母子家庭が利用できる支援施設とは

母子家庭になる理由には色々あります。そして母子家庭になってからの生活状況も世帯によって様々です。

よく言われているのは、母子家庭の多くは収入が少なく、経済的に不安定、あるいは困窮しているということでしょう。

賃貸住宅で家賃を払わなくてはいけない、生活費も必要だし子供の教育費がかかる、子供がまだ幼いので正社員で働くのは難しいなど、母子家庭を取り巻く環境は厳しいものです。

そんな母子家庭を経済的に支援する制度が日本には沢山あり、利用するための条件はあるものの、多くの母子家庭の生活を支えています。

そういった支援のひとつに、母子家庭を支援するための施設があります。それが母子生活支援施設です。

母子生活支援施設で受けることができる支援には様々なものがあり、それぞれの世帯の状況や事情により就労や家庭生活、教育などについての相談やアドバイスがおこなわれています。

母子家庭の支援制度と言うと、児童扶養手当や住宅手当などがよく知られていて、多くの母子家庭の方が利用していると思いますが、この母子生活支援施設についてはあまり知られていないのではないでしょうか?

そこでここでは母子生活支援施設について、どのような施設でどういった世帯が利用できるのか、どんなメリットがあり、そしてデメリットはないか、詳しく解説していきたいと思います。

目次

母子家庭の支援施設、母子生活支援施設とは?

母子生活支援施設というのは、内閣府男女共同参画局のホームページでは、次の様に規定されています。

児童福祉法第38条に基づき、配偶者のない女子又はこれに準ずる事情にある女子及びその者の監護すべき児童を入所させて、これらの者を保護するとともに、これらの者の自立の促進のためにその生活を支援することを目的とする施設です。
児童(18歳未満)及びその保護者(配偶者のない女子又はこれに準ずる事情にある女子)が対象ですが、児童が満20歳に達するまで引き続き在所させることができます。
母子生活支援施設においては、母子を保護するとともに、その自立を促進するため個々の母子の家庭生活及び稼動の状況に応じ、就労、家庭生活及び児童の教育に関する相談及び助言を行う等の支援を行っています。
各母子世帯の居室のほかに集会・学習室等があり、母子支援員、少年指導員等の職員が配置されています。

所管省庁は厚生労働省で、入所手続きは福祉事務所となっています。

<児童福祉法第38条>
母子生活支援施設は、配偶者のない女子又はこれに準ずる事情にある女子及びその者の監護すべき児童を入所させて、これらの者を保護するとともに、これらの者の自立の促進のためにその生活を支援し、あわせて退所した者について相談その他の援助を行うことを目的とする施設とする。

内閣男女共同参画局のホームページでは、実は

内閣府ホーム > 内閣府男女共同参画局ホーム > 主な政策 > 女性に対する暴力の根絶 > 配偶者からの暴力被害者支援情報 > 相談機関一覧 > 母子生活支援施設

に説明があり、DVに悩む母子家庭を救済するための施設、という位置付けです。しかし実際にはDVが原因で利用する方だけではなく、住宅事情経済的事情で入所する方も多くいます。

お住いの地域にどのような母子生活支援施設があるかは、自治体の福祉事務所に問い合わせてみましょう。

母子家庭の支援施設、母子生活支援施設ではどんな毎日になる?

ここからは実際に母子生活支援施設ではどのような一日の流れになっているのか、について紹介していきます。

まず朝は基本的に子供は登校し、母親は出勤をしてそれぞれの時間を過ごします。

15時前後になると小学生や保育園児たちが施設に帰ってきます。子供たちは母親が仕事から戻ってくるまでの時間、児童保育や自分たちの住居スペースで過ごします。

17時前後の夕方になると、中学生や高校生が施設に帰ってきます。ここからの時間は子供によってはアルバイトをしていることもあります。

母親は仕事から帰ってくると、子供の様子について職員から報告をうけます。夜はそれぞれの家庭ごとに食事をしたり団欒の時間を過ごします。

もちろん家庭の生活リズムや施設によっても多少は異なりますが、これが大まかな一日の流れになります。

母親は仕事で留守にしていますが、施設の職員や支援員、保育士などが子供たちを見守ってくれているので、安心して仕事に行くことができます。

母子家庭の支援施設、母子生活支援施設の費用は?

このように母子家庭にとって助けとなる母子生活支援施設ですが、気になるのがその費用負担です。

一般的に母子家庭は経済的にも豊かとはいえないケースが多く、高額な費用では入居できません。

施設に入居するための費用としては所得によっても異なりますが、一般的な住宅の家賃程度の負担になります。この費用に光熱費は含まれません。

母子家庭の支援施設、母子生活支援施設のメリットとデメリット

ここからは母子家庭が母子生活支援施設に入居することのメリットとデメリットについて解説していきます。

母子家庭の支援施設のメリット

一番のメリットとしては「衣食住の心配をしなくてよい」という点があげられます。

母子生活支援施設には寄付やリサイクルなどによる衣類や、生活必需品などの支給がおこなわれています。そのため、当面の生活には困りません。

また食材や調味料、調理器具などの支給もおこなわれるため、飢える心配はありません。また住まいに必要な家電などの生活用品は貸し出しがおこなわれます。

次のメリットは「災害が起こっても安心」という点です。

母子生活支援施設には食料品や水、生活用品などの備蓄がされているため、いざという時にも安心です。また災害などの緊急事態に備えて訓練をうけた職員がいるため心強いでしょう。

母子家庭の支援施設のデメリット

一方でデメリットもあります。

母子生活支援施設には門限をはじめとした規則があり、これを窮屈に感じる人にとってはデメリットとなります。また宿泊を伴う旅行は禁止されているなどの制限もあります。

しかし施設が主催して様々なイベントが企画されているため楽しみがないわけではありません。

次のデメリットは、他人との共同生活に近いという点です。

家庭ごとに個別の部屋があるとはいえ、一般的な住宅とは異なるため他人との接触は増えます。人付き合いが極端に苦手な場合は息苦しいかもしれません。

心のケアの重要性とその支援

母子家庭にとって、心のケアは一つの大きな課題となります。生活の困難さや孤独感、不安など、心に負担を感じることがしばしばあります。そんな時、心のケアが重要となるのです。心のケアを行うことで、ストレスを軽減し、前向きな気持ちを保つことができます。

母子家庭における心のケアの重要性

母子家庭は、経済的な困難だけでなく、心の問題も抱えがちです。一人で子育てを行う母親は、孤独感や不安を感じることが多く、これらの感情はストレスとなり、心の健康を脅かします。そのため、心のケアは母子家庭にとって非常に重要な要素となります。心のケアを行うことで、ストレスを軽減することができるでしょう

母親の心のケア

母親の心のケアは、母親自身の精神的健康を保つだけでなく、子どもの心の健康にも大きな影響を与えます。母親がストレスや疲労により心の問題を抱えると、それは子どもにも影響を与えます。そのため、母親自身が心のケアを行うことは、子どもの心の健康を保つためにも重要です。

子どもの心のケア

子どもの心のケアもまた、子どもが健全に成長するために必要です。子どもは、父親の不在や母親のストレスなどから心の問題を抱えることがあります。そのため、子ども自身が心の問題を抱えていないか、また抱えていた場合には適切なケアが行われているかを確認することが重要です。

心のケアの方法

心のケアの方法としては、カウンセリングや心理療法があります。これらの方法は、心の問題を抱える母親や子どもが、自分の感情を理解し、問題を解決するための手段を提供します。また、リラクゼーションや趣味など、ストレスを軽減する活動も心のケアに有効です。

心理療法担当によるカウンセリングとプレイセラピー

心のケアの一つとして、心理療法担当によるカウンセリングやプレイセラピーがあります。カウンセリングは、心の問題を専門家と一緒に話し合い、解決策を見つける方法です。一方、プレイセラピーは、遊びを通じて心の問題を解決する方法です。これらの方法は、心の問題を解決し、心の健康を保つのに役立ちます。

カウンセリングの役割

カウンセリングは、心理療法担当者が母親や子どもと一対一で行うセッションです。カウンセリングでは、母親や子どもが抱える心の問題を共有し、それに対する解決策を見つけることが目的です。

プレイセラピーの役割

プレイセラピーは、特に子どもの心のケアに有効な手段です。子どもは、言葉で自分の感情を表現するのが難しいことがあります。プレイセラピーでは、遊びを通じて子どもが自分の感情を表現し、心の問題を解決することを助けてくれます。

心理療法担当者の役割

心理療法担当者は、母親と子どもが心の健康を維持するための重要な支援者です。心理療法担当者は、母親と子どもが抱える心の問題を理解し、それに対する適切なケアを提供します。また、心理療法担当者は、母親と子どもが自分の感情を理解し、それを適切に表現する方法を教えてくれます。

心の健康を保つための具体的な方法

心の健康を保つためには、日々の生活習慣の見直しやストレス管理、適切な休息、そして専門的なサポートが必要です。これらの方法は、母親と子どもが心の問題を抱えていないか、また抱えていた場合には適切なケアが行われているかを確認するための重要な手段です。

日々の生活習慣の見直し

日々の生活習慣の見直しは、心の健康を保つための基本です。健康的な食事、適度な運動、十分な睡眠など、基本的な生活習慣を整えることで、心の健康を維持することができます。また、趣味やリラクゼーション活動を取り入れることで、ストレスを軽減することも可能です。

ストレス管理

ストレス管理は、心の健康を保つための重要な要素です。ストレスは心の問題を引き起こす大きな要因であり、それを適切に管理することで、心の健康を維持することができます。ストレス管理の方法としては、リラクゼーション活動、趣味、適度な運動などがあります。

適切な休息

適切な休息もまた、心の健康を保つための重要な要素です。母親は子育てや仕事、家事などで忙しく、自分自身の休息をおろそかにしがちです。しかし、適切な休息を取ることで、心と体の疲労を回復をはかることができます

専門的なサポート

心の問題を抱えている場合、専門的なサポートを受けることが重要です。心理療法担当者やカウンセラーなどの専門家からのサポートを受けることで、心の問題を適切にケアし、心の健康を維持することができます。

地域とのつながりとその支援

母子家庭にとって、地域とのつながりは生活を豊かにするための大切な要素です。地域とのつながりを保つことで、情報交換や相互支援、子どもたちの社会性の育成など、さまざまな利点があります。しかし、一人で子育てを行う母親は、忙しさや孤独感から地域とのつながりを持つことが難しい場合もあります。そこで、地域とのつながりを保つための支援が必要となります。

地域社会とのつながりの重要性

地域社会とのつながりは、母子家庭にとって大切な要素です。地域社会とつながることで、子どもたちはさまざまな人との交流を通じて社会性を育むことができます。また、母親は地域の人々と情報交換を行うことで、子育てに役立つ情報を得ることができます。さらに、地域社会とのつながりは、一人での子育ての孤独感を軽減する効果もあります。

地域社会とのつながりを保つための支援

地域社会とのつながりを保つためには、さまざまな支援が必要です。例えば、地域のイベントに参加する機会を提供すること、地域の人々との交流の場を作ることなどが考えられます。また、地域の人々が母子家庭を理解し、支援するための啓発活動も重要です。これらの支援を通じて、母子家庭は地域社会とのつながりを保つことができます。

地域社会とのつながりを強化するための具体的な活動

地域社会とのつながりを強化するための具体的な活動として、地域のイベントへの参加やボランティア活動があります。地域のイベントに参加することで、地域の人々との交流を深めることができます。また、ボランティア活動を行うことで、地域社会への貢献と同時に、地域の人々とのつながりを強化することができます。さらに、子どもたちが地域の活動に参加することで、社会性を育むことも可能となります。これらの活動を通じて、母子家庭は地域社会とのつながりを強化し、生活を豊かにすることができます。

小学生以上の子どもへの支援

母子家庭では、子どもが小学生になると新たな課題が出てきます。学校生活の開始、友達との関係、学習の進行など、子ども自身も母親も対応しきれないことがあります。そんな時、学童保育やグループ活動、学校やセンターとの連携など、さまざまな支援が役立ちます。

学童保育での活動とその重要性

学童保育は、学校が終わった後や休日に、子どもたちが安全に過ごせる場所を提供します。学童保育では、遊びや学習、友達との交流など、子どもたちが成長するためのさまざまな活動が行われます。これらの活動は、子どもたちの社会性を育むだけでなく、母親の仕事や家事を支援する役割も果たします。

学童保育での活動

学童保育での活動は、子どもたちが学校以外の場所で社会性を育む重要な機会を提供します。活動は、遊びや学習、芸術活動、スポーツなど、さまざまな形で行われ、これらの活動を通じて、子どもたちは新しいスキルを学び、友達との関係を深め、自己表現の機会を得るきっかけになるでしょう。

母親の支援

学童保育は、母親の支援にも大きな役割を果たします。学童保育が子どもたちを預かることで、母親は仕事や家事に集中する時間を確保できます。

グループ活動を通じた成長の機会

グループ活動は、子どもたちが社会性を育むための重要な機会です。グループ活動では、友達との関係を深めるだけでなく、協調性やリーダーシップなど、さまざまなスキルを学ぶことができます。また、グループ活動は、子どもたちが自分自身を表現し、自信をつける機会も提供します。

学校やセンター等との連携による支援

学校やセンターとの連携は、母子家庭の支援に大切な要素です。学校やセンターは、子どもたちの成長を支援するだけでなく、母親の悩みを聞く場所でもあります。また、学校やセンターは、母子家庭が地域社会とつながるための重要な場所でもあります。これらの機関と連携することで、母子家庭は必要な支援を得ることができます。

母子家庭の支援施設、母子生活支援施設は全国に多数

このようにメリット、デメリットの両方を併せ持つ母子家庭のための支援施設ですが、本当に生活に困った母子家庭にとっては大きな助けになる、と言ってもいいのではないでしょうか。

食べることや住むことの心配をせずに子供を学校に通わせたり、働きに出ることができるからです。

世間ではあまり知られていませんが、母子生活支援施設は全国に多数あり、母子家庭の生活を支えているのです。

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