母子家庭などのひとり親世帯では、経済的な負担を感じながら、なんとかがんばってやりくりをしている方も多いと思います。
賃貸に住んでいるのであれば、家賃を払わなくてはいけないし、食費や衣服、光熱費、子供の学費、交通費、医療費など、出費は様々で、食費や学費などは、子供が成長すればどんどん出費は増えていきます。
食費や衣服、光熱費などはある程度節約することもできますが、それが難しいものもあります。その中でも、どうしても節約できないのが病院代でしょう。
自分が病気になった時のこともありますが、子供が病気になったり怪我をしたときは、親としては安く済ませるわけにはいきません。
また、もし子供が病気がちなら、病院代を心配して十分な医療を受けられない、という事態はなんとしても避けたいですよね。
とは言っても収入が限られている家庭では、すべてを自分だけで解決するのは非常に困難です。そこで利用を考えたいのが、母子家庭のための支援制度です。
国や自治体では、母子家庭などのひとり親家庭にかかる病院代をサポートする制度がとても充実しています。その制度の内容をしっかりと理解し、そして活用すれば、子供と安心した生活を送ることも不可能ではありません。
ここではその制度について、詳しく紹介していきます。
母子家庭の病院代を支援してくれる制度とは?
平均的な母子家庭の1ヵ月の病院代は、だいたい5000円くらいと言われています。
健康保険に入っていれば、6歳までの子供の病院代の自己負担額は2割なので、平均値はそこまで高い印象ではないのかもしれません。
ですが、子供の年齢によって金額は上がりますし、これが成人まで続くと考えると、やはり相当な額となるでしょう。
病院代が払えないので医者にかかることができない、そいった事態を避けるために、国や自治体は様々な支援制度を用意していますので、いくつか紹介していきます。
ひとり親家庭等医療費助成制度
国や自治体の、ひとり親世帯の病院代を助成する制度には、「ひとり親家庭等医療費助成制度」というものがあります。
これは、母子家庭などのひとり親世帯や、親のいない子どもを養育している家庭を対象にした制度で、病院代や薬代などの医療費の一部を、自治体が負担してくれるという、大変助かる制度です。
ただし申請をしないと受け取ることができませんので、忘れずに申請しておきましょう。
この助成制度を利用できる条件は
- ひとりで子供を監護する、父または母
- 親のいない子どもを育てている人
- 子供が18歳になった最初の3月31日まで
- 所得制限内の人
となっています。
母子家庭で子供が18歳以下、収入が所得制限以下であれば、利用することができます。
この制度にも児童手当などのように所得制限があり、自治体によって上限額が違うので、自分の住んでいる地域の役所でしっかりと確認をしておきましょう。
治療で使用した金額にもよりますが、保険適用内の治療を受けている程度であれば、ほぼ補助してもらえるので、安心して利用できるでしょう。
ただ、保険適用外の費用は対象外となります。
たとえば、
- 入院時の差額ベッド代
- 健康診断代
- 薬の容器代
- 予防接種代
- 紹介状がなく大病院を受診した時の、初診時選定療養費
- 学校での病気で、災害共済給付制度の対象となっている人
ほかの公的な助成制度との併用は、難しいようです。
差額ベッド代は我慢できるにしても、健康診断や予防接種が対象外になっているのは残念なところです。いずれも大事なことなので、対象に入れて欲しいですよね。今後の改定に期待するしかありません。
申請する時は、自分の住んでいる自治体の窓口へ行き、「助成資格証明書(医療証)」を取得しましょう。
その際には、
- 親と子供の戸籍謄本(離婚が受給理由の場合は、離婚と記載された除籍謄本も。)
- 親と子の健康保険証
- 課税(非課税)証明書
- 児童扶養手当証書(受けている人)
- マイナンバーカードなどの身分証明書
などを用意してゆくと、スムーズに手続きができるでしょう。
この制度は、申請すればすぐに使えるようになります。
実際に使う時には、まずこの助成資格証明書と健康保険証を、病院でみせてから受診をします。この制度を使えない医療機関もありますが、その際は、領収書をとっておき自治体の窓口へ提出して申請すれば、後から口座への振り込みと言う形で、給付してもらえます。
注意したいのは、一度助成資格証明書を取得しても、子供の成人までずっと使えるわけではないことです。
自治体によって、更新手続きが必要であったり、「現状届」を提出しなくてはならない場合もあるので、証明書を発行してもらった時に窓口でよく聞いておきましょう。
この助成制度は自治体によって適用される条件が細かく違い、生活の変化によって対象外となってしまうこともあるので、しっかりと確認をしておく必要があります。
よくある対象外となる理由としては、
- 生活保護を受けている
- 健康保険に加入していない
- 子供が、児童福祉施設などに入っている
- 里親に預けている
- 配偶者に養育されるようになった
- 所得制限を超えてしまった
などがあります。
気づかない内に対象外とならないように、気をつけましょう。
またこの制度の対象外になってしまったとしても、他にも子供のために利用できる制度はたくさんあります。
乳幼児医療助成制度
子育て世帯をサポートする制度です。地方自治体がそれぞれの基準で定めているので、適用される年齢も中学・高校までと違いがあります。
自己負担金の割合や、親の所得制限なども自治体ごとに確認しましょう。
高額療養費制度
入院などで、一度に高額の支払いが発生した時に使える制度です。
こちらは健康保険に加入していれば使える制度で、自己負担の限度額を超えると、その分を返してくれます。
限度額は、所得によって決まります。使用回数が多いと、さらに限度額が引き下げられるので、病気がちなお子さんを抱えている親御さんには、ありがたい仕組みです。
母子家庭の病院代、支援制度を利用して安心した生活を
母子家庭などのひとり親世帯でがんばっている方は、このような支援制度を使うことに抵抗を感じることもあるかもしれません。
ですが、国や自治体では、子供を守る制度がとても充実しています。制度として定められている以上は、わたしたちが行使できる正当な権利なので、胸を張って申請してください。
支援制度をしっかり利用できれば、子供と楽しく安心した生活を送ることができるのではないでしょうか。