毎月必要な固定費の中でも、大きな負担となりやすいものが家賃です。入居をした後は、簡単に減らすことはできません。そんな家賃の負担を少しでも軽減したい母子家庭にもおすすめの住まいが、県営住宅です。
県営住宅に入るための条件としては色々ありますが、その中のひとつが都道府県が設定している所得に関する条件を下回ること、です。
家賃は一般的な賃貸物件と比べ割安となっているため、月々の固定費を抑えたい母子家庭にとっても最適な住宅となっています。
県営住宅の入居は抽選で決定されるため、なかなか当選しないことが多いものです。しかし、母子家庭は優先入居の対象となることが多く、単身者や通常の家庭と比べて入居しやすい条件が整っています。
そのため、毎月の家賃で悩んでる場合は、県営住宅への入居を検討してみることがおすすめです。
ここでは、母子家庭の方が県営住宅に入るための条件や、受けられる減免制度について解説していきます。すこしでも家賃の安い賃貸を探している方は、是非参考にして下さいね。
県営住宅に母子家庭が入るための条件とは?
県営住宅に入るための条件はいくつかあります。県によって細かい部分は異なることがありますが、おおよそ次の要件を満たす必要があります。(埼玉県のホームページ内「県営住宅入居者募集のご案内」より抜粋)
- 申し込む県営住宅がある県内に住所又は勤務場所があること
- 同居し、又は同居しようとする親族(配偶者又は1親等)があること ※ただし、単身住宅、単身車イス住宅に申込みの方を除きます。
- 入居しようとする世帯全員の収入の総額が、収入基準内であること
- 原則として収入月額158,000円以下(高齢者・障がい者世帯等については214,000円以下)
- 現に住宅に困窮していることが明らかなこと
- 原則として、持家のある方、公的な住宅 (都市再生機構住宅、市町村営住宅、特定優良賃貸住宅等)にお住まいの方は申し込むことができません
- 県民税・市町村民税を滞納していないこと
- 地方公共団体、独立行政法人都市再生機構又は地方住宅供給公社が整備する賃貸住宅の家賃若しくは損害賠償金を滞納していないこと
- 暴力団員でないこと
ここでのポイントは収入です。源泉徴収票などでしっかり確認されます。
上記は県営住宅の入居要件で母子家庭に限定はしていませんが、県によっては、母子家庭などのひとり親世帯のみを入居の対象にしているところもあります。
その場合の入居の要件は、上記に加え、
- 申込者本人が配偶者のいない親であること(別居中、離婚調停中、婚約者や内縁関係の相手がいる場合は申込みできません)
- 18歳未満(18歳になってから最初の3月末日まで)の子を同居して扶養していること
- 1親等以内の親族からなる2人以上の世帯での申込であること
の要件を満たせば入居の資格が得られます。(埼玉県のホームページ内「ひとり親世帯向け県営住宅」より抜粋)
今回は埼玉県の例で解説しましたが、同じような県営住宅があるかは、お住いの地域の担当窓口に確認してみて下さい。
県営住宅で母子家庭が利用できる減免制度とは?
母子家庭が県営住宅を選ぶメリットの一つが、減免制度の存在です。
一般的な賃貸物件の場合、収入が少なく家賃の支払いが困難になった場合でも、家賃自体を下げてもらえることはほとんどありません。一時的に支払いを待ってもらえる可能性はあっても、支払いが難しくなれば退去を求められることが一般的です。
県営住宅でも、家賃の滞納が発生すれば、明け渡し裁判などに進むことになります。しかし、収入が少なくて家賃の支払いができないなどの事情がある場合は、減免申請ができる制度も用意されています。
減免申請ができる基準と減免される割合は都道府県によって異なりますが、最大80%など大幅な減免を受けられることもあります。
減免の内容は県で異なるため、ここでは長野県、神奈川県の例をあげて解説します。
長野県の家賃の減免制度
長野県では次のようになっています。(長野県のホームページ「 家賃の減免制度について」より抜粋)
県営住宅家賃の減免制度について
減免事由に該当し、かつ収入が基準額以下となった世帯の家賃について、一部減免をする制度があります。
1.減免の対象となる世帯
- 家賃の3分の1が減免となる場合
- 退職・離職等で収入が著しく低額となったとき
- 疾病により医療費が多額となったとき
- 災害により著しく損害を受けたとき
2.家賃の3分の1もしくは2分の1が減免となる場合
- 障がい者がいる世帯(身体障害者手帳1~4級、精神障害者保健福祉手帳1~2級、療育手帳重度または中度)
- ひとり親世帯
- 高齢者のみの世帯
- 戦傷病者がいる世帯
- 引揚者世帯
この中で、ひとり親世帯が母子家庭に該当することになります。
減税の対象となる基準額
減免の対象となるのは、月の収入が以下の基準を下回った場合です。
<月の収入=(所得額+非課税所得額-疾病費用又は損害額)÷12>
居住地/世帯人数 (単位:円) | 1人 | 2人 | 3人 | 4人 |
2級地(長野市、松本市、上田市、岡谷市、諏訪市) | 37,333 | 69,000 | 100,667 | 132,334 |
3級地(上記以外の市町村) | 32,200 | 63,867 | 95,534 | 127,201 |
この基準は、生活保護法に基づく保護の基準に相当する額として規定しており、毎年度見直すこととしています。
次に、神奈川県の減免制度です。
神奈川県の家賃の減免制度
神奈川県の県営住宅の減免には、一般減免と特別減免があります。
一般減税
一般減免は、収入月額によって受けることができる減免制度です。1ヶ月の収入によって、減免率が変わります。
住民税非課税世帯に相当する月収であれば、この一般減免の対象となることが一般的です。
特別減免
特別減免というのは、身体障碍者や災害被災者、母子家庭など事情がある人に対して適用される減免制度です。
母子家庭の場合、高校生以下の子どもを扶養している家庭であれば適用となることが多くなっています。
減免率は毎月の収入によって変わりますが、月収158,000円以下であれば対象となることがほとんどです。上限に近ければ10%程度の減免、収入が減ればさらに割合が上がるという形になります。
母子家庭という条件を満たしていれば、住民税非課税世帯でなくとも減免対象となることが、特別減免のメリットです。
ただ、母子家庭で収入も少ないという条件を満たしていても、生活保護世帯で家賃を全額支給されている世帯に関しては、減免対象とはなりません。
県営住宅の減免を母子家庭が受けるには?
そんな県営住宅の減免を受けるためには、申請が必要です。収入に関する条件を満たしていたとしても、申請をしない限り減免措置を受けることはできません。
申請の際に必要となるのは、減免申請書と収入を証明する書類です。合わせて提出をすることで、審査を受けることができます。
申請が通れば、早い場合は翌月から家賃の減免が始まります。
減免の対象となる期間は、申請をした年の年度末までです。年度末になっても収入の問題が解決しない、翌年度も減免を受けたいという場合は、改めて申請をする必要があります。
継続して減免を受けるためには、再び申請をする手間がかかりますが、減免措置を活用すれば母子家庭でお金がないという悩みを緩和しやすい状態を作れます。
県営住宅の減免制度は母子家庭にとって大きな支援
県営住宅の特徴は、一定以上の収入を得られるようになると、明け渡しを求められることです。しかし、減免が必要なほど収入が少ない状態が続くのであれば、明け渡しの心配なく住み続けることができます。
そのため、母子家庭が安心して暮らし続けていけることができる住まいが欲しい、そんな時も県営住宅の活用を考えておくことが有効です。