母子家庭で大学に行かせるには、支援制度をうまく利用して

母子家庭でも、子供を大学までは行かせたい、と思っている方は多いと思います。

大学を出ていないとちゃんとした会社に行けない、と以前から言われてきました。今はそうじゃない、という意見もありますが、実際には前と何も変わっておらず、大手になればなるほど、大学卒であることを重視しています。

だからこそ、何としてでも子供を大学に、と思いますよね。でもここでも大きな悩みになるのが学費でしょう。

高校までは公立で学費をなんとか安く抑えることができていても、大学となると、国公立であっても入学金や学費は大きくかさみ、教科書や参考書の値段も一気に跳ね上がります。

自宅から通えない大学に行きたい、というのであれば、アパート代、食費などのための仕送りも必要になり、経済的な負担は大きくなるばかりです。

とは言っても、経済的な理由で子供に大学に行くのをあきらめさせるのは避けたいですよね。

母子家庭には、利用できる様々な支援制度があることはご存じと思いますが、その中でも、経済的な理由で子供を学校に行くのが困難な家庭に対する支援があります。

支援制度なので、もちろん誰でも使える、という訳にはいきませんが、それでも工夫次第でうまく利用することは可能です。

そこでここでは、母子家庭で大学に行かせるにはどのような支援制度があるのか、利用のための条件や支援の中身について、詳しく見ていこうと思います。

母子家庭で子供を大学に行かせるにはどうしたらいいか、と悩んでいる方は、ぜひ参考にして下さい。

目次

母子家庭で大学に行かせるには、どんな支援制度がある

まず、母子家庭で大学に行かせるには、どんな支援制度があるか、見ていきます。大きく分けて次の3種類あります。

  • 高等教育の修学支援新制度
  • 奨学金制度
  • 教育ローン

高等教育の修学支援新制度

文部科学省、つまり国が実施する支援で、HPでは

文部科学省では、しっかりとした進路への意識や進学意欲があれば、家庭の経済状況に関わらず、大学、短期大学、高等専門学校、専門学校に進学できるチャンスを確保できるよう、令和2年4月から高等教育の修学支援新制度を実施しています。

と説明されています。

奨学金制度

家庭に経済的に余裕がなく、進学が困難な学生に対し、学費の給付や貸付をする制度が奨学金制度です。

奨学金には、返済しなくてもいい給付型奨学金と、卒業後に返済していく貸与型奨学金の2種類があります。

教育ローン

その名の通り、学費をローンで借ります。民間機関が運営するローンと、各自治体が実施する母子父子寡婦福祉資金があります。

経済的に進学が難しい、という母子家庭で大学に行かせるには、このいずれかを利用することを考えてみましょう。

それぞれ詳細に見ていきます。

母子家庭で大学に行かせるには、支援制度で無償化も可能?

まず、高等教育の修学支援新制度です。

高等教育の修学支援新制度とは?

この制度は簡単には、子供に、進学をしたい、勉強したい、という意欲があっても、経済的な理由で難しい家庭を支援することを目的として、大学・短期大学・高等専門学校・専門学校の学費を免除、無償化する、というものです。

ただし、無償化といっても学費が全て無条件で無料になるというのではなく、学校の種類、自宅から通学か自宅以外から通学か、によって決まった上限の金額が支給されることになっています。

この制度を利用するためには、いくつか条件があります。

制度利用の条件

  1. 支援の対象になる大学であること
  2. 世帯収入、資産
  3. 学ぶ意欲
  1. 支援の対象になる大学であること

すべての大学がこの無償化の対象になっているのではなく、ごく少数ですが対象にはなっていない大学があります。子供が目指す大学が対象になっているか、必ず確認しましょう。

また、年度ごとに対象外になる大学は変更、追加されるので、毎年確認が必要です。

2. 世帯収入、資産

収入の関しては基本的に、「住民税非課税世帯」もしくは「それに準ずる世帯」が対象です。住民税が非課税ということは、収入が少なく一定以下ということを意味しているので、経済的に苦しい世帯になります。

3. 学ぶ意欲

子供に学ぶ意欲がなければ経済的に支援する意味がありません。勉強したいのにお金がない子供を救うというのがこの支援の目的ですから、学ぶ意欲をしっかり示す必要があります。

支給額

住民税非課税世帯で国公立大学に自宅から通学する場合、年額35万円、自宅外からの通学で年額80万円ほどが支給されます。

入学金、授業料の免除も受けられる

上記で説明した支援は、給付型奨学金と呼ばれています。高等教育の修学支援新制度の中の奨学金制度、ということになります。

実は高等教育の修学支援新制度はこれだけではありません。先に説明しました給付金を受ける資格のある世帯では、入学金と授業料の免除も受けることができるようになっています。

免除額は、国公立大学で入学金が28万円まで、授業料が年額で54万円までとなってます。いずれもこの金額を上限として、実際にかかた費用が支給されます。

高等教育の修学支援新制度については、文部科学省のHPでも詳細を見ることができます。

次に奨学金制度です。

母子家庭で大学に行かせるには、奨学金の利用も考えましょう

奨学金制度には、民間の機構が運営している奨学金のほか、国や自治体、市町村、あるいは学校による運営など、様々な種類がありますが、奨学金の性質によって大きく2つに分かれます。

ひとつは給付型奨学金、そしてもうひとつが貸与型奨学金です。

給与型奨学金

給与型奨学金は、返済の必要がない、つまり純粋に希望者に支給される奨学金です。経済的に困窮している家庭が主な対象です。

給付と言う性格上、収入など、利用するための条件は厳しくなっています。毎年支給条件に該当するか確認されるのも、給付型の特徴です。

場合によっては、子供の大学への出席状況や成績、学習意欲などが確認されることもあります。

大学無償化で提供されるのも、この給付型奨学金です。

日本学生支援機構の奨学金

このほかによく利用されているのが、独立行政法人の日本学生支援機構(JASSO)です。

日本学生支援機構では、給付型のほか、後述する貸与型の奨学金も扱っていて、選択肢は色々あります。

また、明光義塾を運営する明光教育研究所が、母子家庭で大学に行かせることを考えている方に、学力を利用の条件にしない給付型奨学金を提供している例もあります。

貸与型奨学金

こちらは借りる形の奨学金です。一般的には大学卒業後から返済がはじまります。申請時に金利、返済期間などが定められ、それに従って返済していきます。

奨学金なので金利は低く抑えられ、返済しやすい配慮がされているのが特徴です。

また、もし将来、返済が難しなってしまったときの救済措置が用意されている奨学金もあるので、利用の際は細かい確認が必要でしょう。

母子家庭で大学に行かせるには、最後の手は教育ローン?

最後は教育ローンです。

教育ローンは一般のローンと同じように返済が必要です。そのため、どの教育ローンにするかは金利が大きく影響してきます。

「教育ローン」とネットで検索してみると、色々な銀行の教育ローンがヒットすると思います。

ただ銀行の教育ローンは金利が高いのが普通。そこでおすすめなのは、自治体が実施する母子父子寡婦福祉資金、国が実施する日本政策金融公庫の教育一般貸付です。

母子父子寡婦福祉資金

母子父子寡婦福祉資金というのは、20歳未満の子供を扶養している、母子家庭をはじめとするひとり親世帯が利用できる貸付制度です。

特徴は、無利子で借りられること、です。借りる金額だけを返済すればいいのですから、これ以上のローンはないですよね。

ただし、借りられる金額には上限があり、返済期間は20年以内という期限が設定されています。

日本政策金融公庫の教育一般貸付

こちらは無利子ではないですが、母子家庭は低金利で利用できること、保証基金の保証料、返済期間が優遇されるという特徴があります。

母子家庭で大学に行かせるには、どの支援制度を選んだらいい?

母子家庭で大学に行かせるには経済的に苦しい、そういう方が利用できる支援制度を紹介してきました。

こうしてみると、無償化の利用、返済のいらない給付型奨学金、低金利の奨学金など、選択肢は色々とありますよね。では、その中からどの支援制度を選んだらいいのでしょうか?

住民税非課税世帯の方なら、まずは無償化でしょう。

住民税非課税ということで最初の条件はクリア、もうひとつの学習意欲は、子供としっかり話し合い、明確な意思と決意を機構に示していく必要があります。

その次は給付型奨学金です。

こちらも、収入や学習意欲、時には成績なども考慮されるので、機構に応じた対応をしていきましょう。

条件的に無償化や給付型奨学金は利用できないというのであれば、貸与型、そして教育ローンとなります。

利用できる条件のハードルは下がっていきますが、返済については厳しい方向になっていきます。

母子家庭で大学に行かせるには支援制度の利用が必要、というのであれば、ご家庭の経済状況で判断するのが失敗のない選択ではないでしょうか。

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