母子家庭の出産費用、利用できる支援制度はある?

赤ちゃんが生まれることは、お母さんにとってはもちろんとても嬉しい出来事です。ですが母子家庭としてお子さんと2人で頑張っているシングルマザーの方にとっては、「嬉しい、でも出産費用は大丈夫?」と心配になると思います。

出産費用はふたり親世帯であっても大きな出費です。全体の半数が貧困水準と言われる母子家庭では、経済的な負担は避けられないでしょう。

厚生労働省の調査によると、平均的な出産費用は約460,000円とされています(2021年)。この半分以上を占めるのが分娩料、次いで入院料、新生児管理保育料となります。

どれも大切できりつめられないのが出産費用のつらいところですが、出産費用には、公的な医療保険制度が適用されないため、すべて全額負担となるので、このような高額となってしまうのです。

さらにこれはあくまで正常分娩の場合の出産費用で、何かの事情で入院が長引いたり、帝王切開などがあるとさらに追加されてしまいます。(帝王切開などの医療行為には、保険が適用されます。)

合計すれば、50万円程度は準備しておかなくてはならないので、毎日きりつめてがんばっている母子家庭のお母さんには、厳しく感じると思います。

ですが、出産育児には母子家庭の方が利用できる制度が豊富に整っています。そこでここでは母子家庭の方が出産費用で利用できる支援について、紹介したいと思います。

目次

母子家庭の方が利用できる出産費用の公的支援とは?

国や地方自治体では出産費用をサポートする公的支援を豊富に行っています。これは母子家庭の方でなくとも利用できますので、必ず確認しておきましょう。

出産育児一時金

まず確認していただきたいのが出産育児一時金です。これは、健康保険に入っていれば受けられる、門の広い公的支援です。

出産育児一時金を受ける条件はこちらです。

  • 健康保険や国民保険に加入している、または被保険者の扶養に入っている人
  • 妊娠4ヵ月(85日)以上になって出産した人
  • 産科医療保障制度に加入している医療機関で出産した人

給付金額は、1児につき42万円なので、平均出産費用のほとんどをカバーできるでしょう。早産や死産、流産となってしまった場合でも対象となります。

産科医療保障制度とは、出産の際に、何らかの事情で赤ちゃんが重度脳性麻痺となってしまった時、ご家族を支える補償のことです。現在では9割以上の病院が加入していますが、念のため、お世話になる病院に確認をしておくようにします。

出産育児一時金は「直接支払」を採用しているので、病院に健康保険組合が直接出産費用の支払いをしてくれます。つまり、病院の窓口で一時的に自分のお金を支払う必要がないので、ぎりぎりの生活をされている母子家庭の方でも安心の制度です。

出産手当金

出産手当金は、出産のためにお仕事を休み、収入がなくなってしまった人に支給される補助金のことを言います。出産の42日前から、出産後56日までの期間、出産のために会社を休んだ場合が対象となります。

この制度を利用する条件はこちらです。

  • 勤務先で健康保険に入っている
  • 妊娠4ヵ月(85日)以上であること
  • お休みをした理由が出産であること

給付される金額は

「支給開始12ヵ月前の標準報酬月額÷30日×2/3」

で計算されます。つまり、今までのお給料のだいたい2/3が支給されるということになりますので、働き手が1人しかいない母子家庭の方には大変ありがたい支援です。

子育てで忙しい母子家庭の方には、正社員でない方も多いと思います。この制度は派遣やアルバイトの人でも条件によっては対象となりますので、まずは確認してみましょう。

育児休業給付金

出産後、1歳未満の赤ちゃんの育児のために会社をお休みした際に雇用保険から支給される給付金のことを言います。お給料の67%が支給されるありがたい制度ですが、育休後の職場復帰が前提とされています。

母子家庭では子育ては自分になるので、すぐに職場復帰は難しいかもしれません。利用に際しては十分考える必要があります。

申請は企業が行いますが支払いは国庫がします。企業に負担はありませんので、こちらもまず相談してみるのをおすすめします。

出産祝い金

こちらは、出産をした人に支給される、自治体のお祝い給付金のことをさします。自治体によって名前や金額が違いますが、1児に対して10~25万円(3人目などを含む)を給付してもらえます。

出産費用は分娩の時だけでなく、その後の育児生活でも何かとかかりますので、母子家庭の方にとってはありがたいですよね。自分の住んでいる地域の役所に、必ず確認しておきましょう。

妊婦検診費用助成

出産費用の中でも意外とかさむのが妊婦検診の費用です。その検診費用をサポートしてくれるのが、この妊婦検診費用助成です。この補助金も地方自治体によって形態が違うので、確認してみてください。

入院助産

「今の経済状況では、出産は無理」とあきらめそうになっている母子家庭の方に、ぜひ活用してもらいたいのが、入院助産です。

こちらは経済的な理由で出産が難しい人をサポートする制度です。対象は生活保護世帯や住民税非課税世帯に限られていますが、出産費用を援助してもらい、母子家庭でお金がない、という方でも安心して出産ができます。

こちらも自治体の支援で病院に直接支払ってくれるので、一時的に大きなお金を用意する必要がないのも母子家庭の方におすすめの理由です。

母子家庭の生活、出産費用以外でも利用できる手当とは?

出産費用を援助してもらえたとしても、子育てはそこからが本当のスタートです。お子さんとのその後の生活を維持していくために、母子家庭の方が利用できる手当を簡単にご紹介します。

児童手当

0歳から中学3年生までの子供がいる世帯がもらえる、自治体の給付制度です。

  • 0~3歳未満は、月額15,000円
  • 3歳~小学校終了までは、月額10,000円(3人目からは15,000円)
  • 中学生は、月額10,000円

支給は6、10、2月の3回です。地方自治体の役所で、「認定請求書」を出して申請することができます。

児童扶養手当

母子家庭などのひとり親世帯に支給される給付金です。こちらも地方自治体に申請をします。給付金額は景気によって変動しますが、以下のような金額になります。

  • 子供が1人の場合、月額10,030~42,500円
  • 子供が2人の場合、月額15,050~52,540円
  • 子供が3人の場合、月額18,060~58,560円

子供が1人増えるごとに、3,010~6,020円追加されてゆきます。こちらの制度には所得制限があり、全額給付できるのは年収約160万円以下の人なので、確認しておきましょう。

母子家庭でも大丈夫、出産費用の助成をしっかり受けよう

赤ちゃんの誕生は、とても嬉しいことだと思います。それなのに、経済的な理由でその喜びが打ち消されてしまうなどと言うことは、絶対に避けたいことです。

近年では母子家庭が増えて続けていることや、少子化が進んでいることもあって、国や自治体の子育てや出産費用を援助する制度がとても豊富に準備されています。一般的な分娩であればほぼカバーしてもらえる十分な制度なので、ぜひ積極的に利用してほしいと思います。

制度によっては、こちらから申請をしないと受けられないものも多く、知らないというだけで損をしてしまうこともあります。ぜひお住まいの自治体に相談して、新しい命を大切に守っていただけたらと思います。

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