています。手先が器用で美的センスの高い人なら、ネイルアートに挑戦してみるのもいいでしょう。
ネイルの技術や知識を取得しておけば、ネイルサロンはもちろん、ネイルを併設している美容院やエステサロンでも活躍が期待できます。
母子家庭で子供が小さい場合、外で長時間働くのは難しいという悩みも出てきます。その点、ネイルなら自宅でサロンを開くこともできるので、子供が小さい母子家庭の場合も働きやすくなりますよね。
そこでここでは、母子家庭の方が職業訓練校で学ぶことができるネイル講座について、詳しく紹介していきます。
母子家庭で職業訓練校のネイル講座を学ぶ手順は?
一般的なネイルスクールに通うとなると、それなりの受講料も必要になるので母子家庭では通学は難しいという人も少なくありません。その点、職業訓練校のネイル講座なら職業訓練受講手当や通所手当など様々な手当もつくので、安くネイルの技術や知識を学ぶことができます。
ただ講座を受講して学ぶだけでなく、就職の支援があるのも職業訓練校を選ぶメリットです。
具体的に母子家庭の人が職業訓練校でネイルを学ぶには、どうすれば良いのかその方法も知っておきたいところです。
ハローワークに行く
まずは近くのハローワークに足を運び相談してみましょう。ハローワークでは求職者支援制度についての詳しい説明も行われますので、わからないことがあれば質問するようにします。
職業訓練校を選ぶ
それから、ネイル講座のある職業訓練校を選びます。職業訓練校は全国に多く存在しますが、ネイルスクールがあるところは限られています。しかも学べる時期も通年ではなく、限られた期間なので受講時期は見逃さないようにしたいものです。
子育てや生活のことを考え、ご自身が無理なく通えるところに職業訓練校があるかどうかも確認しておきましょう。通うために必要になる交通費のことも大事ですよね。
母子家庭で職業訓練校のネイル講座を学ぶ、そのメリットとは?
ネイルは趣味で自分でもやっていた、という方もいるでしょう。すっかり手慣れているので、わざわざ職業訓練校にまで通う必要ないのでは?と思うかもしれません。
でもそれは素人考えで、仕事として、プロとしてネイルをするのは全く違ってきます。
母子家庭で職業訓練校のネイル講座を学ぶメリットには、次のことがあります。
- プロとしての技術が早く身に着く
- サポートが得られる
- ネイルだけではない技術も学べる
- 接客マナーが身に着く
- 新しい技術やスタイルを学べる
プロとしての技術が早く身に着く
ネイル講座は通信講座などもありますが、それだけではプロとして活躍できる技術力を身につけるのは難しいものもあります。その点、スクールでは実際に講師による授業を受けることができるので早い上達が期待できます。
サポートが得られる
独学の場合は、間違ったところや悪いところがあってもすぐに気づくことはできません。スクールでは、講師がしっかりとサポートしてくれるので、技術面でわからないことがあってもすぐに質問できます。
それに悪いところがあってもすぐに指摘してもらえるので、独学のように変な癖がつく心配もありません。
ネイルだけではない技術も学べる
ネイルの授業では、爪や手指のお手入れも学ぶことになります。きれいなアートにするためには自爪が健康で美しいということは欠かすことができない大切な要素です。
それから、爪の形をきれいに整えて、長さも調節する必要もあります。
接客マナーが身に着く
ネイルの仕事は、特にお客さんとの距離が近くなるので正しい接客マナーを身につけることも大事です。せっかく技術を身に着けても、接客態度が悪いと多くの指名を得ることはできなくなります。
技術面はもちろん、接客についてもきちんと学んでおきましょう。
新しい技術やスタイルを学べる
ネイルアートは単色塗理のシンプルなものから、豪華なアートまで幅広くあるので、様々な技術を知る必要もあります。それから、ネイルにも流行がありますので、新しい技術やスタイルに柔軟に対応できることも大切です。
職業訓練校を卒業したあとも、ネイルの勉強はずっと続けていくものだということも理解しておきましょう。
母子家庭で職業訓練校のネイル講座を学んだ後の働き方は?
ネイルは個人で開業することもできますが、開業にも様々な準備が必要になりますし、自宅サロンの場合もそれなりの出費はあり、いきなりは難しいですよね。
そこで、まずは店舗に就職し、経験を積んでおくのがおすすめです。経験を積み、ある程度顧客の見込みがたったら独立、というのが失敗の少ない方法でしょう。
ネイリストの就職先では、ネイル専門サロンや美容室、結婚式場など様々な職場が考えられます。身近にも、探せば色々とあるのではないでしょうか。
母子家庭の場合はフルタイムでの勤務が難しい場合もありますが、パートやアルバイトに対応しているお店も多くあります。ネイリストも新人の場合は、多くの収入を得るのは難しいですが、経験を積み、店長などを任されると大幅な収入アップのチャンスもあります。
ネイリストとして活躍していくためには働きやすい職場を選ぶことも大事ですので、見学の際には職場の雰囲気の良さも確認しておきたいところです。
母子家庭で職業訓練校のネイル講座を学ぶ、受けられる補助はある?
母子家庭には国や自治体などが様々な補助制度を用意しており、生活を支援しています。その中のひとつに、高等職業訓練促進給付金があります。
高等職業訓練促進給付金
高等職業訓練促進給付金とは?
高等職業訓練促進給付金というのは、母子家庭や父子家庭など、ひとり親世帯の方が資格を取るために職業訓練校などに通う間の生活費を補助してくれる制度です。
母子家庭で職業訓練校の通うとなると、その分、働く時間が制限され、場合によっては無職になってしまう可能性もあります。そうなるとその間は収入がなくなってしまうので、すぐに生活に困ってしまうでしょう。
その生活費を支援してくれるのが高等職業訓練促進給付金になります。
高等職業訓練促進給付金が受けられる方
高等職業訓練促進給付金が受けられるのは、次のいずれかに該当する方です。
- 児童扶養手当を受給している、もしくは、所得が児童扶養手当受給の条件と同等
- 対象になる資格取得のための訓練校等で六か月以上の講座を受け、資格取得が見込める
母子家庭で児童扶養手当を受給されているのであれば、該当します。
高等職業訓練促進給付金の支給額
高等職業訓練促進給付金は、受講してる期間はもちろんのこと、受講が終わってからも支給されます。これは、資格を取ったからと言ってすぐに収入があるわけではないことに配慮したものと考えられます。
受講中の支給額:月額100,000円(住民税非課税世帯の場合は減額され、月額70,500円になります)
受講後の支給額:50,000円(住民税非課税世帯の場合は減額され、25,000円になります)
高等職業訓練促進給付金が支給される資格
高等職業訓練促進給付金が支給されるのはどんな資格でもいいわけではありません。次の様に決められています。
- 仕事をするために必要な資格、持っていると就職に有利になる資格
- 講座の受講期間が六か月以上
この両方を満たす資格に限定されいます。
ネイルを学ぶ場合、職業訓練校ではネイリスト養成コースを受講する、あるいは美容師資格にあるネイルコースを受講するなどがありますが、高等職業訓練促進給付金の支給が受けられるのは美容師資格です。間違えないようにしましょう。
高等職業訓練促進給付金の支給が受けられるかどうかわからない時は、受講する学校や、申し込みをする窓口に確認しましょう。
高等職業訓練促進給付金の申し込み
高等職業訓練促進給付金の申し込みは、ご自身が住む地域の自治体の窓口になります。大まかな流れは以下の通りです。
自治体の窓口で相談
↓
申請書類の提出
↓
審査
↓
支給
申請書類を提出すると、支給を受ける条件に該当するか審査されます。
窓口での相談で条件に該当するか確認されているはずなので審査に通らないことはまずありませんが、意図的に虚為の申請をしたりすると落とされます。必ず正しい申請をしましょう。
高等職業訓練促進給付金は受講中の生活費の支援でしたが、受講のための費用を支援してくれる制度もあります。それは、自立支援教育訓練給付金です。
自立支援教育訓練給付金
自立支援教育訓練給付金とは?
自立支援教育訓練給付金というのは、母子家庭や父子家庭の母親、父親の就職を支援することを目的として、職業訓練校などの教育を受講するための費用を補助してくれる制度です。
職業訓練校などの教育機関の受講費用は様々ですが、数万円はかかるのが一般的です。資格によっては数十万円もかかる資格もあります。
母子家庭で収入も限られていると、受講の費用も大きな負担になってきますよね。受講の費用が払えないために資格を取る機会を奪われる、そういったことを回避してくれるのが自立支援教育訓練給付金です。
自立支援教育訓練給付金が受けられる方
自立支援教育訓練給付金が受けられるのは、次のすべてに該当する方です。
- 母子家庭の母親、あるいは父子家庭の父親
- 20歳未満の子供を扶養している
- 児童扶養手当を受給している、もしくは、所得が児童扶養手当受給の条件と同等
- 受講しようとしている訓練が就職に適していると判断される
自立支援教育訓練給付金が支給される講座
自立支援教育訓練給付金が支給される講座は、厚生労働省のホームページでは次のように定義されています。
「雇用保険制度の教育訓練給付の指定教育訓練講座と、その他都道府県等の長が地域の実情に応じて対象とする講座」
対象になっている講座は沢山ありますが、ネイルを学ぶ講座としては「美容師」が該当するでしょう。
受講を希望する講座が自立支援教育訓練給付金になっているかどうかわからない時は、講座を開催している職業訓練校などに確認してみましょう。
自立支援教育訓練給付金の支給額
自立支援教育訓練給付金の支給額は、高等職業訓練促進給付金の様に定額ではありません。受講にかかった費用に対し、最大で60%が支給されます。
細かくは講座によって違ってきますので、受講前に確認しておきましょう。
注意したいのは、自立支援教育訓練給付金が支給されるのは受講後になることです。つまり、受講を始めるには自分で立て替えなくてはいけない、ということです。
高等職業訓練促進給付金は生活費として毎月支給されますが、自立支援教育訓練給付金は受講が終わってから、という大きな違いがあります。受講にかかる費用は自分で用意する必要があります。
自立支援教育訓練給付金の申し込み
まず最初に居住地を管轄する児童福祉課に行き、自立支援教育訓練給付金の相談をします。おおまかな流れは次の通りです。
児童福祉課に相談
↓
自立支援教育訓練給付金の指定を受ける
↓
申請書類を提出
↓
審査
↓
支給
自立支援教育訓練給付金の支給を受けるためには、受講する講座の指定を受ける必要があります。
母子家庭で職業訓練校で取得できるネイルの資格はある?
ネイルの場合は国家資格ではありませんが、民間の資格でも取得しておくと、一定の知識や技術があるという証明になり就職の面でも有利です。
ネイルの資格で代表的なのが、次の2つです。
- ネイリスト技能検定
- JNAジェルネイル技能検定
ネイリスト技能検定
ネイリスト技能検定試験は公益財団法人JNEC(日本ネイリスト試験センター)が認証する資格で、取得する技能によって1級~3級までの資格があります。
- 1級:ネイリストの中でもトップレベルの知識と技術
- 2級:ネイルサロンで仕事ができる知識と技術
- 3級:ネイリストとして基本的に必要な知識と技術
全ての級で筆記試験と実技試験があり、合格基準は筆記、実技とも、5点満点中38点以上です。
受験料は
- 1級:12,500円
- 2級:9,800円
- 3級:6,800円
となっています。
1級を受験できるのは2級合格者のみ、2級を受験できるのは3級合格者のみ、3級を受験できるのは、義務教育を修了していれば誰でも可能です。
ネイルサロンで働くには、必要な知識、技術から2級は必須と考えておきましょう。
JNAジェルネイル技能検定
こちらはその名の通り、ジェルネイルに特化した検定です。ネイルサロンでジェルネイルの仕事をするために必要な知識と技術の習得が目的で、そのレベルによって初級~上級に分かれています。
- 初級:ネイルケアとジェルネイルの仕事をするための基本的な知識と技術
- 中級:ジェルネイルのプロとして仕事をするための専門的な知識と技術
- 上級:ジェルネイルのスペシャリストとして仕事をするための総合的な知識と技術
こちらも筆記試験と実技試験があり、初級は筆記、実技とも100点満点中80点以上で合格、中級は100点満点中筆記80点以上実技70点以上で合格、上級は100点満点中実技70点以上で合格です。
受験料は
- 初級:16,500円
- 中級:13,200円
- 上級:9,900円
となっています。
試験の開催は、6月と12月の年に2回です。
母子家庭の方が職業訓練校に行く場合、どのような資格に対応しているのかを確認しておきましょう。将来独立開業するという場合も、資格は役に立つからです。