母子家庭で利用できる高校の定期代の助成制度とは?

母子家庭では、どんなに頑張っても母親ひとりの収入ではやはり生活は厳しく、出費を切り詰めて生活している方は多いと思います。

子供が成長してくると、増える出費のひとつに通学のための定期代があります。

小中学校なら学校は近所なので基本的に歩いて通えますが、高校ともなると少し離れた地域の希望校を選ぶこともあるでしょう。そうなると高校への通学にバスや電車など公共交通機関を使わなくてはいけない子も出てきて、そのために定期代がかかってきます。

そしてその定期代というのは思いのほか高額です。そのため、所得が少なめの母子家庭にとっては家計の大きな負担になってきます。

そんな時、母子家庭で利用を考えたいのが「ひとり親家庭等高校生通学定期助成」です。

ひとり親家庭等高校生通学定期助成というのは母子家庭などのひとり親世帯を対象にした地方自治体の助成制度です。地域によって内容が少しずつ違い、名称も「高校生交通費助成」や「定期券補助事業」など、違った名前で呼ばれていることもあります。

この助成が利用できれば、母子家庭高校に通学する子供の定期代をフォローしてもらえます。ここではそのひとり親家庭等高校生通学定期助成について、詳しく解説していきます。

目次

母子家庭で高校の定期代助成を利用できる条件とは?

ひとり親家庭等高校生通学定期助成では母子家庭などのひとり親世帯の高校に通う子供の定期代を支援してくれますが、利用に際しては条件があります。また自治体によってその条件は少しずつ違うので、確認が必要です。

こちらでは、主な条件をご紹介していきます。

児童扶養手当を受給する世帯、ひとり親世帯医療費助成を受けている世帯、母子生活支援施設入所世帯、いずれかの子供であること

どの自治体でもほぼ共通しているのはこの条件です。

児童扶養手当は、母子家庭などのひとり親世帯を対象とした18歳までの子供がいる世帯に、月額10,410~44,130円(所得による)を支給してくれます。

ひとり親世帯医療費助成制度は、同じように母子家庭でかかった医療費を助成する制度になります。

母子生活支援施設とは、児童福祉法に基づき、さまざまな理由で困難な状況になっている母子家庭の人に、住居や支援を提供する施設のことです。

子供が高校に通学していること

この制度は高校に通う子供だけが対象となります。ここで対象になる高校は、全日制の高校、定時制の高校、通信制や特別支援学校の高等部、高等専門学校、専修学校などまでを含みます。中学生や大学生は対象外です。

そして適用されるのはあくまで子供が高校に通う場合のみで、母子家庭であっても母親の通学には当てられません。

高校への通学に関わる交通費のみ

勉強のためとは言っても学習塾やサポート校などは対象外で、高校への通学に関わる交通費のみが支援の対象です。クラブ活動も対象外となることもあるので、こちらはお住まいの自治体で条件を確認しておくと良いでしょう。

電車やバスなどの公共交通機関を利用して通学していること

この支援の対象は主に定期代なので、電車やバスなどの公共交通機関の交通費のみが対象となります。自転車で通学している場合の駐輪場代や、車で送迎する際のガソリン代などは定期代ではないので含まれません。

また定期代が助成される通学路は、最短または学校が認めているルートを利用するなどの決まりがあります。自治体によっては高校への定期代であったとしても、利用するバスの区間に下限があるなど、細かく設定されていることもありますので注意しましょう。

定期代ではなく、その日ごとに支払う「都度払い」でかかった費用は対象外となることが多いですが、条件によっては給付されるところもあるので、こちらも確認が必要です。

母子家庭の高校の定期代補助、申請方法は? 

ひとり親家庭等高校生通学定期助成では基本的には6ヵ月の定期代を基準として、多くの場合、その全額を補助してくれます。手続きはさほど難しくありませんが購入ごとに申請する必要がありますので、忘れないようにしましょう。

申請方法

この制度では、まず先に自身で定期券を購入する必要があります。つまり最初は定期代は自己負担になります。その後、その定期券やIC履歴、学生証などのコピーをとり、書類と一緒に市区町村窓口へ提出します。

自治体によってはWEBやスマホからの申請も可能になっていますので、気軽にできますよね。

申請の後は多くの場合、支払った定期代の振り込みという形で給付されます。給付後に「実績報告書」などを提出しなくてはいけないこともありますので、しっかり確認をしておくようにします。

もし経済的に厳しく、6ヵ月分の定期代を払うことができないなどの事情がある母子家庭世帯は考慮してくれる自治体もありますので、まずは市区町村窓口で相談をしてみましょう。

申請期限

ひとり親家庭等高校生通学定期助成には申請期限があります。そしてその期間も自治体によって違いますので、あわせて確認が必要です。

申請期限は、定期券の有効開始日から1年以内や有効最終日から3ヵ月までなどであることが多く、かなり余裕はある期間設定ですが忘れないようにしましょう。

母子家庭で生活保護を受けていると高校の定期代を補助してもらえる?

母子家庭の方の中にはさまざまな事情で経済的に苦しく、生活保護を受給している方もおられると思います。

母子家庭で生活保護を受けている場合は「定期代助成金制度」ではなく、生活保護のなかにある扶助を利用することによって、高校の定期代の支援が受けられます。

生活保護には8種類の扶助があり、それぞれに必要なものを選んで助成を受けられるシステムになっています。

そのひとつである「教育扶助」は、小中学校の義務教育までの子供を対象としている最低限のサポートであるため、高校への進学でかかる学費や定期代は含まれていません。

しかし社会復帰や就職に関する費用を支える「生業(なりわい)扶助」であれば、高校に通う子供の学費などをサポートしてもらえます。サポート内容は教育扶助とほぼ変わらないのでご安心ください。

生業扶助の「高等学校等就学費」

こちらは生活保護世帯の高校に通う子供を対象とした補助です。

基本額(月額5,300円)をベースとして、授業料(公立相当)、入学金(準備金含む)、受験料、教材費、そしてもちろん定期代などの交通費をサポートしてくれます。

定期代は最低限のルートになりますが、実費が支給されます。

定期券を購入後に福祉事務所で証明書類を提出する必要がありますが、定期代以外の教材費などもカバーしてくれるので、母子家庭の方にとってはありがたい支援と言えるでしょう。

母子家庭なら公的援助で高校の定期代負担を軽減できます

母子家庭の方は毎月限られた収入の中でなんとかやりくりをして暮らしていることが多いと思います。子供はどんどん成長してもう高校生。未来へ希望を持ち始めれば、母親としては「なんとか子供にやりたいことをやらせてあげたい」と思うものでしょう。

力を合わせてがんばっている母子家庭の2人には、経済的な理由で将来をあきらめるということは、絶対に避けたいことだと思います。

ここで紹介した公的支援を利用することで高校に通う定期代をもらうことができるので、母子家庭にとって大きな負担軽減になるのは間違いないでしょう。

近年ではひとり親世帯が増えているため、母子家庭の家計を支援する制度が豊富に用意されています。ですがまだまだ知られていないものも多く、気づかずに損をしている人が多いのが現実です。

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