日本には色々な優遇制度があります。税金や補助金、融資など、数えきれないほどの種類があり、全部を知るのはとても難しいでしょう。
でも、自分に関係する、自分が受けられる優遇制度のことは知っておきたいですよね。どの優遇制度が利用できるのか、知りたい一番は税金ではないでしょうか。
どの家庭でも税金は大きな負担ですよね。消費税はみんなが公平に負担するものなので仕方がないとしても、住民税や住宅を購入する時の税金の減税など、もともとの金額が大きい税金なら、優遇の恩恵も大きいものになるでしょう。
でもその優遇制度の恩恵にあずかるには、制度ごとに決められた条件に合わないとだめで、その条件の主たるのは、世帯の収入、所得です。
それは、金銭の優遇制度というのは、基本的に経済的に困窮している家庭を対象にしているからです。収入が少なくて最低限の生活も送ることができない、そういう家庭の支援を目的としているのです。
でもしかし、これもみな平等の条件というわけでわありません。家庭の中でも親がひとりしかいない家庭、いわゆるひとり親世帯、母子家庭に対しては、特別な条件が設けられている制度は沢山あります。
そして一般世帯と比べると、優遇されすぎではないの?と言われている世帯が母子家庭です。
母子家庭に対し、優遇されすぎという声が上がる理由は、ひとり親世帯でなければ受けられない手当や減免制度が用意されているためです。
ここでは、母子家庭が優遇されすぎると言われる理由について、優遇制度の内容から考えてみます。そして本当に優遇されすぎているのか、検証してみたいと思います。
母子家庭は優遇されすぎといわれる理由、児童手当とは?
子どもがいる世帯が受け取れる手当の一つ、児童手当は全ての世帯を対象とした手当となっています。
児童手当は、3歳未満の子どもがいる世帯には月額15,000円、3歳から中学生までの間は月額10,000円など、子どもの人数や年齢に合わせた手当を受け取れる制度です。
世帯主の年収が960万円以上1200万円未満の場合は月額5,000円、1200万円を超えた場合は手当なしなどの制限が設けられています。
子どもが小さく、フルタイムで働くことができない母子家庭の場合は、月額15,000円を受け取れる可能性が高くなりますが、日本の世帯で年収960万円を超えているのは、総世帯のわずか1割程度です。
そのため、月額15,000円の対象となる母子家庭が、必ずしも優遇されすぎという訳ではありません。
母子家庭は優遇されすぎといわれる理由、児童扶養手当とは?
優遇されすぎと言われる手当が、母子家庭のみが対象となる児童扶養手当です。
児童扶養手当は、ひとり親世帯限定の手当で、年収に関する条件を満たせば1人目の子どもに関しては高校を卒業するまでの期間、毎月43,160円を受け取れる制度です。
所得制限を超えた場合は、年収に合わせて月額10,180円から43,150円までの一部支給となります。
2人目以降の子どもに関しては、2人目は全部支給で月額10,190円、3人目以降は1人につき月額6,110円と変動します。
子どもが1人で、所得制限に関する条件を満たせば、中学生までの間は児童手当と合わせて月額58,160円を受け取ることが可能です。
さらに高校生の間も、毎月43,160円を受け取れるため、両親が揃った世帯と比べると優遇されすぎという印象が強くなっています。
居住している地域によっては、児童手当と児童福祉手当以外に、毎月13,500円の児童育成手当を受け取れることもあります。
母子家庭は優遇されすぎ?みんながそうとは限らない?
手当に関して優遇されすぎというイメージがある母子家庭ですが、全ての世帯が手当の対象となる訳ではありません。
世帯主の年収に関する条件を満たしていても、親からの援助を受けていたり、結婚をせず一緒に暮らしている相手にしっかりとした収入がある場合などは、手当ての対象外となることもあります。
そのため、意外な理由がきっかけで、想定していたよりも少ない手当しか受け取れない母子家庭というのも珍しくありません。
母子家庭の優遇制度と一般家庭との比較
母子家庭と一般家庭、それぞれに適用される制度は異なります。母子家庭は、一般家庭と比較して、さまざまな支援を受けることが可能です。それでは、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。
児童手当:母子家庭と一般家庭の違い
児童手当は、全ての子供がいる世帯を対象とした手当です。この手当は、子供の生活費や教育費を補助するためのもので、国から直接支給されます。しかし、母子家庭と一般家庭では、受け取ることができる児童手当の額が異なる場合があります。
母子家庭では、一人親であることから、生活費が一般家庭よりも厳しくなることが多いです。特に、仕事と子育ての両立が難しいため、収入が安定しない場合があります。そのため、児童手当の額が増えることで、生活の支えとなります。具体的には、食費や教育費、医療費など、子供の生活に必要な費用を補うことができます。
一方、一般家庭では、収入が一定以上の場合、児童手当の額が減ることもあります。これは、収入が多い家庭ほど、児童手当の額が少なくなるという制度があるからです。この制度は、収入の少ない家庭ほど多くの支援を受けられるようにするためのものです。
このように、児童手当は、母子家庭と一般家庭で異なる影響を及ぼします。母子家庭では、生活の支えとなる重要な手当となります。
児童扶養手当:母子家庭専用の手当の詳細
児童扶養手当は、母子家庭のみが対象となる手当です。これは、母子家庭が経済的に困難な状況にあることが多いため、子供の生活を支えるための制度です。この手当は、母子家庭の生活を大きく支える存在となっています。
児童扶養手当は、子供の年齢や母親の年収によって、支給される金額が決まります。具体的には、子供が小学校に入学する前は、毎月一定の金額が支給されます。小学校に入学した後も、引き続き支給されますが、金額は少し減ります。また、母親の年収が一定の額を超えると、支給される金額が減るか、支給が停止されることもあります。
児童扶養手当は、母子家庭の生活費を補うためのもので、食費や教育費、医療費など、子供の生活に必要な費用を補うことができます。また、母子家庭では、一人親であるため、仕事と子育ての両立が難しい場合があります。そのため、児童扶養手当は、仕事と子育ての両立を支える重要な手当となります。
母子家庭は優遇されすぎと言われる理由、自治体の優遇制度とは?
これ以外にも、母子家庭に対し、様々な手当や減免制度を用意する自治体は多く存在します。
その一つが、家賃の一部を助成する住宅手当です。
母子家庭で収入が少ないなどの条件を満たせば、月額1万円などの手当てを受け取れることがあります。
さらに、児童扶養手当の受給対象となっている母子家庭に対し、上水道料金の減免や、通勤定期券の割引などの制度を用意する自治体というのも少なくありません。
毎月必要となる固定費に対する手当の支給や、費用の減免は生活を大きく助けてくれることになります。
そして、生活に困った時のセーフティネットとなる生活保護も、母子家庭だと通りやすい傾向にあると言われています。
生活保護を受給する場合、児童手当や児童扶養手当は収入という扱われ方となり、受給される生活保護費から差し引かれるため、よく考えた上で申請することが大切です。
母子家庭の優遇制度の影響
母子家庭の優遇制度は、母子家庭の生活を大きく影響します。具体的には、生活改善と社会的影響の2つの面で影響を及ぼします。
優遇制度による生活改善の具体例
優遇制度によって、母子家庭の生活は大きく改善されます。具体的には、児童手当や児童扶養手当、住宅支援、医療費の補助など、さまざまな制度が存在します。これらの制度によって、母子家庭は生活を立て直すことが可能となります。
児童手当や児童扶養手当は、子供の生活費や教育費を補うためのものです。これらの手当によって、母子家庭は子供の教育に必要な費用を確保することが可能となります。また、これらの手当は、母子家庭が経済的に困難な状況から脱するための重要な支援となります。
住宅支援は、母子家庭が安全で快適な住環境を確保するための制度です。具体的には、公営住宅への入居支援や、住宅改修の補助などがあります。これらの支援によって、母子家庭は安定した生活環境を手に入れることができます。
医療費の補助は、母子家庭が子供の健康を守るための制度です。子供の医療費は、一般家庭と比べても高額になることが多いです。そのため、医療費の補助によって、母子家庭は子供の健康を守ることができます。
このように、優遇制度は、母子家庭の生活を大きく改善します。これらの制度によって、母子家庭は生活を立て直すことが可能となります。
優遇制度がもたらす社会的影響
母子家庭の優遇制度は、社会全体にも影響を及ぼします。具体的には、母子家庭が経済的に安定することで、子供たちの教育環境が整い、将来的に社会に貢献する人材が育つ可能性が高まります。また、母子家庭が自立することで、社会全体の生活保護費用の負担を軽減することも可能となります。
母子家庭が経済的に安定すると、子供たちの教育環境が整います。これは、教育に必要な費用を確保できるためです。また、安定した生活環境は、子供たちの学業成績や心の安定にも寄与します。これにより、子供たちは自身の能力を最大限に発揮することが可能となり、将来的に社会に貢献する人材として育つ可能性が高まります。
また、母子家庭が自立することで、社会全体の生活保護費用の負担を軽減することも可能となります。母子家庭が経済的に自立すると、生活保護の受給者数が減少します。これにより、社会全体の生活保護費用の負担が軽減されます。これは、税金の有効な使い方となり、社会全体の経済的な負担を軽減することにつながります。
このように、母子家庭の優遇制度は母子家庭だけでなく、社会全体にも大きな影響を及ぼします。これらの制度によって、社会全体がより良い方向へと進むことが可能となります。
母子家庭は優遇されすぎというのは本当?
同じ年収であっても母子家庭の方が手当が多い、生活に困った救いの手が多いなどの理由から、母子家庭は優遇されすぎと言われることは少なくありません。
ただ、実際に母子家庭になると、思うように働けないなど壁にぶつかることも多いものです。
特に子供がまだ幼くて手がかかる時期は、フルタイムの正社員で働くのは難しく、パートやアルバイトしかできないという方は少なくないでしょう。時間給の仕事は相対的に収入が限定されるので、生活はどうしても苦しくなります。
そういった場合に優遇制度は大きな支援になるのは間違いなく、助けられている家庭は大勢います。
今回見てきた様々な制度が、母子家庭は優遇されすぎ、という感覚を持たれてしまうのかもしれませんが、実際の生活はとても苦しく、優遇されても決して楽ではないのが実情です。
また、実際に生活に困った時は、母子家庭が頼れる制度がないか、自治体などに相談してみましょう。
母子家庭の優遇制度に対する一般的な誤解
母子家庭の優遇制度については、一部で誤解が広まっています。それでは、その誤解とは何でしょうか。
「優遇されすぎ」の誤解を解く
「母子家庭は優遇されすぎている」という意見が一部にありますが、これは誤解です。母子家庭は、一般家庭と比べて経済的に厳しい状況にあることが多いです。そのため、優遇制度は、母子家庭が生活を立て直すための必要な支援となっています。
母子家庭の現実的な困難
母子家庭が直面する困難は、一般家庭とは異なります。一人親であるため、仕事と子育ての両立が難しく、経済的な困難に直面することが多いです。また、子供の教育費や医療費など、生活費が一般家庭よりも高くなることが多いです。これらの困難を考えると、母子家庭の優遇制度は必要な支援と言えます。