母子手当は親と同居でももらえる?

母子家庭になると支給が受けられる制度のひとつに、母子手当があります。

母子手当は以前の呼び方で今は児童扶養手当と変わりましたが、母子手当の方がまだ世間的には馴染みのある呼び方でしょう。

他の色々な手当と同じように、この母子手当にも所得制限があります。

所得制限と言うのは、所得、つまり収入が、制度で決まっている金額より少なくないともらえませんよ、という条件ですよね。

これは、母子家庭で親と子供だけで生活をしている場合は母親の所得だけを見ていればいいのですが、親と同居している母子家庭の場合はどうなるのでしょうか?

親と同居していると母子手当をもらえない、という話も聞きますが、本当のところはどうなのでしょうか?

そこで、母子手当は親と同居でももらえるのか、徹底的に調べてみました。

目次

母子手当は親と同居でももらえる?

母子手当は親と同居でももらえるのでしょうか?

結論から言えば、「もらえます」。

親と同居していても、母子世帯と同じように母子手当をもらうことができます。支給金額も同じで減額されるということはありません。

母子手当の支給額

児童数全部支給一部支給
第1子43,070円43,060~10,160円
第2子加算10,170円10,160~5,090円
第3子以降加算6,100円6,090~3,050円

ただし、それには条件があります。この条件に当てはまっていれば、親と同居していても問題なく母子手当をもらうことができます。

ということは、その条件が何か、ということですよね。

親と同居していても母子手当がもらえる条件

所得制限

親と同居していても母子手当がもらえる条件、それは「所得制限」です。

所得制限?もともと母子手当をもらうためには所得制限がありますよ?

はい、その通りです。母子手当をもらう条件のひとつに所得制限があり、母親の所得の金額しだいでもらえたりもらえなかったりします。それが親と同居すると何か変わるのでしょうか?

親と同居で何が変わる?

母子手当というのは、母子家庭世帯の所得が決められた金額以下のとき、補助金が支給されるという制度です。親と同居しても、この決まりは変わりません。

変わるのは、「この決められた金額以下の所得」の対象者が、母親だけから同居する家族全員になる、ことです。

つまり、親と子の母子家庭なら、その母子家庭世帯の所得だけで判断されたのが、親と同居すると、一緒に住んでいる家族の所得で判断されることになるのです。

これは、同居する家族の所得によっては母子手当がもらえないことを意味します。

今は母子世帯で母子手当をもらっていたけど、親と同居することになったらもらえなくなってしまった、母子家庭になるのを機に親と同居したけど母子手当はもらえなかったのはどうして?、ということが起きる可能性があるんです。

では、親と同居でも母子手当がもらえる所得制限はどのようになっているのでしょうか?

母子手当を親と同居でももらえる所得制限はいくら?

母子手当を親と同居でももらえる所得制限は、母子世帯単独での所得制限と同じように、扶養する人数で変わってきます。

まず、母子家庭世帯単独での所得制限はこの表のようになっています。

扶養人数申請者(全部支給)申請者(一部支給)
1人87万円230万円
2人125万円268万円
3人163万円306万円
4人201万円344万円
5人以降1人増えることに38万円加算1人増えることに38万円加算

申請者は母子世帯のことで、扶養人数によって所得の上限の金額は変わり、扶養人数が増えるにつれて所得の上限も上がります。

全部支給というのは、対象になる母子手当の全額がもらえることで、一部支給と言うのは、その一部ということですよね。

親と同居する場合は、この表に「扶養義務者」という欄が追加になります。つまり、「扶養義務者」というのが、同居する親などの家族ということになります。

扶養人数申請者(全部支給)申請者(一部支給)扶養義務者
0人49万円192万円236万円
1人87万円230万円274万円
2人125万円268万円312万円
3人163万円306万円350万円
4人201万円344万円388万円
5人以降1人増えることに38万円加算1人増えることに38万円加算1人増えることに38万円加算

扶養義務者の所得の上限は母子世帯よりも高く、同じように扶養する人数が増えると上がっていきます。

この扶養義務者の所得が上限を超えると、たとえ母子家庭世帯の所得が上限より少なくても、母子手当をもらうことができなくなります。

となると、両親とも働いているので余裕でこの上限を超えてしまう!! 母子手当がもらえない!!なんていう心配がでてきますよね。

でも世の中を見ると、親と同居していて両親とも働いている、でも母子手当もらってるよ、という母子家庭の人は大勢います。

親の所得ってみんなそんなに少ないの?と不思議に思うでしょう。

どうして両親が働いていても母子手当をもらえるのか、その答えは「扶養義務者」にあります。

扶養義務者とは?

扶養義務者の定義は次のようになっています。(藤岡市ホームページより抜粋)

扶養義務者とは、民法第877条第1項に定める者のことで、かつ受給者世帯と生計をともに維持する者をいいます。具体的には、下図において、太線でかこまれた範囲の人が「扶養義務者」となります。

つまり、母子家庭で自分の両親だけでなく、その親、つまり祖父母、さらにその親である曽祖父母まで、さらに自分の兄妹姉妹まで扶養義務者となります。

これだけ多くの親族が扶養義務者になるのなら、母子手当なんかとてももらえない、と思うかもしれませんよね。自分の両親が働いているのであれば、あっという間に所得制限を超えてしまうでしょう。

では、なぜ母子手当は親と同居してももらえるのでしょうか?

ここからが大事です。

扶養義務者の所得制限というのは、その世帯にかかるのではなく個人にかかります。つまり、同居する扶養義務者全員の所得を合わせると制限を超えるけど、ひとりひとりの所得が制限以下なら母子手当をもらえる、ということになるんです。

母子手当は親と同居してももらえる、と最初に言ったのは、これが理由です。

所得制限という条件はありますが、親と同居しているだけで母子手当がもらえなくなる、ということはないのです。

ただ、手続きが面倒です。親と同居している場合、母子手当を申請するときに、同居する扶養義務者全員の所得証明が必要になるからです。

会社員であれば源泉徴収票が所得証明になりますが、バイトやパート、自営業になると、これまた結構手間がかかります。

でも、これも母子手当をもらうためですから、頑張って揃えるしかないですよね。子供が一人で全額支給なら、月に4万円ももらえるんですから。

世帯分離でも母子手当はもらえる?

扶養義務者が所得制限を超えていても、母子手当がもらえるかもしれない方法があります。

それは「世帯分離」です。

これは、かたちの上では親と同居しているけど世帯は違う、つまり、母子家庭と親とで所得の扱いは別々になる、ということです。

世帯分離は法的に認められている制度で、主に、介護制度を有効に活用するために使われていますが、母子手当にも使うことができます。

具体的には、世帯を分けることによって、親などの扶養義務者の所得が限度を超えていたとしても、母子家庭世帯が限度を超えていなければ、親と同居していても母子手当をもらうことができます。

ただし、この世帯分離となるためには条件があります。その一つが、二世帯住宅に住んでいること、です。

二世帯住宅として認められるのは、家の構造上、玄関が分かれている、電気・ガス。水道などのライフラインが、料金を含め別系統なっている、といった条件があります。

ただこの条件も各市町村で異なることがあるので、どのような形態が二世帯住宅として認められるのか、母子手当がもらえるのか、確認は絶対に必要です。

また、二世帯住宅ではないから、母子手当をもらうために二世帯住宅にする、というのは、母子手当でもらえる絶対額からすれば、二世帯住宅にする方がはるかにお金がかかるので、現実的ではないですよね。

ですので、世帯分離は、元々実家が二世帯住宅でないと使えない方法と言えるかもしれません。

親と同居でも、母子手当をあきらめないで

以上で、母子手当は親と同居でももらえる?の解説は終わりです。

親と同居すれば、自分が仕事に出ている間、子供の面倒を見てもらえる、いざという時にすぐ助けてもらえる、というようにメリットは大きいですが、母子手当がもらえなくなるかもしれないのがネックです。

でも、親と同居イコール母子手当もらえない、ではないことは分かっていただけたでしょうか?

せっかく設けられている制度ですから、多少手間がかかっても、もらえるものはもらいにく、少しでも生活を楽にするためには頑張りたいですよね。

よかったらシェアしてね!
目次