電気・ガス・水道は、私たちが日常の生活をしていく上で欠かせないものですが、毎月の光熱費が大きな負担と感じている人は少なくありません。特に、母子家庭で少ない収入で生活している家庭になると、光熱費の負担に頭を悩ませている人もいるでしょう。
そこで利用したいのが、光熱費の免除制度です。
光熱費はいわゆる公共料金なので割引や免除などはないのでは?と思うかもしれませんが、それは世間一般には広まっていないだけで、母子家庭をはじめとする経済的に苦しい世帯の支援を目的として、免除制度が制定されています。
ただし、こういう支援制度を利用するには条件はつきもので、母子家庭であれば誰でも、というわけではありません。また、光熱費なら何でも免除の対象になっているわけでもありません。
そこでここでは、光熱費にはどのような免除制度があるのか、またどんな条件を満たせば免除制度を利用できるのか、詳しく解説します。
母子家庭の光熱費、免除されるのは?
一般に光熱費と呼ばれるのは、電気料金、水道料金、ガス料金です。ほとんどの家庭でこの3つを使っており、毎月、あるいは2ケ月に一度、使用量に応じた料金を電力会社等に払っています。
そしてこの3つの光熱費のうち、電気料金とガス料金には残念ながら免除制度は用意されていません。そのため、電気とガスは、家庭の状況や収入に関わらず、決められた基本料金と使用量に応じた料金を支払う必要があります。
それに対し、免除制度が用意されているのが水道料金です。
どうして水道料金には免除があるのに、電気料金、ガス料金にはないのでしょうか?
それは、電気・ガスは民間企業が運営、水道は自治体が運営しているからです。言い換えると、電気・ガスは、利用者が払う料金で作られていて、水道は税金で作られているからで、役所が運営しているので免除という制度を設けることができるんです。
毎月払っている水道料金も、実は税金、ということです。電気、ガスは、買った後で代金を払っていることになります。
母子家庭で光熱費の免除が受けられる人とは?
水道料金の免除が受けられるのは、次のいずれかの要件に該当する人です。
- 生活保護法による各扶助を受給している
- 「児童扶養手当」または「特別児童扶養手当」を受給している
母子家庭の場合、児童扶養手当を受給している方は多いと思いますので、水道代の免除の対象になります。また、児童扶養手当は受給していなくても、生活保護を受けているのであれば、水道料金の免除が受けられます。
児童扶養手当を受給している、あるいは生活保護を受けている、すなわち、所得が少ない方が対象になっている制度、ということになります。
母子家庭で光熱費の免除がない地域もある?
ただここで注意したいのは、母子家庭で児童扶養手当を受け取っていたとしても、みんなが水道料金の免除の対象となるとは限らない、ということです。
水道料金の免除というのは国が用意した制度ではありません。水道事業のは自治体が運営しています。
そして水道料金の免除制度も自治体が独自で行っているため、住んでいる自治体によっては水道料金免除の制度がないことがあるからです。
免除制度がない場合は、どれだけ所得が低くても、免除なしで水道料金を支払っていく必要があります。
現在、水道料金の免除制度があるのは、東京都、神奈川、千葉、愛知、広島、大阪、京都といった大都市のほか、長野県、仙台市などがあり、徐々に拡大しています。まずは、自分の住む地域の自治体に問い合わせてみましょう。
母子家庭の光熱費、いくら免除される?
水道料金は、次の2種類の料金から成り立っています。
- 基本料金
- 従量料金
基本料金は毎月決まった金額で、水道の使用量に関係なく一定です。従量料金は、使った分に応じた料金で、使うほど増えていきます。
この2種類の料金を足した金額が水道料金になります。
水道料金免除の対象となった場合、免除されるのは基本料金となることが一般的です。
毎月一定量までの使用料金も免除になる自治体も中にはありますが、免除を受ければ水道が無料で使い放題になるということはない、と考えておく方が良いでしょう。また、所得によっては免除される金額が少なくなる自治体もあります。
水道料金は、基本料金も従量料金も地域によって違い、各自治体が決めています。そのため、基本料金が免除されると言っても、いくら免除になるのかは自治体によって変わります。
例えば東京都の基本料金は
呼び径(メーター径) | 基本料金 |
13mm | 860円 |
20mm | 1,170円 |
25mm | 1,460円 |
30mm | 3,435円 |
となっています。
また従量料金も、自治体によって変わってきます。
水道料金の免除を受けたい場合は、住んでいる自治体の情報を確認しておく必要があります。
免除の対象は基本料金だけですが、それでも毎月かかる固定費を確実に減らすことにつながります。 さらに、この免除は条件を満たす限り続いていくので、児童扶養手当を受けている母子家庭という条件に当てはまる場合は、忘れずに水道料金免除の手続きをしておきましょう。
母子家庭の光熱費の免除、手続きはどこにすればいい?
水道料金の免除は、住んでいる地域の水道局に申請します。
手続きの詳細は水道局によって異なりますが、申請は、直接水道局の窓口に行くか、もしくは郵送でも対応しています。もし近くに水道局がある場合は、窓口に足を運んでみると良いでしょう。
手続きに必要となるのは、母子家庭の場合は児童扶養手当を受けていることを証明できる書類と、お客様番号が書かれた書類です。
児童扶養手当に関しては、支払通知書などを用意しておくと良いでしょう。お客様番号は、検診票や請求書を準備しておくのがおすすめです。
申請時にこれらの書類を揃えておけば、スムーズに話を進めていくことができるでしょう。郵送の場合も、これらの書類を送付する形となります。
本当に免除の対象になるか、どの程度水道料金が安くなるかを知った上で手続きを始めたい、という場合は、水道局に電話して確認することも可能です。窓口に行く前に電話で相談をしておけば、手続きにどんな書類が必要か、手持ちの書類は有効か、などの情報も手軽に確認することができます。
母子家庭向けの制度や助成金には様々な種類があります。ただ、実際に水道料金免除などの制度を利用するためには、その制度を知っている必要があります。児童扶養手当を受給している母子家庭であっても、水道料金免除などの制度自体を知らず、申請をしないままでいると、いつまでも規定通りの料金を支払い続けることになります。
お金の悩みを少しでも軽減したい、生活に余裕を持たせたいという場合は、利用できる制度や助成金がないか探してみましょう。
水道料金の免除の対象にならない地域に住んでいる人でも、母子家庭向けの制度を知ることで、日々の生活を手助けしてくれる制度が見つかることは少なくないからです。
母子家庭の光熱費免除申請のポイント
光熱費免除の申請時期
光熱費の免除の申請は、基本的には年間を通じて受け付けています。しかし、申請から免除が実際に適用されるまでには時間がかかるため、早めの申請が推奨されます。また、免除の適用は申請月から始まるため、免除を受けたい月の前月までに申請を行うことが必要です。
具体的な申請の締め切りや手続きの流れについては、各自治体の窓口に問い合わせてください。
光熱費免除の申請書類
申請書類の基本的な内容
水道料金の免除を申請するためには、自治体が指定する申請書類の提出が必要です。申請書類には、申請者の氏名、住所、連絡先などを記入します。これらの情報は、申請者の基本的な情報を明確にするために必要です。
所得状況と名義の証明
また、所得状況を証明する書類や、水道料金が申請者名義であることを証明する書類など、必要な添付書類がある場合もあります。所得状況を証明する書類は、申請者が免除の対象となる所得基準を満たしていることを証明するために必要です。また、水道料金が申請者名義であることを証明する書類は、免除を受けるべき水道料金が申請者のものであることを証明するために必要です。
自治体の窓口での確認
具体的な申請書類の内容や添付書類については、各自治体の窓口で確認してください。自治体によっては、申請書類の内容や必要な添付書類が異なる場合があります。そのため、申請前に自治体の窓口で確認することで、申請書類の記入ミスを避け、申請をスムーズに進めることができます。
母子家庭の光熱費の免除、電気・ガス料金は?
光熱費の免除があるのは水道料金だけですが、電気・ガスの料金も、免除ではありませんが安くする方法はあります。
それは、電力会社・ガス会社を料金が安いところに変える、という方法です。
昔は住んでいるところで電力会社、ガス会社は決まってしまっていましたが、2016年に電力・ガス自由化が始まり、利用者が電力会社・ガス会社を自由に選べるようになりました。
料金や利用状況を比較検討して、自分に合った電力会社やガス会社を選べるようになったのです。
ここでは詳しい話までは踏み込みませんが、電気代やガス代の負担を減らすには、今よりもお得に電気やガスを使える会社がないか、探してみてはいかがでしょうか?
母子家庭の光熱費免除制度の歴史
母子家庭の光熱費免除制度は、日本の社会保障制度の一部として、長い時間をかけて形成されてきました。この制度の起源は、戦後の混乱期にまで遡ります。当時、多くの家庭が生活困窮に直面し、特に母子家庭は厳しい生活を強いられていました。そこで政府は、生活保護法を制定し、光熱費の一部を補助する制度を設けました。
この制度は、母子家庭だけでなく、所得が一定以下の家庭に対しても適用されました。しかし、その対象となる家庭の範囲や補助の内容は、時代とともに変化してきました。例えば、昭和40年代には、光熱費の補助対象が母子家庭に限定され、その後、補助の内容も見直されました。
光熱費免除制度の起源と発展
光熱費免除制度の起源は、生活保護法の制定によるものです。この法律は、戦後の混乱期に生活困窮者の救済を目的として制定されました。当初は、生活保護法に基づく生活扶助の一部として、光熱費の補助が行われていました。
しかし、その後、母子家庭の増加とともに、母子家庭を対象とした光熱費の補助制度が設けられました。この制度は、母子家庭の生活を支えるための重要な手段となり、多くの母子家庭にとって、生活を続ける上で欠かせない支援となりました。
光熱費免除制度の変遷と現在の状況
光熱費免除制度は、その後も変遷を続けてきました。例えば、昭和40年代には、光熱費の補助対象が母子家庭に限定され、その後、補助の内容も見直されました。具体的には、補助の対象となる光熱費の範囲が拡大され、また補助の額も増額されました。
そして現在、光熱費免除制度は、母子家庭だけでなく、所得が一定以下の家庭に対しても適用されています。また、補助の対象となる光熱費の範囲も、電気料金、ガス料金、水道料金と、より広範にわたるようになりました。
しかし、光熱費免除制度の適用は、自治体によって異なる場合があります。そのため、自分が住む地域でどのような支援が受けられるのか、具体的にはどの程度の光熱費が免除されるのかを知るためには、各自治体に問い合わせることが必要です。
以上が、母子家庭の光熱費免除制度の歴史とその変遷についての概要です。この制度がどのように発展してきたかを知ることで、母子家庭が直面する生活困窮の問題に対する社会的な取り組みを理解する一助となるでしょう。
光熱費免除制度の適用範囲とその限界
光熱費免除制度は、生活に困難を抱える母子家庭に対して、光熱費の一部を補助する制度です。しかし、この制度が適用されるのは、一定の条件を満たす家庭だけです。それでは、具体的にどのような家庭がこの制度の対象となるのでしょうか。
光熱費免除制度の適用条件と対象者
光熱費免除制度の適用条件は、自治体によって異なる場合がありますが、一般的には以下のような条件が設けられています。まず、母子家庭であること。そして、所得が一定の基準以下であること。これらの条件を満たす家庭は、光熱費免除制度の対象となります。
ただし、光熱費免除制度の適用を受けるためには、自分が住む自治体に申請する必要があります。申請の際には、所得証明書や家族構成を証明する書類などが必要となります。また、申請を行った後も、定期的に所得状況の再確認が行われ、所得が一定の基準を超えると免除が打ち切られる場合もあります。
光熱費免除制度の限界と改善の可能性
光熱費免除制度は、生活困窮者の支援という観点からは大変有意義な制度ですが、一方でその限界も指摘されています。その一つが、適用範囲の狭さです。現行の制度では、所得が一定の基準を超えると免除が打ち切られますが、その基準は厳しく設定されているため、微増した所得で支援を受けられなくなる家庭も少なくありません。
また、光熱費免除制度の適用を受けるための手続きが複雑であるという問題もあります。必要な書類の提出や所得状況の再確認など、手続きが煩雑であるため、制度を利用することが難しい家庭も存在します。
これらの問題を解決するためには、制度の改善が求められます。例えば、適用範囲を広げるためには、所得基準の見直しや、家庭の生活状況に応じた柔軟な対応が必要です。また、手続きの煩雑さを解消するためには、申請手続きの簡素化や、必要な書類の提出方法の見直しなどが考えられます。
光熱費免除制度は、生活困窮者の支援という重要な役割を果たしています。しかし、その適用範囲や手続きの問題など、改善の余地も存在します。これらの問題を解決し、より多くの家庭が制度を利用できるようにすることが、今後の課題となるでしょう。